Minecraft Earth
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マイクロソフトがスマホAR版マイクラこと Minecraft Earth のサービス終了を発表しました。

2019年秋にアーリーアクセス版として配信したマインクラフト アースは、スマホをかざすARでブロックを組んだり、等身大のマイクラ世界に入り込んで冒険ができるもうひとつのマインクラフト。

開発元 Mojang はサービス終了の理由として、マインクラフト アースは自由に歩き回ることと協力プレイを中心に設計したゲームで、現在の情勢ではどちらも不可能に近いためとしています。

サービスの終了は2021年6月末。終了予告と同時にリリースされた最終ビルドは、未リリースの全コンテンツ解放、課金要素の撤廃、クラフトや精錬の待ち時間撤廃、ゲーム内通貨購入アイテム大幅値下げ、キャラクタークリエータの着せ替えアイテムプレゼントなど、サ終ネトゲにありがちな無礼講大盤振る舞いの内容です。

またマイクラアースで一度でも課金したことがある場合、フルバージョンのマインクラフト本編(統合版、Bedrock Edition)をプレゼントします。

すでに本編を持っているプレーヤーが多い気もしますが、マイクラアースの課金要素はアーリーアクセスだったこともありおまけのようなもので、小さなアイテムなら100円程度だったため、たまたま少額課金していたマインクラフト未所持プレーヤーには降って湧いたお得ではあります。

サービス終了の理由は、「自由な移動と協力プレイが不可能に近い状況」のため、つまり新型コロナウイルス感染症の流行によるものとされています。

具体的にいえば、マイクラアースの主な遊び方にはビルド・プレイ・アドベンチャーの3種類があり、このうち公共の場所や施設に設置するはずだった「アドベンチャー」が今後の展開を見込めないためと考えられます。

ビルドモードは仮想のブロックをARで机や床のうえに表示して、神視点のマイクラのように組んで遊ぶモード。プレイは自分で組んだビルドや他のプレーヤーが共有した作品を等身大ブロックで表示して遊ぶモード。

マイクラアースでもっとも楽しい、ゲームの中核になるはずだった「アドベンチャー」は、現実世界の公園やコラボ施設にマイクラ世界の洞窟や砦といったステージが現れ、友人とあるいは他のプレーヤーと協力して冒険するモード。

このアドベンチャーモードのプレイが初公開されたのは、アップルの開発者カンファレンス WWDC19。AR技術的にもリアルタイムのマルチプレーヤー同期や、人の後ろにARが隠れるオクルージョンなど、極めて先進的な内容でした。

2020年早期のアップデートでは、コロナ禍を踏まえてこの「アドベンチャー」を特定の場所に設置するかわりに、任意の場所に召喚できる「クリスタル」を導入して、どこでも遊べる仕組みとなっていました。

プレーヤーとしてはわざわざ外出の必要がなくもっとも面白い部分が遊べるためありがたい対応ではありましたが、そもそもマイクロソフトがマインクラフト アースに力を入れていた理由には、このアドベンチャーを世界的に展開することで、多数のプレーヤーにスマホを使った周囲環境のスキャンをさせ、Azure Spatial Anchor ほか自社のAR基盤を強化する目論見があります。

Pokemon GO Pokestop Scan
Niantic

たとえばポケモンGOのナイアンティックは、「ポケストップスキャン」のタスクにアイテム報酬を与えることで、現実世界の精細な3Dマップを取得し、自社のARプラットフォーム強化に役立てています。

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ポケモンGOがポケモンという強力なコンテンツでプレーヤーベースを築き、人の流れやプレーヤーのインタラクションを力とするように、マイクラアースはマインクラフトのARゲームというコンテンツを提示することで、マイクロソフトの全社的な野望に資する側面がありました。

ポケモンGOでは現状、ARは使わなくても遊べるオプション的な位置づけですが、マイクラアースはARがなければ遊べず、スマホの要求仕様も将来的な性能向上を見込んで高くなっていました。

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2019年のマインクラフトアース発表時、Mojangの開発チームにレドモンドのマイクロソフト本社で話を聞いた際には、マネタイズについては急がない、「ありがたいことにマインクラフトは本編が充分な収益を上げているので、新作を慌てて収益化するプレッシャーがない」という、他のスマホゲーム開発者が気絶しそうな発言がありました。

裏を返せば、マイクラを通じて全世界をマッピングしてARクラウドを構築する狙いが難しくなった以上、コインを売って課金程度のビジネスならばやる意味がなくなったともいえます。

それはそれとして、遊べるのはあと半年。課金要素もなく、また上記のコロナ対応で自宅でも全要素が遊べるようになっているため、半年限定のイベントアプリと考えれば今から落としても十分に楽しめます。広いビルドプレートに畢生の大作を組み上げるのはおすすめできませんが。