LAVAC

スマートフォンを買うときに価格やCPUスペックを気にするのは当然でしょう。インドのLAVAはハードウェア構成をカスタムメイドできるスマートフォン「myZ」を1月に発売しました。まるでオプションを選びながら新車を買うように、スマートフォンを構成する各性能を自分で選び、価格を見ながら希望するモデルを注文できるのです。

myZの販売ページでは、価格と各性能を照らし合わせながら簡単に選べるようになっています。

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選べる内容と項目は以下の通り。結構細かくカスタマイズできます。

1. リアカメラ:「13+5+2メガピクセル」「13+2メガピクセル」

2. フロントカメラ:「8メガピクセル」「16メガピクセル(+背面指紋センサー)」

3. RAM:「2GB」「3GB」「4GB」「6GB」

4. ROM:「32GB」「64GB」「128GB」

5. 本体カラー:「レッド」「ブルー」

メモリだけではなくカメラもカスタムできるのが面白いところ。それぞれのスペックを見るとわかるように、myZはエントリークラスのスマートフォンです。基本スペックはチップセットがHelio G35、ディスプレイは6.5インチ1600x720ピクセル、バッテリーは5000mAhです。最小構成は6999ルピー(約1万200円)、最大構成にすると10699ルピー(約1万5600円)なので、両者の価格差は1.5倍開きます。

トリプルカメラを選ぶとフロントカメラは16メガピクセルしか選べないといった制限が若干ありますが、各構成をあれこれいじりながら自分の好みの性能に仕上げる、あるいは予算に収まるモデルをオーダーできるのは、これまでにない仕組みかもしれません。

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ここまで細かくカスタマイズができるのは低価格なスマートフォンだからかもしれませんが、逆にハイエンドモデルでもこの仕組みを採用することは悪いことではないように思います。

たとえば、サムスンのGalaxy S21 Ultraのメモリ構成は12GB/128GB、12GB/256GB、16GB/512GBの3種類ですが、12GB/512GBというモデルが欲しい消費者もいるでしょう。現実的には12GB/512GBモデルが出てきたとしても、16GB/512GBモデルと価格はあまり変わらないものになってしまうかもしれません。

ですが、スペックだけではなく価格の細かい選択肢があったほうが購入の敷居は下がります。企業によっては予算がありますし、一般消費者であっても使える金額には限りがあります。

さすがにハイエンドモデルは高性能カメラが売りですから、カメラ性能をカスタマイズできる、という売り方はできないでしょう。しかし、フロントカメラなら低画質、高画質と2つの選択肢を提供するのは可能かもしれません。

このLAVAのmyZ、販売ページでカスタマイズした内容を反映したモデルが実際にすぐさま工場で生産される、というわけではなさそうです。現実にはメーカーの倉庫には66通りのモデルの在庫がある程度ストックされており、在庫が減っていったものを追加生産してまた在庫を増やす、といったことを行っているのでしょう。しかし、この販売方法を継続していけば消費者の嗜好がわかりますから、新製品開発の参考にもなります。

さて、myZにはもう1つの目玉機能があります。それは後からメモリをアップグレードできること。LAVAのサービスセンターに予約を入れたうえでスマートフォンを持ち込むとメモリを増やしてくれるのです。その場でメモリをはんだ付けして追加するのではなく、基盤そのものを交換するのだと思われますが、2年以上同じスマートフォンを使い続ける人には便利なサービスといえるでしょう。

LAVAによるとmyZの販売方法は「携帯電話の歴史の中で初めて」とのこと。あとからアップグレードできるスマートフォンは「Fairphone」がありましたが、パーツを自分で取り寄せて交換するためにカメラモジュールのアップグレード程度しかできず、メモリ交換はできませんでした。myZはインドでも有数の大手メーカーなだけに、各都市にサービスセンターを構えており、そこで製品のアップグレードができるわけです。

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大量に生産するスマートフォンをカスタムメイドに対応させるのは非効率的なことかもしれませんが、ベースモデルは通常の工場生産を行い、「ストレージ1TB」のような特別モデルはカスタム生産をする、といった作り分けならコストに見合いそうです。

今や製造業の現場では「顧客注文に応じて工場の生産スケジュールを調整し、さらにAIが需要予測を立て、注文が入りそうなスペックの製品の生産準備をあらかじめ行う」という自動化を進めようとしています。生産ラインの自動化だけではなく、オーダーとの直結、さらに将来予測まで行うことで効率化を極限まで進め、さらなるコスト削減を狙っているのです。

いずれスマートフォンの購入は、タブレットの画面に表示されたそれぞれのスペックをタッチして行う、なんて時代がくるかもしれません。LAVAに続くメーカーが出てくるのか楽しみです。