Repair
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米ニューヨーク州上院議会は6月10日(現地時間)、デジタル公正修理法(the digital fair repair act)、いわゆる「修理する権利」法案を51対12で可決しました。同様の法案はこれまでも多くの州で検討されていますが、可決されたのはニューヨーク州が初とのことです。

デジタル機器が高度化・複雑化するのに伴い、その修理自体が難しくなっていますが、それとは別にメーカー側が認定業者以外での修理を認めないという流れが一般的になっています。スマートフォンの例でいうと、認定業者以外にはサービスマニュアルや治具などを提供せず、また正規部品も販売しないなどです。このため、独立系修理業者などでは、サードパーティ製の部品を使い修理を行うことも少なくありません。

これに対し、ニューヨーク州上院で可決された法案では、認定修理業者が利用できるのと同じ部品や情報を、独立系の修理業者やエンドユーザーでも公正かつ合理的な条件で入手可能にしなければならないというもの。これには、ハードウェアだけではなくソフトウェアも含まれており、ロックされたデバイスの解除なども対象となっています。

ここで言う公正かつ合理的な条件とは、認定業者に提供するのと同じ価格・条件ということで、認定業者のみ安価に提供し、独立系業者には割高に設定するということはできません。ただし、必ずしもすべての部品や情報を提供しなければいけないわけでもなく、認定修理業者にも提供していない部品などについては対象外となります。製造終了などで、メーカー側も入手できない部品も同様です。

なお、上院議会で可決されたとはいえ、また下院での議決や州知事による承認というステップが残っており、最終的に法案が成立するかはまだわかりません。この残りのステップについては、ニューヨーク州議会の通常会期が終了したため、結論は2022年まで持ち越しとなる見通しです。

米公益研究グループ(PIRG)の調査によると、ニューヨークではデジタル機器の買い替えではなく修理により、年間約24億ドル(約2600億円)、平均的な家庭では年間330ドルを節約できるとのこと。また、65万5000トンの電子廃棄物を削減できるとiFixitは伝えています。

自分自身で修理をするかどうかはともかくとして、近所の修理業者でも認定業者と同等の部品を使って修理できるようになるのは、消費者としては歓迎したいところ。まだ米国の1州でそうなる可能性が示されたにすぎませんが、今後、他の州や国でも追従する動きになるのか、結局立ち消えてしまうのか、注目しておきたいところです。

 

Source: The New York State Senate via iFixit