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今年6月11日に発売されたNintendo Switch専用ソフト『ナビつき! つくってわかる はじめてゲームプログラミング』のレビューをお送りします。

「はじプロ」(略称)は、任天堂の開発室から生まれたと謳われるプログラミングソフト。ゲームを作って遊ばせる立場だった任天堂が、プレイヤー自らにゲームプログラミングを体験して「つくる」楽しさを知ってもらうことが狙いとされたものです。

その原点は、スイッチと組み合わせて遊ぶ段ボール工作キット「Nintendo Labo」のToy-ConガレージVRにあり。VRキットの中に含まれていたオリジナルゲーム作りのツールは、本来であれば「VRのToy-Con作りを理解した上級者」向けの最終段階として用意されていたもの。それをひっくり返し、「ソフトづくり」を入り口にしたところが原点だったと、開発者自らが語っています

はじプロ」は、ノードンという不思議な生き物をつなぐだけで簡単にプログラミングが楽しめるソフトです。ノードンとはToy-Conガレージにあった「ノード」にキャラ付けをして親しみやすくしたもの。そして「ノード」は「結び目」や「集合点」「節」といった意味であり、ネットワーク構造やツリー構造での個々の要素を意味しています。要は入出力や機能など、「たがいに繋ぐこと」で何らかの働きをする単位と言えます。

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つまりプログラミングでお約束のコードを1行も書かなくていい、各ノードの設定をしてやり線で繋いで信号やデータのやり取りを広げていくことで、プレイヤーの入力を受け付けて何らかの反応を返すゲームが作れるわけです。

プログラミングを学ぶ上で大きなカベとなる要因のひとつは、(たいていは)英語で書かれた小難しそうなプログラミング言語のはず。でもToy-Conガレージのノードでさえ無個性であり取っつきやすいとはいえない、なので生き物(キャラクター)にして、とことんユーザーに寄りそっていく発想でしょう。

ゲームのウラガワに棲む「ノードン」という不思議な生き物たち

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さて、しばらく長い付き合いとなるのが、タイトルの一部にもなっている「ナビつきレッスン」です。ガイド役がつきっきり、手取り足取りねっちりとプログラミングを教えてくれます。

というかソフトの入り口が「ナビつきレッスン」になっており、すべての課程をこなさないことには一切の自由は与えられません。フリープログラミングは「ぜんぶ終わってから」のご褒美です。プログラミングは分かってるからさっさとゲームを作らせろ、という人たちからは不興を買っているゆえんですが、そういう先輩らは他の遊び場を探して頂ければと。

まず最初のプロローグが「リンゴをとれ!」というもの。空中に足場があり、ヒトを操作してリンゴを取りに行くアスレチックゲーム風味ですが、左右に動けるがなぜかジャンプができない……そこにナビことボブ博士(見かけはゼルダのナビィ的な球体)がやって来て、「このゲームは作りかけなので一生かかってもクリアできません」とネタ明かし。そこからゲームのウラガワへと誘われて、各ノードンや繋げ方を学んでいくダンドリです。

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これらノードンを使ったプログラミングこそが「ノードンガレージ」。ヒトもノードンであり、コントローラのスティックを倒した量は「スティックノードン」で、ボタンが押されたかどうかを出力するのは「ボタンノードン」。そしてボタンノードンのBボタンと、ヒトノードンのジャンプポートを繋げば「Bボタンを押せばヒトがジャンプする」というぐあいです。

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最初の分はノーカウントで、レッスンはぜんぶで7つ。1つのレッスンごとに1つのゲーム作り、それぞれシューティングやら横スクロールアクションやら多彩なカテゴリが一通りそろってます。人によってゲームの好みや関心・無関心は分かれたりしますが、どれか1つぐらいは「これが作りたかったんだよ!」と引っかかりそうな気の配りようです。

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プレイヤーを褒めまくって最後までプログラムさせるスゴさ

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それぞれのレッスンは、ゲームを構成するパーツのひとかたまりを作るステップを順番に踏んでいき、全行程は7~10ステップほど。やはりゼロから作って行くために1つのゲームごとに最長で90分ほどかかったりしますが、ユーザーの集中力がそれほど長く続かないこと、まとまった時間が取れないことを織り込んでいるのはさすがゲーム屋・任天堂らしさといったところ。

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レッスン1の「二人対戦!おにごっこバトル」のステップは全7つ。主人公のヒトノードンを動かせるようスティックノードンとボタンノードンを繋げてやり、ゲーム画面として映し出す部分を「ゲーム画面ノードン」で囲み、足場になるところに「モノノードン」の直方体を置き、それをコピー&ペーストで両横に置いてカベにする。

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これら作業は、全てボブのいいなり。しかし自動的にノードンが選ばれるのではなく、指示された通りのカテゴリからノードンを呼び出し、あるいは既定の場所にプレイヤー自らが配置していく。敷かれたレールの上を走って行くしかないものの、どのレールを走るか、どんな風に走るかは「指示を理解しているからできる」という絶妙のさじ加減です。

そして最初からストレートに完成品は作らせません。ヒトノードンをコピーしてオニ役を作らせ、さあスティックとボタンで操作してみましょう……あれ、動かない?という風に、まず未完成な状態を作り出してから完成までの導線を考えさせる。何か足りない、あるいは間違ったコードを読ませてから修正させる、プログラミング教育の基本ですね。

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また主役のひとつといえるノードンは機能なり要素に過ぎませんが、そこにクドいほどのキャラ付けが施されています。たとえば上記のゲーム画面ノードンは「ギョーカイのてっぺん取れるおばけコンテンツ作っちゃおうよ!」「ココをチリバツでゲーム画面に写しちゃうからね」とギロッポンでシースー的なバブル感覚フル全開ぶり。

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またゲームオーバー時のやり直し処理をするリトライノードンは、何かにつけて「やり直したいなあ」というマイナスキャラ。小芝居を見せられているようでムズムズしますが、それでも最後まで掛けあいが見たい……とプログラムへの情熱以外の何かが湧き起こり、レッスンを続けていくしだい。

そうしてステージを作り鬼ごっこのオニを作り、オニが有利すぎると面白くないので玉を転がし、かれこれ30数分ほどでほぼ完成。最後の仕上げは、プレイヤー自らプログラミングを変更すること。もっとも主人公の色を変えたりBGMを変更する程度しかできませんが、「ありもののコードを下敷きに改造する」のも誰もが通ってきた道ということでしょう。

すべて終わると、ずらりと並んだノードンガレージたちが「おめでとう!」「すごい!」と一斉にユーザーをあがめ奉って褒めちぎります。そういえばこのソフト、一度も叱られたことがありません。『リングフィットアドベンチャー』のリングくんも腹筋しようがスクワットしようが褒めまくってましたが、任天堂のトレーニングゲームは「褒めて伸ばす」が大原則のようです。それが正しいのは、飽きっぽい筆者が7つのレッスンすべてやり遂げたことでも証明済みですね。

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スイッチで使えるUSB(無線)マウスはマスト

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なお今回レビューしたのはダウンロード版ですが、パッケージ版にはゲームを遊んでいないときにもノードンの機能や使い方を確認できる「ノードンふりかえりカード(84枚)」が付属。とはいえ、要は「復習用」のため、特になくてもプレイ……いやプログラミングにさしつかえありません。

それよりも買っておきたいのがマウスです。携帯モードの小さな画面だとプログラムの全てを見渡せないため、やはり大画面で楽しめるTVモードがベター。そこでタッチ操作の代わりにマウスが大活躍するわけです。

しかしスイッチはBluetoothのマウスには非対応であり、使えるのはUSB接続だけ。でも有線だとケーブルの取り回しが面倒なので、無線を飛ばすタイプがお勧めです。筆者は「Wireless Combo MK245 NANO MK245nBK」を買いましたが、お手ごろ価格だわ、USBアダプタを繋ぐだけでサクッとキーボードとマウスも接続できて設定に悩まないわで、心の底から気に入ってます。

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