University of Bologna
University of Bologna

人間の腸の中に存在する微生物叢、いわゆる腸内フローラは、健康を保ち老化を防止するために役立っています。それら有益な微生物のうちいくらかは、ホモ・サピエンスとネアンデルタール人が分化したとされるおよそ70万年前にはすでに体内に存在していた可能性があります。

腸内フローラが関連する健康上の項目といえば、たとえば正常な血糖値を保つことから、新陳代謝、体重減量効果や質の良い睡眠を提供するなど多岐にわたります。腸内フローラを良好に維持することは糖尿病、癌、多発性硬化症、心臓病、統合失調症、アルツハイマー病、パーキンソン病、さらにはうつ病などの発症にも影響する可能性があるとされます。

しかし、現代の食生活は潔癖と言えるほど高度に消毒され、加工食品や様々な薬物の使用によって、細菌に頼る場面が減り、腸内フローラの多様性が減少傾向になっています。これが、炎症性腸疾患、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、結腸直腸癌といった疾患の造花に関連していると考えられます。

イタリア・ボローニャ大学の研究者らは、人間の腸内フローラに含まれるどの種類の細菌が自分たちの健康維持に重要かを調べ、現代の食生活で徐々に減少傾向にある腸内フローラの多様性を維持するため、数十年前のネアンデルタール人の排泄物中の細菌成分のDNAを調べました。

研究チームは、スペイン・イベリア半島の南東部、エルソルトにあるネアンデルタール人の遺跡で収集された、およそ5万年前の堆積性糞便(これまでに入手できた糞便物質の最古のサンプル)から抽出された古いDNAを調べました。そしてネアンデルタール人の微生物叢の組成を現代人のものと比較しあところ、多くの類似点が発見されたとのこと。

現代人の腸内細菌叢と古代の排泄物サンプルから発見できた細菌を比較した結果、共通していたのが、食物繊維から短鎖脂肪酸を生成し、代謝や免疫のバランスを維持するのに役立つ細菌たち。幼児期の免疫獲得に重要とされるビフィズス菌もありました。研究者はその他にも多くの細菌の種類を「古くからの友人」として特定できたとしています。

ネアンデルタール人のウ〇コから特定できたこれら細菌種を重点的に保護する食事とライフスタイルを促進していけば、上に挙げたような慢性的な病気の増加を防止し、より健康な生活を維持できるようになるかもしれません。

Source:Communivations Biology
via:Eurek Alert