Nicholas Blelloch
Nicholas Blelloch

米ダートマス大学の研究者が、非常に強力にくっつき、剥がすときはまったく力もいらず跡すら残さない接着材料を発見しました。この材料は、たとえばスティック糊のような用途には使えないものの、工業製品の接着や医薬品への応用などに期待が持たれます。

ダートマス大学化学助教授のキャサリン・ミリカ氏はこの材料について「他の接着剤とはまったく異なる方法で機能」し、「このイノベーションは接着状態から必要に応じて分離させられる新たな製造戦略を可能にするでしょう」と述べています。

通常のポリマー系の接着剤は、非常に絡み合った化学的な鎖のようなもので強固な結合構造を持っています。そのため、これを剥がすには、結合を切断するために溶剤を用いて化学的に切り離すか、機械的に非常に強い力を加えて破壊する必要があります。

しかし今回の研究で接着剤としての利用が考えられる材料は、分子結晶と呼ばれる性質を持ち、固体として存在するときは人ひとりをつるしても落ちないほどの、ポリマー系接着剤と同様の接着強度があります。一方、剥がしたいときは真空環境下で加熱することでこれを昇華(気体に変化)させ、接着剤の部分だけを文字どおり消しさってしまえるとのこと。

剥がすときに溶剤や強力な力を必要としないことから、この材料は「半導体製造や医薬品開発などの技術的アプリケーションに役立つ可能性」があると研究チームは考えています。たとえば、コンピューターチップを製造する工程では、シリコン部品を一時的にテープを使って固定する部分ががあります。それを簡単に接着分離できるようになれば、製造可能なチップのサイズもさらに非常に小さくすることができるはずです。

もし家電製品などの組み立てに使えれば、リサイクルで回収した後、真空状態で加熱するだけで部品がバラバラになり、効率が良いかもしれません。

ただ研究チームいわく、この発見がすぐにどこかの工場で使われるようになるかといえば、まだまだその可能性は低いとのこと。それでも、いずれ電子機器製造などの分野での用途が見いだされることを希望すると述べています。

source:Dartmouth College