REUTERS/Tingshu Wang
REUTERS/Tingshu Wang

スパイ活動に利用されるとの懸念から中国軍がテスラ車の採用を禁止したことがこのたびBloombergなどによって報じられましたが、これに関してイーロン・マスクCEOは「テスラ車を使って中国やその他の国でスパイ活動をしようものなら、われわれの会社は閉鎖されることになるだろう」と述べ、疑惑を否定しました。テスラは、EVが備えるカメラを使ったスパイ活動があるとの話については公式にコメントを出してはいません。

ロイターが関係筋の話として伝えたところでは、中国軍はテスラ車が搭載するカメラによるセキュリティ上の懸念を理由として、テスラ車の中国軍施設内への乗り入れを禁止したとのこと。テスラ車にはダッシュカムと称する、一定時間前までの360°カメラの映像をUSBメモリーや外付けSSDに記録するドラレコ機能や、駐車中に周囲をカメラ映像で見張るセントリーモードを備えています。またドライバーの状態を見るための車内撮影用カメラも備わっており、これらを使えば、たとえば軍の基地内など、一般が立ち入れない機密を含む場所をマッピングしたり、部隊の動きを把握することが ”技術的には” 可能になります。

マスク氏は、3月19日に行われた中国発展フォーラムにおけるバーチャルディスカッションで中国の物理学者、薛其坤(Xue Qikun)氏と会談し、世界の2大経済大国が相互に信頼を向上する必要があると訴えました。そしてテスラ車のカメラやセンサーが収集する情報のセキュリティに関しての質問には「われわれにはいかなる情報も厳重に秘匿するという非常に強いインセンティブがある」と述べ、スパイ行為などを働けば会社が存続できなくなるだろうと語りました。

テスラやマスク氏がどのようなこを言おうとも、中国側には政治上のカードとしてテスラをやり玉に挙げる動機があると言えるでしょう。トランプ政権下、米国はHuaweiやその他の企業がセキュリティの脅威だとして、エンティティリストに加えていることを依然として不服としており、2月にはHuaweiが米連邦通信委員会(FCC)に対してリストからの除外を求めた訴訟を起こしています。テスラへにこうした疑いをかけておくことは、米中の緊張が高まったとき、一種の報復のためのカードとして切られる可能性を示していそうです。

ちなみに、テスラは昨年、中国で世界全体のテスラ車の販売台数の30%にあたる14万7445台を販売しましたが、今年は中国のEVメーカーNIOや家なく大手のバイドゥ(百度)が吉利と提携して電気自動車市場に参入するなど、競争が激化しています。

Source:Bloomberg, The Guardian