2021年7月27日、NASAは「木星の衛星ガニメデの大気中に水蒸気がある証拠を発見した」と発表しました。スウェーデン王立工科大学の研究グループによるもので、NASAのハッブル宇宙望遠鏡で観測したデータを解析した結果、ガニメデの大気に水の分子が存在する証拠を見つけたとのこと。

木星の衛星ガニメデは、1972年のパイオニア10号による観測を皮切りに、以降さまざまな探査機による調査が行われてきました。例えば、ボイジャー計画ではガニメデの正確なサイズが判明し、1996年から2000年にかけて実行されたガリレオ探査機によるミッションでは、独自の磁場を持つことや地下に大量の水(海)があることが発見されました。また。探査機による調査やハッブル宇宙望遠鏡の観測で、ガニメデの表面が氷で覆われていることや、大気があることも分かっています。

1998年には、ハッブル宇宙望遠鏡の宇宙望遠鏡撮像分光器を用いてガニメデの紫外線画像が世界で初めて撮影されました。紫外線画像を解析したところ、ガニメデの大気状態を示す「光のパターン」は2つ観測され、この違いは大気に含まれる酸素分子によって引き起こされていると考えられました。このとき、酸素分子が引き起こすのとはまた別の「光のパターン」も認められましたが、当時は大気に含まれてる「酸素原子」の影響ではないかと推測されました。

しかし、今回スウェーデン王立工科大学の研究グループが、ハッブル宇宙望遠鏡の宇宙起源分光器で撮影した紫外線スペクトルを撮影し、以前のデータと比べて酸素原子がどのくらい含まれているかを調べたところ、ガニメデの大気中に酸素原子がほとんどなかったといいます。

そこで、なぜ異なる光のパターンが観測されたのかを調べるべく、ガニメデのオーロラの「相対的な分布」を詳しく解析しました。その結果、異なる光のパターンが計測された場所は、「表面を覆う氷が解けて昇華するほどの温度になる場所」と一致したといいます。つまり、その場所の大気は、氷が昇華した水蒸気が含まれているため、大気状態を示す「光のパターン」が異なったのだと推測されました。

大気の状態は特に観測機器に影響をおよぼすため、今回の発見は今後のガニメデ探査の大きな助けになると期待されています。大気や水が存在するガニメデは、宇宙開発においても重要な場所であり、日本も参加しているJUICE(Jupiter ICy moonsExplorer:木星探査ミッション)でも表面や地下の観測を行う計画が立てられています。探査機の打ち上げは2022年を予定しており、2029年には木星に到達するとされています。今後どのような発見があるのか注目です。

Source:NASA