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NASAとSpaceXが「宇宙の安全性を維持・向上させるための情報共有」を行う協定を結びました。SpaceXはすでに1000基を超えるStarlink衛星を軌道上に配置しており、その数を4万2000基にまで増やす計画です。今後さらに数が増えていけば、いずれはロケットや宇宙船の打上げまたは帰還時に”交通事故”が起こらないとも限りません。

この協定はNASAの宇宙機(SpaceXのライドシェアミッション含む)とStarlink衛星の危険な接近や衝突を回避するため、双方でより深いレベルでの調整、協力、データ共有を行い、安全の確保のための取り決め、責任、手順を定義します。

NASA長官代理のスティーブ・ユルチク氏は「社会はグローバルな通信やナビゲーション、気象予測など衛星がもたらす情報に依存しています。衛星を打ち上げる民間企業とのコミュニケーションを強化し、データを交換し、安全な宇宙環境を維持するためのベストプラクティスを確立することが重要だ」と述べています。

NASAとSpaceXは、NASAがミッションに関する情報を特別にSpaceXに事前提供し、打ち上げたオブジェクトがStarlinkに衝突する可能性があっても回避しないことで合意しています。これはNASAからの情報を参照して必要なら事前にStarlink衛星のほうが事前に退避しておくという取り決めです。

さらに、Starlink衛星がISSの軌道から上下に最低でも5kmの距離をとることも取り決めには含まれます。SpaceXとの協定は今後数年間にわたり積極的な情報共有を行うことでさらに衝突の発生を防止する効果を高めるものになることが期待されます。

ちなみに、NASAは今回のSpaceXとの協定に加えて、2020年12月発行の「Spacecraft Conjunction Assessment and Collision Avoidance Best Practices Handbook(宇宙船の衝突評価と衝突回避のベストプラクティス・ハンドブック)」を通じて、軌道上にオブジェクトを打ち上げる企業や団体との間でオブジェクトどうしが接近衝突するリスクを判断するプロセスを構築しています。

民間企業の宇宙進出によって、航空宇宙技術の発達が急速になるのは良いことですが、地上とは異なり、ひとたび交通事故が発生すれば、軌道上に散乱したデブリがさらなる危機を招く可能性もないとは言えません。今後ますます多くの衛星が軌道に投入されるだろうことを考えると、いまのうちに信号機のかわりになる情報共有の仕組みをしっかりと用意しておくのは重要なことと言えそうです。

Source:NASA(1:PDF)、(2)