▲登場した遠隔型自動走行タクシー。運転席には……人はいません。
▲登場した遠隔型自動走行タクシー。運転席には……人はいません。

2020年11月5日から11月8日(日)にかけて、東京の西新宿エリアで、5G通信を活用したタクシー車両による遠隔型自動走行(運転席無人)の実証実験が行われます。主催は新宿副都心エリア環境改善委員会で、ティアフォー・Mobility Technologies・損害保険ジャパン・KDDI・アイサンテクノロジーが協力します。

5日はその初日として、東京都の宮坂副知事を乗せた運転席無人のタクシーが車両が京王プラザホテルからKDDIビルまでを走りました。

また、6日~8日は京王プラザホテルから新宿中央公園まで、予約サイトで予約した人の中から抽選で当選した一般客を乗せて、セーフティドライバー同乗ながらも自動運転の試乗が行われます。なお、予約サイトの募集期間は10月18日で終了しています。

kanban
▲途中ルートには「自動運転実証実験中」の看板が。

■自律走行+5Gによるサポートで運転席を無人に

この自動運転ですが、5Gで通信……といっても遠隔操作で誰かがハンドルを握っているわけではなく、基本的には、自動車が自律的に走行します。

正確には「タクシー」ですので、「配車アプリ」でリクエストされたように、客の待っている場所へ向かい、そして目的地へ向かうのですが、この際の運転を人の手を介さずに行います。

この実験で使用される車両には、ベースに一般のタクシーと同じ「JPN TAXI匠」(形式:DAA-NTP10)が使用され、自動運転用機構としてLiDARセンサーを6台、物体認識用カメラ6台、信号認識用カメラ2台、GNSS(衛星測位システム)1機、IMU(慣性計測装置)1機が搭載されています。

また「Autoware」というソフトウェアとコンピュータ数台も搭載して、これらが自律運転を制御しています。

JPN TAXI
▲車両を近くから……一般に使われる「JPN TAXI」の頭上に青いLiDARなど様々なセンサー類が搭載されている(株式会社ティアフォー提供)

Car console
▲ちなみに運転席とナビはこんな感じだ。カーナビ画面に見える部分には3Dマップと自車位置が表示される。

この実験に使われた自動運転システムでは、歩車分離・区画整理された市街地の道路で、かつ車もさほど多くない環境であれば、ほぼ自動運転が可能です。合流やレーンチェンジ、車線変更での路上駐車回避や交差点での右折、横断歩道での一時停止といった動作もこなせます。

Car LiDAR Image
▲タクシーは基本的に車載コンピュータ群によって自律的に走行する。内部で三次元地図を処理し、自車位置や進路を認識している。

ただし現状では、歩車分離されていない道路や車線がない道路、および渋滞・事故・緊急車両・道路工事・中央線を超える路上駐車・歩行者や自転車の追い越しといった、イレギュラー事態への対応が自動運転には困難です。これらの場合はドライバーが手動で運転に介入しなければなりません。

なお、従来は自動運転車に搭載する計8台ものカメラの映像を、遠隔地の監視室に送る場合、LTEの帯域ではカクつきが生じるため、ドライバーが実際に運転席に座って運転する必要がありました。今回の実験では、5Gの高速大容量・高信頼低遅延通信の特徴を活かし、このようなイレギュラーケースでも遠隔運転を行うことで『運転手が実乗しない自動運転』にチャレンジできるようになりました。

TAXI Cruise Control Room
▲KDDI新宿ビル内に置かれた遠隔監視室。タクシー搭載の8台のカメラの画像がここで見られる

遠隔監視施設はKDDI新宿ビル内に設置されており、机下にPC、机上にハンドルと車窓カメラ映像を映すためのディスプレイが3台、それに横にノートPCが1台地図表示用に置かれています。

我々が遠隔監視室を見学したときは、ちょうどタクシーは、京王プラザホテルからKDDIビルを抜け新宿中央公園に向かうところでした。監視員はイスに座っていましたが、自動運転が非常に快調に作動しており、全くすることがなく手を膝の上に置いたままで、タクシーは順調に走っていました。8枚のカメラ画像もKDDI新宿ビル付近の5Gエリア内ではカクつきが起きることなく、順調に流れるように動いていました。

なお、このサービス実証では、特に専用の5G基地局を設置しているわけではなく一般の5Gスマートフォンが使える5Gの電波をそのままを利用しています。京王プラザホテル~KDDI新宿ビルのエリアは、auの5Gがまず外れることがスポットであるため、このような無人運転が可能なのだそうです。

■続いて全国に、2022年度以降事業化へ……

ちなみに一連の実証実験での各社の役割分担は

ティアフォー

・自動運転タクシー車両の開発

・配車管理システム・遠隔監視システムなど周辺システムの開発・提供

・自動運転車両のセーフティドライバー・システムオペレーターの提供

Mobility Technologies

・配車アプリ開発など

・配車・遠隔監視などの運行管理システムの開発

・サービスオペレーションセンターの体制構築

損保ジャパン

・自動運転タクシー運行にかかるリスクアセスメント

・自動運転車両向け保険の提供 など

KDDI

・自動運転向け通信基盤(5G、LTE、固定回線等)の提供

・配車アプリ連携したマルチモーダルプラットフォームサービス展開

・配車・遠隔監視などの運行管理システムの開発

アイサンテクノロジー

・自動運転タクシー用の高精度3次元地図の提供

 となっています。

今回、ティアフォー、MoT、損保ジャパン、KDDI、アイサンテクノロジーの5社は、環境改善委員会と協定を締結し、東京都や新宿区、京王プラザホテルの協力のもと、環境改善委員会が主催する本実証でフェーズⅡ最初となる自動運転車両の公道走行実験を行ったわけですが、同様の実験を西新宿を皮切りとして全国で行い、2022年度以降に事業化したいとしています。

Source:KDDI