▲Netflixが「ゲーム」を公開。日本でも無料で楽しめる。まずはAndroidから

映像配信事業者のNetflixがゲームに参入した。正確に言えば、今年7月にゲーム事業への参入発表以降、一部の国でテスト展開をしていたものが、11月3日より「世界展開」となり、日本もその対象国になった……ということだ。

そこにどんな意味があるのか、ちょっと解説してみたい。

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Netflixが提供するゲームは、まずはAndroidとiOS(こちらは数か月以内にスタート)向けのものになる。といっても、いわゆる「ガチャ」などの追加課金要素は一切ない。というか、アプリ自体も、Netflix加入者であれば無料で楽しめる。

ゲームはNetflixアプリとは別に、ゲーム単位でアプリ化されている。だから、実はそれなりの規模のものがちゃんと提供される。Netflixアプリ内に「ゲーム」の列ができて、そこをタップすると詳細がわかり、さらにGoogle Playなどに飛んでダウンロードする……という仕組みになっている。

前述のように、アプリ自体の利用は「Netflix会員なら」無料。ダウンロード自体は誰でも無料でできるが、最初にNetflixアカウントの入力を求められるので、アカウントがない人はプレイできない。

実際には、Netflixアプリが使えるような状態になっているとアカウントの入力は求められないので、以下のような画面を見ることはほとんどないはずだ。

▲ゲームをダウンロードしてもNetflixのアカウントがないと、このように表示が

「はずだ」というには理由がある。11/4夕方になっても、筆者のNetflixアプリに「ゲーム」列が出ないのだ。順番に待てば出てくるとは思うのだが。

カジュアルゲームと「作品由来」の2ライン構成

実のところ、先ほど述べたようにアプリ自体はGoogle Playで公開されているので、検索すればちゃんとアプリが出てきて、単独でダウンロードして遊べる。

Netflixの名前でGoogle Playを探すと以下のようなアプリが出てくるが、「New」とついているのが今回公開されたゲームである。

▲Google Playでの検索結果。「New」とついているのが、今回公開されたNetflix会員向けゲームだ

公開されているゲームは2種類に分けることができる。1つはシンプルなパズルゲームのようなもの、そしてもう1つが人気ドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」関連のものだ。

シンプルなゲームは、本当にシンプル。外部から調達したらしい、ちょっとしたゲームだ。誰でもできるが、そこまでの深みはない。

▲「ティーター」という名前の、ボールをゴールに入れるアプリ。ぶっちゃけかなり難しい

▲「カードブラスト」というパズルゲーム。ポーカーの役を作ってカードを消していく

ストレンジャー・シングス関連は、かなりしっかりしたアドベンチャーゲームである。「ストレンジャー・シングス 未知の世界」というドラマシリーズ自体が1980年代を舞台にしているので、80年代っぽいピクセルベースのゲームになっている。

▲「ストレンジャー・シングス3:ザ・ゲーム」。ピクセルベースの、ちょっと懐かしいスタイルのアドベンチャーゲーム。かなり良くできている。ただし「ネタバレ上等」なので、作品を見てからプレイするのがおすすめだ

実はこのゲーム、もともとはスマホ向けではない。

ストレンジャー・シングスのシーズン3が2019年7月にスタートする際、合わせてPC(Steam)やPS4、Nintendo Switchに向けて、「Stranger Things 3:ザ・ゲーム」が有料配信されていた。価格は日本向けの場合、980円だった。出来は良く、それなりに好評だった。

▲今年8月まで、Steamで「Stranger Things 3:ザ・ゲーム」が販売されていた時の画面。当然ながら、公開されたスマホ版にそっくり。現在は検索しても出てこない

「だった」でお分かりかとは思うが、このゲーム、今は配信が停止されている。今年夏までは配信されていたのを確認しているので、今回のNetflix内でのゲーム配信に合わせて販売が停止されたようである。

供給されたゲームの内容もこのゲームをかなり忠実にスマホ版に変えたもので、内容もほぼ同じと考えて良さそうだ。

「顧客維持」が最大の目的、当面はモバイル向けが主軸

こうしたことから、Netflixのゲーム事業の狙いは見えてくる。

彼らが必要としているのは、「Netflixを解約されないこと」「Netflixアプリに触れ続けてもらい、結果として映像作品に触れる機会を増やすこと」だ。

スマホゲームを暇つぶしと捉えるなら、簡単なパズルゲームなどは重要だ。言葉は悪いが面白ければどれでもいいわけで、Netflixの中で見つかればそれをありがたいと思う人もいるだろうし、そういう人が「ゲームもあるからネトフリの契約を続けよう」と思えば御の字だ。

もう一方の映像コンテンツに紐づく方は、まさに「ファン向け」だ。いくらNetflixが積極的に映像作品を作るからといって、1つのシーズンが終わり、次のシーズンが始まるまでには1年なり2年なりの準備期間が必要になる。その間、ファンのリテンションを維持し続けるためには、なにかの施策が必要になる。

また、出来の良いゲームであれば、そちらから映像の方をみたい、という人も出てくる可能性が高い。

理想はゲーム自体で大ヒットを飛ばし、そこからも収益を得ることかもしれない。だが、そのためには、相当のゲーム開発ノウハウが必要になる。巨大なゲームスタジオをいくつか買収しないと実現できないだろう。そこまでやっても、AAAタイトルのように「ゲームだけで大儲け」できるタイトルを作るには、映像制作以上に長い年月と試行錯誤が必要になる。

それは、現在のNetflixにとってさすがにリスクが高すぎる。

だから同社は、決算説明などで「当面モバイル向けに特化する」としている。開発規模的にも、目指すもの的にもそれがふさわしい。

ちなみに、日本でスマホゲームというと、いわゆる「ガチャ」が実装された、ゲーム内コレクション性の高いものが思い出されるが、おそらくNetflixはその手のものは作らないだろう。欧米ではガチャ(ルートボックス)に対する風当たりが日本以上に強いこと、Netflixが「追加料金なしで」というビジネスモデルを続けていることなどが理由だ。ガチャを導入して利益率をあげても、それが本職である映像配信からの顧客離れにつながっては意味がない。

だから当面は、今回追加されたような「カジュアルゲーム」と「映像IPと連携するゲーム」の2本立てで進むのではないか、と予想できる。