Xbox
Aaron Souppouris/Engadget

マイクロソフトは昨年(2020年)、Xboxクラウドゲーミング(xCloud)をiOS向けネイティブアプリとして提供しようとしたものの、App Storeのガイドラインに阻まれて断念し、最終的にはブラウザ経由でのサービス開始となりました

そうした過程のなか、MSがiPhoneおよびiPadにXbox独占ゲームを提供することなどを提案し、iOS向けxCloudアプリを実現すべくアップルと交渉したが失敗したことが明らかとなりました。

The Vergeによると、これはアップルとEpicとの『フォートナイト』やApp Store手数料をめぐる訴訟に証拠として提出された非公開メールから明らかになったことです。この訴訟では様々な機密資料が公開されており、アップルとNetflixとのアプリ内購入をめぐる交渉や、スティーブ・ジョブズ氏がFacebookに良い感情を持っていなかったことなど、訴訟に直接関係のない事実が暴かれていました。

さて問題の非公開メールは、MSがxCloudアプリをApp Storeで提供するため、様々な方法を試みたことを示していると伝えられています。同社は2020年2月にiOS向けxCloudアプリのテストを始めましたが、アップルが事実上アプリ形式を認めなかったために中止したことが再確認されています。

より正確にいえば、アップルは当初は一律でクラウドゲーミングを不許可としていたものの、その後にApp Storeの審査ガイドラインを改訂し、一応はアプリ提供への道を開いています。

しかし「個別のゲームごとに(ストリーミング用クライアントの)アプリを App Storeでダウンロードさせること」「個別のゲームごとに、アップデートごとにApp Storeの審査を通すこと」「個別のゲームごとにApp Storeページを作りユーザーレビューできるようにする」など厳しい条件を設定したため、MSはユーザーエクスペリエンスを損ねるとして反発していました。

今回の非公開メールは、Xbox事業開発責任者のロリ・ライト氏とApp Storeチームの複数のメンバーとの間で交わされたもの。その中でMS側はゲームを個別のアプリとしてリリースすることが技術的な課題だけでなく、お客様の不満を解消するためにも現実的ではないとの懸念を示しています。

またMS側はある時点で、ゲームを実体を持つアプリではなく、個別のショートカットとしてリリースすることを提案しています。この手法では、各ゲームはそれぞれ個別の説明とユーザーレビューのあるApp Storeページが用意されつつも、ユーザーはすべてXboxゲームパスのアプリにリダイレクトされることになります。当然ながら、アップルはこの提案を拒否しました。

さらにライト氏は、iPhoneやiPadがApp StoreでXbox独占のAAAタイトル(莫大な開発費が投じられたゲーム)を提供しているとアピールできる機会になると主張しています。たとえば『Halo Infinite』や『Forza Horizon 5』などはXboxやPC独占でPS5ほか家庭用ゲーム機器では遊べる見込みはありませんが、それもiOS上で遊べるというわけです。が、アップルを説得できなかった模様です。

他のメールでは、MSはアップルが提案を拒否している理由は「お金」だと考えていることが窺えます。ほとんどのゲームには、App Storeのアプリ内課金システムでは販売されないような有料DLCがあるためです。

実際アップルはThe Vergeへの声明で「残念ながらMS社は弊社のApp Store レビューガイドラインに準拠していないxCloudバージョンを提案しました。特に、アプリ内の追加機能をアンロックするためにアプリ内課金を使用するという要件を満たしていませんでした」と回答しており、アプリ内課金が決裂した理由の1つだったと認めています。

 記事執筆時点では、XCloudのほかGoogle StadiaなどもiOS向けサービスはWebブラウザ経由で提供されており、アップルがApp Storeでの他社製クラウドゲーミングアプリを認めない方針に変わりはないようです。

少し前にアップルは独自のクラウドゲーミングサービスを検討しながらも、結局は辞めてしまったとの報道もありました。また同社が開発中と見られるMRヘッドセットにつき、キラー機能の1つをゲームにしたいとの噂もありますが、MSのAAAタイトルを凌ぐすごい内容を期待したいところです。

Source:The Verge