携帯電話やPDA、カメラなどで利用された「MultiMedia Card」(MMC):スイートメモリーズ File029

SDカードのご先祖様。今もeMMCで生き残っています

宮里圭介(Keisuke Miyasato)
宮里圭介(Keisuke Miyasato), @miyasa
2020年08月31日, 午前 07:00 in sweetmemories
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[名称] MultiMedia Card(MMC)
[種類] フラッシュメモリー
[記録方法] 専用端子(7ピン、13ピン)
[サイズ] 24×32×1.4mm
[容量] 4MB~8GB
[登場年] 1997年頃~

今や淘汰された懐かしの記録メディアたちに光を当てるこの連載企画では、ゆるっと集めているリムーバブルメディア・ドライブをふわっとご紹介していきます。

連載:スイートメモリーズ

「MultiMedia Card」(MMC)は、SIEMENS社とSanDisk社によって開発されたフラッシュメモリー採用メディア。小型情報機器で使われるオープンな規格として誕生したことから、携帯電話はもちろん、音楽プレーヤー、PDA、カメラなど、幅広い機器で採用されるようになりました。ちなみに日本だと「MMC」の略語か、「マルチメディアカード」とカタカナで書かれることが多いです。

最大の特長は、わずか7つのピンで通信を行なうシリアルインターフェースを採用したこと。実装がシンプルで、機器側からのコントローラーも容易なため、スマートメディアのような相互接続性問題が少ない、ピン数が少ないため場所を取らず機器を小型化できる、オープンな規格となるため利用しやすいといったメリットがありました。

標準的なサイズは24×32×1.4mmで、ぱっと見でわかる通りSDメモリーカードとそっくり。それもそのはず、SDメモリーカードはMMCをベースとして開発された上位互換メディアとなっているからです。

同じMMCでもいくつか規格がありますが、中でも電気信号が大きく変わるのが「MMCplus」。この規格はピン数が7つではなく13に増え、1bit(シリアル)通信だけでなく、1/4/8bitの通信に対応しました。さらにバス速度も20MHzから26MHzや52MHzへと高速化されていますので、より高速なアクセスが可能となりました。また、動作電圧は3.3Vだけでなく、1.8Vにも対応しています。

表側は何も変わらないので、裏側から見てみましょう。上の写真は左から通常のMMC、MMCplus、SDメモリーカードです。

MMCの7ピンは素直に横に並んでいるだけですが、MMCplusでは配置だけでなく、形状までかなりユニークなものとなっています。また、右端のSDメモリーカードはMMCplusの下段を失くしたかのような配置です。

規格の登場順は、MMCplusよりSDメモリーカードの方が先。物理的にはSDメモリーカードで2ピン追加され、さらに、MMCplusで4ピン追加されたと見るのが自然でしょう。MMCplusで必要なのは下段の位置にある6ピンですが、SDカードスロットでの互換性を確保するため、SDカードで追加された2ピンと接続されたと考えられますね。なかなか興味深いピン配置です。

見た目にはサイズが同じに見えるMMCとSDメモリーカードですが、実は厚みが違います。MMCが1.4mmに対し、SDメモリーカードは2.1mmと、1.5倍にもなっています。

並べてみたのが上の写真。左がMMCで、右がSDメモリーカードです。よく見ると、SDメモリーカードは2段重ねのような形状になっているのが分かります。この1段目の厚みはMMCと同じ。これにより、MMCはSDカードスロットに挿入できますが、SDメモリーカードはMMCスロットには入らないわけです。

こうしてみると、新しい規格として登場したSDメモリーカードですが、ずいぶんとMMCを引きずった規格だったんだなと、改めて感じました。

SDメモリーカードにminiSDやmicroSDといった小型化された規格があるように、MMCにも「RS-MMC」や「MMCmicro」などがあります。

左から、通常のMMC、RS-MMC、MMCmobile、MMCmicroです。RS-MMCは「Reduced-Size MMC」という名前の通り、ピン互換のまま形状だけを小さくしたもの。横幅や厚みはそのままに、縦が32mmから18mmへと小型化しています。MMCmobileもサイズはRS-MMCと同じですが、ピン数が13へと拡張されているのが大きな違い。つまり、MMCplusの小型版ですね。

これに対してさらに小さいMMCmicroは、形状が全く違うものです。サイズは12×14×1.1mm、さらにピン数は10と、物理的に大きく変わりました。といってもデータピンが削られただけなので、通信が4bitまでの対応となるくらいで、電気信号的には同じです。

せっかくなので、裏の端子部の写真も掲載しておきます。

フラッシュメモリーをメディアに使う機器が増えたのがSDメモリーカード登場後だというのもあって、あまり採用されていた印象がないMMCですが、国内ですと、Windows CE化で遊べた「ポケットポストペット」、キヤノンのDVカメラ「IXY DV」あたりが有名でしょうか。ノキアの携帯電話にRS-MMCが採用されていたので、使っていたという人も多そうですね。

さすがに今はSDメモリーカードが主流となり、MMCという文字を見かけるのは、メモリーカードリーダーが対応メディア数を水増しするときくらいになりました。

とはいえ絶滅したわけではなく、実は、特殊用途向けとして生き残っていたりします。激安ノートPCやタブレット、スマートフォンなどの内蔵ストレージとして採用されている「eMMC」(embedded MMC)がソレです。eMMCはSSDと比べると速度面は見劣りするものの、1チップ化されているため、省スペース、省電力、低価格というメリットがあります。

チップ化されてるなら、“カードじゃないじゃん”と突っ込みたくなりますが、あくまで規格名ということで……。

連載:スイートメモリーズ


参考:

最新フラッシュ・メモリ・カードのいろいろ, インターフェース, CQ出版社
MultiMediaCard Association, Wayback Machine
MultiMediaCard, Wikipedia
Samsung promises 8GB MMCplus card, Biting the hand that feeds IT


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