ワシントン大学が「昆虫用GoPro」を開発。虫が背負うロボットカメラ

カメムシでなく虫カメ

Munenori Taniguchi
Munenori Taniguchi, @mu_taniguchi
2020年07月16日, 午後 06:05 in robotic camera backpack
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Mark Stone/University of Washington
Mark Stone/University of Washington

ワシントン大学(UW)の研究者が、昆虫用GoProとでも言うべき極小ロボットカメラを開発しました。このカメラは最大で60度の首振り機能を持ち、バグズライフの世界をストリーミングできます。

カメラの性能は1~5fpsと、ややもすればスライドショー的な映像ではあるものの、カメラの角度調節機能により高解像度かつ虫視点のパノラマ撮影や、虫サイズの動くオブジェクトを追跡撮影したりと言った撮影が可能になります。またこのカメラユニットは250mgしかないにもかかわらず、最大120m離れたスマートフォンとBluetooth接続しての制御が可能。昆虫への負担が非常に少なくなっています。

たとえばスマートフォンに搭載されるカメラを使えば、非常に小さく軽い上に高画質な映像が撮影できるのでは?と思う方もいるでしょう。しかし、そのようなカメラに必要な電力は大きく、十分なバッテリーを搭載すると重量がかさみすぎていまいます。

UW機械工学部助教授のソーヤー・フラー氏は「人間のように大きな生物にとってはそれほど問題になりませんが、昆虫サイズの小さな生物は視覚情報を脳に送るのに安静時エネルギーの10~20%を消費します。そしてハエなどはそのコストを削減するために複眼を用いて高解像度な視覚を手に入れ、また頭を動かすことで、さらに省電力かつ視野を広く稼いでいます」と語ります。

今回の超小型カメラは複眼ではないものの、超低消費電力のモノクロカメラユニットを小さなアームにマウトして視野を稼ぐ仕組みを備えました。そして、アームに電圧をかけると素材が変形してカメラの向きを変え、電圧をなくすとしばらくしてゆっくり元に戻るようになっています。これは人が顔を横に向けるときは力を入れるのに対し、力を抜くと自然に前を向くのと似た動作と言えるでしょう。

また、非常に少ない電力でカメラを動かせる構造は、広角レンズをカメラに搭載するよりも少ないエネルギーで高解像度かつより大きな範囲を撮影できると研究者は述べています。

研究者らは、このカメラユニットをゴミムシダマシ科の昆虫(わかりやすくいえばミールワームの成虫)の背中に背負わせて試験を行いました。ゴミムシダマシはだいたい0.5gの重量までなら運搬できるので、250mg(0.25g)のカメラユニットを背負っても難なく動き回ることができ、斜面をのぼったり木登りもできました。

カメラユニットは加速度センサーを内蔵し、動きを感知して動作する仕組みになっています。そうすることで、虫が動いている間だけ映像を撮影でき電力消費の低減もできました。またカメラの軽量さは虫への負担を軽減し、実験後も虫たちは1年以上生きながらえたとのこと。

チームはまた、虫でなく指先サイズの震動で動くロボットにカメラを取り付け、同様にテストを行いました。この実験では動作中にカメラが動くと映像がブレブレになるため、静止中にのみ撮影を行うようにしたことで消費電力をさらに抑え、90分間動かし続けられるようになったとのこと。

さらにチームは今後のバージョンで、カメラの電源をバッテリーでなく太陽電池で供給することを考えています。

昆虫カメラならロボットでは入り込みにくい岩場を動くことができ、小さな隙間から何らかのサンプルを撮影したり、持ち帰ったりできるようになることも考えられます。サイズこそまったく違うものの、なんだか火星探査ローバーのCuriosityやPerseveranceと、できることは似ているかもしれません。

source:University of Washington, Science Robotics

 
 

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