東京ゲームショウ2021より。広島市立大学発のスタートアップ企業Movere社(モヴェーレ)は、VR空間内を歩行するためのマシン「Movere Crus」を展示していました。

狭い部屋でVRデバイスを楽しむ場合、往々にして生じるのが歩行に関する悩みです。VR空間内を歩行しようとすると、現実世界では文字通り壁にぶち当たってしまうという課題がありました。

この課題を解決し、「VR空間を足で歩く」を目指すため、歩行型VRデバイスがいくつか考案されています。Movere CrusもそうしたVR歩行デバイスの1つ。2021年9月上旬に、開発者向け評価版として販売が開始されました。

▲Movere Crus(スタンド付き)

Crusの仕組みはシンプルで、足の腿の動きを読み取って歩行を検知します。腿の部分に当たるクッションの中に荷重計を8個内蔵しており、体重計と同じ原理で腿への荷重を検知します。

VR機器からはマウスと同じポインティングデバイスとして認識される仕組みとなっています。歩く速度も入力操作として繁栄でき、荷重を右や左へ動かすことで、横方向の動きも検知できます。

▲8つの加重センサーを内蔵し、腿の動きを検知する仕組み

実際には歩いているわけではなく、足踏みをしていることになりますが、VR空間の映像を観ながら歩いてみると、実際にその空間内で移動しているかのよう。コントローラーで操作するのとはまた違った感覚でVR空間の堪能できると思えました。

▲歩く感覚で足を動かしてコントローラーを動かせます

歩行型VRデバイスは他社でも開発されていますが、Movere Crusは比較的シンプルな仕組みで場所を取らないこと、そして価格の安さが優位点になるとしています。開発者向け評価版の場合、本体は9万9800円(税・送料込)。PCデスクなどに取り付けて使うこともできます。別売で専用スタンドも用意されています。

広島市立大学講師でMovere社の技術顧問を務める脇田航氏は「将来的にはヘルスケアの分野への応用も目指している」とコメントしており、VRを活用したリハビリテーションプログラムへの応用も期待できそうです。ひょっとすると、VRデバイスをかぶって仮想空間でランニングをする高齢者の姿は、近未来の1風景として当たり前になるかもしれません。