ThinkPad TrackPoint Keyboard IIレビュー。徹底改良で「超良移植」に(訂正)(橋本新義)

7年待った甲斐は十二分にありました

橋本 新義(Shingi Hashimoto)
橋本 新義(Shingi Hashimoto)
2020年05月26日, 午後 01:00 in wireless keyboard
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ThinkPad TrackPoint Keyboard II 日本版
  

2020年5月26日に開催された、レノボ・ジャパンの2020年版ThinkPad製品発表会。ともすれば主役たるノートPCの数々よりも注目を集めたかもしれない製品が、1月のCESでプレビューされた小型無線接続キーボード『ThinkPad TrackPoint Keyboard II』でした。

販売価格は1万4500円(税別)、発売日は5月26日です。

今回は、発売前にレノボ・ジャパンからお借りできた本機(日本語配列版)をレビューします。

【お詫びと訂正:5月26日14時10分】当初本記事にて、「電源オフ時では、USB接続の有線接続として使える」「無線・有線接続兼用だった」旨の記載がありましたが、これは誤りです。

本機は「USBで充電を開始すると、本体側の電源をオフにしていても自動的にUSB給電により動作するが、接続はBluetoothや独自無線となっている」挙動を示しますが、筆者がこの点を誤解したところが原因です。

読者の皆様。および関係者の皆様にはご迷惑をお掛けし、申し訳ございませんでした。お詫びとともに訂正いたします。


7年待った価値あり!! な全面改良モデル

ThinkPad TrackPoint Keyboard II 日本版
▲本機(下)と2013年発売の『ThinkPad Bluetooth ワイヤレス・トラックポイント・キーボード』(上)。パッと見では似た形状ですが、中身は大きく改良されています
  

本機こと『ThinkPadトラックポイント キーボードII』(日本名)は、2013年に発売された現行モデル『ThinkPad Bluetooth ワイヤレス・トラックポイント・キーボード』(日本名)から7年を経て発売される後継モデルです。

初公開時の参考記事:

ThinkPad仕様単体キーボード、7年ぶり世代交代。BT+独自無線の2台接続、USB-C充電など大進化(2020年1月)

ThinkPad TrackPoint Keyboard II 日本版
▲写真中央の赤い物体がTrackPoint。キーボードから手を離さずともマウスカーソルが動かせます。ゲームパッドのジョイスティックのように力の入れ具合で速度が変わります

同記事でも紹介しましたが、現行機はTrackPoint(トラックポイント:マウスの代わりに使える、アナログジョイスティック風のポインティングデバイス)こそ搭載するものの、発売時の時点で、既に同時期のThinkPadに比べて一部の仕様が“遅れて”いたなど、惜しいところも散見されるモデルでした。

ThinkPad TrackPoint Keyboard II 日本版
▲独自無線(USBレシーバー付属)とBluetoothとの切り替えは、本体右奥(右上)にあるスイッチで選択可能。BTペアリング開始もこのスイッチが兼用します

しかし本機は、そうした遅れを一気に解消するだけでなく、本体(筐体:きょうたい)の剛性やキーの端を押した際の打鍵感といった、キーボードとしての基本的な完成度に関わる点、そして無線接続性や使い勝手といった点までも大きく強化した全面改良モデルとなりました。

外観だけではわからない、こうした中身の全面改良により、7年待っただけのことはある完成度となっています。


高級ThinkPadの打鍵感が単体で。素晴しい「移植度」

ThinkPad TrackPoint Keyboard II 日本版
▲ThinkPad USB トラックポイントキーボード(SK-8855、左下)と現行モデル(右下)で3世代そろい踏み。基本的なコンセプトはほぼ変わっていません

まずは結論から。ずばり「(現行モデルの発売から)7年待った甲斐はあった」「これまで以上の、誤解を恐れずに言えば『大きな壁を超えた』ほど、高級ThinkPadからの移植度が高い」と言ったところです。

さて、ここで出てきた「移植度」という言葉には説明が必要でしょう。これは「元となったThinkPadでの打鍵感に対して、どれだけ近いか」というパラメータを表現したもの。

実は厳しく表現すると、現行モデルや先々代に該当する『ThinkPad USB トラックポイントキーボード』(いわゆる「55Y9003」、または「SK-8855」)では、残念ながらこの点における評価はあまり高くはありませんでした。

もちろんキーボードの打鍵感は官能評価が主体であり、そもそもが打鍵する際の体調によっても大きく変動します(本稿でこれから出てくる評価も、筆者の視点によるものです)。

しかし、歴代機種に対する移植度の低さに関しては、筆者の周囲のユーザーなどからも複数回「TrackPointは便利なんだけど、やっぱりキーの感触はどこか違うんだよね」的な意見を聞いたことが多かったため、これは筆者だけではないと思います。

ThinkPad TrackPoint Keyboard II 日本版
▲ユーティリティをインストールすると、キーボードのプロパティに専用設定が。TrackPointの感度はスライダーで設定できます
  

またヘビーユーザーにとっては、ともすれば打鍵感以上に重要なTrackPointの最大感度(≒速度)ですが、こちらも昨今の高級ThinkPadと同様の“4K解像度でも使える速度が出せる”仕様でした。

ThinkPad TrackPoint Keyboard II 日本版
▲キー配列は現行のThinkPadに準拠した仕様に。Page Up/Downと矢印キー(カーソルキー)の間も隙間が空けられたタイプで、誤操作が防げます

こうした理由から本機は、ここ3~4年ほどの高級ThinkPadを併用していて、「単体版は、確かに配列などはThinkPadのキーボードなのだけれど、どこか打鍵感が違うんだよな……」と感じていた方にこそ、ぜひ一度試してみてほしいモデルです。

なお、高級と念押ししたのは、実はThinkPadのキーボードは、廉価モデルと高級モデルでは打鍵感の差が意外なまでに大きいためです。本機は高級モデル――具体的に言えば、ThinkPad T480/490sに近い打鍵感に思えました。

もちろん、そもそも昨今の(昔と比べるとキー押下圧が軽め傾向な)ThinkPadキー自体に対する好き嫌いはあるでしょうが、総合すれば他メーカーの製品も含めて、昨今の薄型キーボードとしては第一線級の完成度と評して良いかと思います。


Bluetoothの(再)ペアリングも手間いらず

ThinkPad TrackPoint Keyboard II 日本版
▲Bluetoothペアリングは、「データを消去せずに再ペアリングができる」便利な仕様。下2つは同一個体です
  

Bluetooth接続も、マルチペアリングこそ非対応ですが「ペアリングデータを削除しなくても新しくペアリングが可能」という、再ペアリング時の手間を大きく省ける仕様が導入されています。

ThinkPad TrackPoint Keyboard II 日本版
▲独自無線(2.4GHz帯使用)は、USBレシーバーでの接続。レシーバー側もかなりコンパクトです

ThinkPad TrackPoint Keyboard II 日本版
▲未使用時のUSBレシーバーは、本体の収納スペースに装着しておける便利な仕様。「気が付いたらBluetoothでしか使っていない」という勿体ない? 使い方も防止できます

さらにさらに。独自無線用のUSBアダプタはコンパクトかつ本体に収納可能で、独自無線とBluetoothの切り替えは電源入れっぱなしでOK、そして切り替え時速度も高速……と、「複数のホスト側機器で使い回すキーボード」としての完成度は非常に高いものでした。

ThinkPad TrackPoint Keyboard II 日本版
▲地味ながら大きな改良が、電源スイッチ。”長引き”しなくても、すぐに電源オンにできます(写真はオフの状態)
  

また個人的には、電源スイッチ形状の改良も嬉しいところ。現行モデルでの電源はスライドですが、運搬時に電源がオンになる事故防止のためか、2秒程度の“長引き”が必要なタイプでした。

対して本機では、同じスライドスイッチでも物理的に移動する機構となっているため、オン・オフが素早く行えます。さらに電源オン時から入力までのレイテンシも短いため、パッと電源を入れてすぐに使えるのです。

歴代ThinkPadブランドキーボードは、TrackPointによってマウスが不要ということもあり「エンジニアが持ち歩いて、キーボードレスのマシンのメンテに使う」という用途においても人気が高かったのですが、本機はそうした用途で使っても、これまで以上に便利となりそうです。


個人的評価ポイント20個を一気に紹介

このように本機は、現行機や各種Bluetoothを使ったユーザーにとっては、あまりにも紹介したい点の多いモデル。ということで、個人的に試用時に「ここはポイントだ」と思った特徴20点を列挙してみました。

ヘビーThinkPadユーザーであれば、また各種Bluetoothキーボードを渡り歩いているキーボード温泉街(あるいは沼)の住人であれば、いくつかは頷いていただけるものかと思います。

ThinkPad TrackPoint Keyboard II 日本版
▲Bluetoothキーボードのヘビーユーザーにとっては見逃せないポイントが、まだレアな(Windows)Swift Pair対応。Win 10側が対応していれば素早くペアリング可能です
  

  1. 個人的に感じた部品グレードはT480s(あるいはT490s)級。キー表面の加工も同機のように「適度なザラつきのある」タイプ。ゆえにX1 Carbon(滑らかなタイプ)に慣れたユーザーは違和感があるかも

  2. 体感上の押下圧もやはりT480s系に近い「3年前程度のThinkPadよりも軽めに感じる人が多いであろうフィーリング」。もちろん個人差や部品個体差(実はこれが馬鹿にならない)もあるが、古くからのThinkPadユーザーは、慣れないうちは軽く感じることが多いのでは

  3. 筐体全体の剛性感が大幅に向上。ヘビーユーザーからは最大の弱点とも称された「ひねった際の曲がりやきしみ音」がほぼ解消。別モノと呼べるほどに改良されている。キーボード面にあるキー間の柱と外枠が一体になった“X1 Carbon式筐体”となった点が要因として大きそう

  4. 内部パンタグラフも現行機から改良されており、いわゆる「キーの端を押した場合の反対側の浮き」が、現行機よりも大幅に低減している。筐体の剛性感と合わせて、現行モデルでヘビーユーザーから指摘が多かった「どこか安っぽい感触」が大きく改良された

  5. FnロックやCapsLock状態のLEDも、現行ThinkPadと同じ白色版をしっかり装備。ただしスピーカーとマイクミュートのLEDは省略されている

  6. 現行ThinkPadの配列なので、Page Up/Downと矢印キーの間も隙間が空けられたタイプに。これにより誤操作は大きく減少した。個人的にはページ操作を多用するので、これは嬉しいところ

  7. 視覚障害者向けの点字入力操作『6点入力』(F、D、S、J、K、Lキーの同時入力)は公称通り対応する(というより、実は現行モデルでも対応している)。しかしNキーロールオーバー仕様ではない

  8. 高解像度画面ユーザーが気になる「TrackPointの感度が低いのでは?」問題もバッチリ。デフォルトでも昨今のThinkPadと同じ程度の感度(スティックを押す圧力に対する感度。マウスで言うところの解像度[dpi])に調整されている。加えてWindowsではユーティリティの導入で感度の増加・減少も可能

  9. クリックボタンはロープロファイルタイプなれど、クリック感はしっかりした構造。それゆえかここ3年のX1 Carbonなどで採用されている静音仕様ではない

  10. クリックボタン中央にあるセンターボタンは、おなじみの「支点が手前(下)側にある」タイプ。一部のユーザーが危惧していた「一部ThinkPadで採用されていた、支点が奥側のタイプでは?」という心配は杞憂

  11. 基本動作LEDに加えて、USB端子の上部に通電を示すLEDを搭載(現行モデルから継承)。充電状態が専用のLEDで確認出来るため、わかりやすい

  12. 電源ボタンはハードウェアのスライドスイッチになり、"長引き"しなくてもすぐに使えるように。さらに待ち時間もほぼない。スリープなどからの復帰も高速

  13. Windows/Androidの配列切り替えスイッチは奥(上面)側にあり、わかりやすい。機能として目立つところでは、F9からF12がAndroidナビゲーションキー(「戻る」や「ホーム」、「履歴(タスク)」など)に変更される

  14. 本体側のUSB端子はType-Cに。付属ケーブルはType-A to Type-Cタイプ。Type-Cで統一しようと考えているユーザー(筆者含む)にとっては嬉しいところ

  15. 独自無線用のUSBアダプタはコンパクトで、かつ本体背面側に収納できるためとても便利。端子形状がType-A仕様なのは良し悪しか。ロック機構などはなさそうだが、簡単には抜けないぐらいのテンションは確保されている

  16. Bluetoothマルチペアリングは非搭載なれど、ペアリングは”ダブって登録できる”タイプに。他デバイスを使った後の再接続でも、既存ペアリングを削除せず再接続ができるため、面倒くささが大きく軽減されている(素晴しい)

  17. ペアリング開始はハードウェアスイッチ(独自無線/Bluetooth切り替えスイッチと兼用)のため、キーコンビネーションを忘れても迷わない(Bluetoothキーボードを複数運用しているユーザーに優しい!!)。さらにキーコンビーネーション(Fn+Delete)でも可能

  18. プレビュー時の予告通り、Windows 10でのSwift Pair機能に対応。OS側が有効になっていれば、通知表示だけで一気にキーコード入力までが行える

  19. Lenovoロゴが左上に印刷されているが、2018年版以降のX1 Carbonと似たロービジ(低視認性)塗装となっているため、ぱっと見では目立たない

  20. 一方で、現行機の弱点とされた角度可変用スタンドの構造はほぼ変わらず。展開時には現行機と同様、折らないように気を付けたい。素材などでの改良はなされていそうだが、ここは疑問なところ


「ThinkPadキーボード界のエムツー移植作品」と呼べる高い移植度

ThinkPad TrackPoint Keyboard II 日本版
▲全般的な完成度という点で非常に重要なのが、キーボード面カバーの構造。本機(手前)ではキー間と端の部品が一体成型ですが、現行モデル(奥)ではキーボード部品と分かれています。このため、本体を捻ったときの剛性感は別モノまでに増しています

ここまでポイントを列挙してきましたが、改めて見てもその多くが(個人的な好みもありますが)ポジティブな改良点となっています。中でもいくつかは、現行モデルを使っているユーザーであれば「ここをしっかりと改良してくれたんだ!!」と感じるポイントのはずです。

また、いい意味で意外だったのは、こうしたポイントの中で、キーボードとしての基本的な完成度に関わる箇所(筐体のひねり剛性アップなど)や、接続に関する使い勝手といった、基本かつ重要なレイヤーでの改良が多かった点です。

ThinkPad TrackPoint Keyboard II 日本版
▲見た目でも大きく異なる箇所の一つが、最上段のレイアウト。一部キーの間に隙間が空き、誤操作をしにくくなりました

乱暴な言い方をすれば、本機をはじめとするTrackPoint付き単体キーボードはその特徴ゆえ、「他に特徴がなくても一定数のユーザーは購入してくれる」タイプの製品でもあります。

しかし本機はそうした立場にあぐらをかかず、ともすれば歴代TrackPoint付きキーボードでも最大とも呼べそうなほど、徹底した改良を施したモデルとなっています(笠原一輝氏がPC Watch誌にて「“赤ぽっちキーボード”史上最高の出来」と称したのも頷けるところでした)。

ThinkPad TrackPoint Keyboard II 日本版
▲現行モデル(底面側)と外観上も大きく違うのが、TrackPointのクリックボタン。ストロークは短くなっていますが、打鍵感はいい意味で遊びが減少しています

さて、レノボ側はCESでのリリースにおいて、本機の特徴を『ThinkPadの象徴的(iconic)なタイピング感覚を単体キーボードに移植しました』『キーキャップとキーピッチ(キー間距離)、押下圧、キー支持機構、キー応力からTrackPointに至るまでThinkPadと同じです』と表現していました。

正直筆者は当時「でもこのあたりは歴代機種と同じく浅いレイヤーでのフレーズであり、差し引いて考える必要があるのかも……」と冷ややかに見ていました。

ですが実際に使ってみたら、「歴代の機種では使われてこなかったこれらのフレーズが、なぜ今回謳われているのか」という意味合いに納得させられた次第です。

ThinkPad TrackPoint Keyboard II 日本版
▲現状で数少ない疑問点が、底面スタンドの構造が現行モデルとほぼ同じに見える点(手前が現行モデル、奥が本機)。現行モデルで「折れた」「外れた」との声が多々あったことから、改良が加わっていてほしいところ

このようにTrackPoint Keyboard IIは、メーカー側が改めて強調するほどの“高い移植度”を備えた、そして実際に使ってみるとそれが感じられる完成度のモデル。

もちろん、「現行モデルからは大きく低減されたものの、そもそも薄型キーボードゆえの底付き感は若干残るため、なんとか改良を」といった点や、さらに高望みをすれば「『ThinkPad 25』で採用された7段配列のモジュールを使ってくれ」といった要望などもあるため、当然完全無欠の製品ではありません(そもそも、ThinkPadの打鍵感自体が趣向の強いものでもあります)。

ですが、まずは“レトロアーケードゲームにおけるエムツーやゴッチテクノロジーの手による移植”的な完成度の、打鍵感レベルでもThinkPadの銘がふさわしい単体キーボードがついに購入できることを喜びたいと思います。そう、「我々は7年待ったのだ!!」

Source:レノボジャパン ニュースリリース

 
 

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