[名称] MINI FLOPPY DISK、5.25インチFD
[種類] 磁気ディスク
[記録方法] 磁気記録
[サイズ] 約130mm
[容量] 約80KB~2.5MB
[登場年] 1976年頃~

今や淘汰された懐かしの記録メディアたちに光を当てるこの連載企画では、ゆるっと集めているリムーバブルメディア・ドライブをふわっとご紹介していきます。

連載:スイートメモリーズ

「MINI FLOPPY DISK」もしくは「5.25インチFD」は、Shugart Associates社が開発したフロッピーディスク。8インチと大きかった従来のフロッピーディスクを5.25インチへと小型化し、PCを始め多くの機器へ搭載できるサイズとして登場しました。

IBMのPCやApple IICで採用されるようになると広く普及し、HDDが普及するまで、メインのストレージとして活躍しています。国内でも、PC-8801シリーズやPC-9801シリーズをはじめとする多くのPCで採用されていました。2つのFDDを搭載したPCで、Aドライブをシステム用、Bドライブをデータ用といったように使い分けていた人も多かったのではないでしょうか。

IBMが1986年頃から3.5インチFDへと移行し始めたこともあり、5.25インチFDは徐々に減っていきましたが、メディア単価の安さもあって意外としぶとく残っていた印象があります。

日本では3.5インチFDへの移行は少し遅かったようで、NECのPC-9801シリーズでいえば、5.25インチFDDモデルと3.5インチFDDモデルの2つが用意されたPC-9801DX(1990年11月発売)が、ちょうど3.5インチFDへとバトンタッチした頃だと考えられます。なお、これ以前にもPC-9801Uシリーズ(1985年6月)が3.5インチFDを採用していましたが、これは小型化するために採用されたもの。あくまで当時の主流は5.25インチFDです。

FDはサイズで呼び分けることが多いため、「5.25インチFD」と呼ぶのが一番素直ですが、5インチ台は他のFDがほぼないため、「5インチFD」や「5インチフロッピー」と略されることの方が多いです。ただし、製品に書かれているのは「MINI FLOPPY DISK」ですから、こちらが一般的な名称と考えた方がいいでしょう。

もう少し細かく言えば、IBMが開発した当初の名称は「フレキシブルディスケット」ですから、そもそも「フロッピーディスク」が通称だったりします。また、JIS規格では「フレキシブルディスク」となっていますので、正式名称にこだわりたいというのであれば、日本では「フレキシブルディスク」と呼ぶのが正しいでしょう。

ちなみにJIS規格では国際単位系を採用しているため、インチ表記はできません。そのため「5.25インチFD」をまともに呼ぼうとすれば、「130mmフレキシブルディスクカートリッジ」となります。

さて、ディスクそのものを見ていきましょう。5.25インチFDは3.5インチFDと違ってシャッターによるカバーがないため、ディスクをホコリやヨゴレ、外傷などから守るために、エンベロープ(ジャケット)が用意されているのが一般的です。利用時はこのエンベロープから取り出してドライブにセット、使用後は、再びエンベロープに戻して保存していました。

ホコリを嫌って、エンベロープの素材は不織布を使ったものが多かったのですが、コストダウンのためか、後に紙へと変更されることが増えました。

5.25インチFDの構造は、ディスクを樹脂製の封筒に入れたような形になっていて、3.5インチFDのように硬質ではなく、簡単に曲げることができるほど柔らかいのが特徴です。

中央の円形の穴がドライブのモーターと接続されるハブで、その下の長細い円が、ヘッドがデータを読み書きする窓です。中央右に小さな円形の穴がありますが、これはディスクに作られたインデックスホールを検知するためのもの。このインデックスホールを基準にして、セクタの位置を正確に把握できるようになっているわけです。

右の辺に一部切り取られた部分がありますが、これはライトプロテクト用の切り欠きで、切り欠きがあれば書き込み可能、ふさがっていれば書き込み禁止となります。

「物理的に切り取られているのに、どうすれば書き込み禁止にできるのか」と不思議に思うかもしれませんが、答えは簡単。シールを貼ります。

ラベルシールと一緒に、こういったライトプロテクトシール(黒いシール)が用意されていたわけです。これも昔はアルミシールだったのですが、紙のエンベロープと同様に、普通のシールへと変更されました。

裏面を見ると分かりますが、3辺が折り返され熱で溶着されているだけの簡単な構造です。また、内側は不織布で保護されているとはいえ、中身は磁性体が塗布されたディスクが入っているだけ。3.5インチFDと比べてシンプルで、安いコストで作れるというのがよくわかりますね。

5.25インチFDは1S、1D、2D、2DD、2HD、2EDの6種類ありますが、基本的な構造はすべて同じで、形の違いはありません。頭の数字は1なら片面、2なら両面という意味。続くアルファベットが記録密度を表すもので、「S」単密度、「D」倍密度、「H」高密度、「E」超高密度となります。最後にもうひとつ「D」がつくのはDouble track、つまり、トラック数が2倍になっていることを表します。

容量はおよそ倍々に増えていて、フォーマット後の容量を列挙すると、1Sが約80KB、1Dが約160KB、2Dが約320KB、2DDが約640KB、2HDが約1.2MB、2EDが約2.5MBといった感じになっています。使用する機器やフォーマットの違いで多少容量の上下はあるので、あくまで目安ですが。

左から、1D、2D、2DDのパッケージです。1Sは入手できていません。ただしMD1-Dのパッケージには「SINGLE-DOUBLE DENSITY」と書かれていたので、1S/1D共通ってことで一応カバーできているかなと……。

2EDは、業務用の富士通OASYSの一部だけで採用されていたというレアなもので、ブランクディスクではなく、システムディスクでの紹介です。

ラベルの媒体種類に「2ED」と書いてある以外特徴がないのが、ちょっと寂しいですね。

5.25インチFDは多くのメーカーが製造、販売を行なっていたため、驚くほど色々な製品があります。クリムゾンシステムズさんのサイトでは、メーカー別に製品パッケージやエンベロープなどの写真が多数公開されていますので、興味がある方はぜひ。レアな2EDのブランクディスクもあります(しかも2種類!)。

コレクション量では間違いなく世界屈指だと思われますので、昔使っていた5.25インチFDをきっと発見できるでしょう。

連載:スイートメモリーズ


参考:

5インチフロッピー エンベロープ画像集, CRIMSON Systems
マルチメディアビギナーズテキスト, 東京電機大学出版局, Google Books
2-2 磁性記録媒体, テレビジョン学会誌 Vol.42 No.4(1988)
Tech information on floppy disks drives and media, Herb Johnson
Floppy disk, Wikipedia
History of the floppy disk, Wikipedia
フロッピーディスク, ウィキペディア