HDDを搭載したIBM PC/XT時代のリムーバブルHDD「Micro-Magnum」:スイートメモリーズ File031

まだHDDの容量が10MB程度だった頃

宮里圭介(Keisuke Miyasato)
宮里圭介(Keisuke Miyasato), @miyasa
2020年09月15日, 午前 07:00 in sweetmemories
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[名称] Micro-Magnum
[種類] HDD
[記録方法] 磁気記録
[サイズ] 約130mm(実測)
[容量] 5~11MB
[登場年] 1982年頃~

今や淘汰された懐かしの記録メディアたちに光を当てるこの連載企画では、ゆるっと集めているリムーバブルメディア・ドライブをふわっとご紹介していきます。

連載:スイートメモリーズ

「Micro-Magnum」はDMA Systemsが開発したリムーバブルHDDカートリッジ。正直、資料が乏しく詳しくは調べきれなかったので、一部推測が含まれることをご了承ください。

HDDの歴史は1956年にIBMが開発した「IBM 350」までさかのぼりますが、これは、あくまで特定システム用の専用ストレージ。汎用的なHDDとして使われるようになったのは、5.25インチにまで小型化されたSeagateのST-506が登場した1980年頃から。容量は5MBと小さいものの、多くのマイコンで使われるようになりました。

このST-506を改良して10MBへと容量アップしたST-412は、1983年に発表されたIBM-PC/XTで標準採用され、これ以降、HDDが広く普及することになります。Micro-Magnumはそんな時代に登場した製品です。

Micro-MagnumはANSI規格のリムーバブルHDDとなるもので、カートリッジの形状は約137×141×19mmという、ほぼ正方形に近いものとなっています。

メディアの表面はとくに何の特徴もなく、真っ白なのでこの面を見せられても何も面白くないですね。ということで、裏面をどうぞ。

中央にあるのが、内部のディスクを回転させるための軸。フロッピーディスクでいうハブの部分です。カートリッジ側にはヘッドもスピンドルモーターも備えておらず、ディスクしか入っていません。

この構造は密閉式のHDDと比べ高速化や大容量化がしづらいものの、ドライブはそのままに、カートリッジだけを交換できるのがメリット。低価格に大量のデータを保存できるという点で経済的でした。

側面、差込口方向を見ると、しっかりとシャッターで守られた開口部があります。

この右端の穴がシャッターを開くための機構となっており、適当な棒を突っ込むと簡単に開いてくれました。

中央の開口部から見える茶色の薄い板が、内部のディスク。左の四角や右の楕円の開口部が何のためにあるのか分かりませんが、このディスク部分を拡大してみましょう。

よく観察してみると、ディスクの側面中央に銅のような金属光沢のある模様が見えます。一周ぐるっとディスクを回してみましたがどこも同じような模様となっているので、銅線を放射状に並べているか、もしくは、放射状にスリットの入った銅板を樹脂で固めて作られているのでしょうか。そういえば、色は何となくベークライトっぽさがあります。

さらに拡大すると、ディスクの表層近くには薄い銅の層があるように見えます。この銅箔を含む表層が記録層で、中央の銅層は記録時の磁気干渉の低減、もしくはトラッキングのガイドとして使っているのかな……などと考えられますね。すべて想像ですが。

Micro-Magnumは1982年の発表時は5MBでしたが、1984年に11MBへと容量がアップされています。今回紹介しているカートリッジは、この11MBモデル用。ドライブは「Micro-Magnum 11/11」と「同11R」があり、前者がリムーバブルと固定のコンボ、後者がリムーバブルのみという違いがあったようです。

開発元のDMA Systemsは同時期に「DMA 360」というドライブを発売しています。こちらの容量は5MBとなっていますので、1982年の発表当初「Micro-Magnum 5」となっていたものと同じ……と考えるのが自然でしょう。

ちなみにDMA SystemsはMemorexとライセンス契約を結び、カートリッジとドライブの製造、販売で協力しています。Memorexは様々な記録メディアで頻繁に名前を聞くメーカーですが、古くから手広くやっていたのですね。

リムーバブルHDDのライバルは、創業間もないSyQuest。DMA 360と同時期に「Q-100」という3.9インチディスクを使ったリムーバブルHDDを投入していて、容量は同等の5MBだったということもあり、かなり強力な競合となっていたであろうことは想像に難くないところ。

この2社の競争がその後どうなるのか追おうとしたのですが、SyQuestはともかく、DMA Systemsに関する情報は1985年までしか出てこず、それ以降、ぱったり消えてしまいました。特許情報を見ても、1984年までしかありません。

すでに解散済みだということ以外、どこかに買収されたのか、一発屋として消えてしまったのかすら、調べてもわかりませんでした。

連載:スイートメモリーズ


参考:

The 5.25-inch fixed/removable disk drive, IEEE
NEW PRODUCTS, March 1983 P85, IEEE
New Products, InfoWorld April 16 1984 P70, Googleブックス
InfoNews/Hardware, InfoWorld April 19 1982 P75, Googleブックス
IBM PC XT, ウィキペディア


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