NASA/JPL-Caltech
NASA/JPL-Caltech

NASAが、2030年までに2つの金星探査ミッションを実施すると発表しました。この2つのミッションは宇宙探査を「より速く、より良く、より安く」行うことを目指すNASAのディスカバリー計画の一環として実行され、ハビタブルゾーンにありながらなぜ地球と異なり過酷な環境になったのかを調査します。


ディスカバリー計画は、探査機を比較的低コストで製造できる小型のものにすることでミッションの実施を頻回とし、かつ継続しておこなうのが特徴。最初の打ち上げは1996年のMars Pathfinderを皮切りに、これまで12のミッションを実施してきています。

今回発表された2つのミッション、DAVINCI+(Deep Atmosphere Venus Investigation of Noble gases, Chemistry, and Imaging)と VERITAS (Venus Emissivity, Radio Science, InSAR, Topography, and Spectroscopy) は、いずれも2020年2月に行われた「ディスカバリー2019」の最終審査に残った4つのミッションコンセプトから選ばれました。


DAVINCI+のほうは、金星の大気に観測球を投じてその組成を調査し、この惑星にかつて海があったのか、またなぜ地球に比べてなぜ灼熱地獄のような環境になってしまったのかを分析します。そしてさらに、金星特有の“tesserae(テッセラ)”と呼ばれる地質学的特徴を示す一帯の高解像度写真を取得し、金星にはないと言われているプレートテクトニクスが本当のところはどうなっているのかを探ります。

一方、VERITASミッションは、レーダーによって金星の表面をくまなく3Dマッピングします。そして地質学的な歴史を調べ、よく似た星ながら金星が地球とは異なる発達を遂げたのはなぜかを考えます。また地表からの赤外線放射を見て、希少な岩石の存在や活火山からの水蒸気の噴出がないかを探します。


NASAはプロジェクト双方に約5億ドルの予算をつけ、2028〜2030年のあいだに打ち上げまでこぎ着けることを期待しています。ディスカバリー計画のサイエンティストであるトム・ワグナー氏は、これらのミッションに関し「われわれが金星についてまだほとんど知らないということがまず驚くべきことだが、これら2ミッションの結果を総合して確認することで、金星の南極地域に見られる雲や火山活動、惑星の内部に至るまでを教えてくれる」「まるで地球を再発見したような感じになるだろう」と述べました。


ちなみに、これら2つのミッションにはNASAが2つの技術的なデモンストレーションを追加します。DAVINCI+には、金星の大気中に存在する未知の紫外線吸収体の性質を明らかにするための観測機器CUVIS(Compact Ultraviolet to Visible Imaging Spectrometer)が、そしてVERITASは宇宙船の自律的な操縦を可能にし、電波観測精度を強化するために利用される原子時計「Deep Space Atomic Clock-2」が搭載されます。

いまは月や火星への有人探査などに目が行きがちですが、2030年頃には金星に関しても我々はもっと詳しくなっているかもしれません。

Source:NASA