mineoやIIJに続き、ソニーネットワークコミュニケーションズのnuroモバイルが、新料金プランを発表しました。名称は「バリュープラス」。主な料金プランは3GB、5GB、8GBの3種類で、それぞれ金額は、音声通話対応で720円、900円、1350円になります。nuroモバイルの回線はmineoと同様、ドコモ、au、ソフトバンクのトリプルキャリア対応ですが、いずれの回線も同一料金で選択できます。

OCN NTT MVNO Junya Ishino
▲4月1日に導入されるnuroモバイルのバリュープラン

さらに、バリュープラスでは、5GBプランと8GBプランを契約している場合、「Gigaプラス」として3か月ごとに追加容量がプレゼントされます。5GBプランの場合は3GB、8GBプランの場合は6GBで、追加されたデータ容量は翌々月まで使用可能。実質的に、5GBなら毎月1GB、8GBなら毎月10GBの容量を使える格好です。さらに、翌月までデータ容量の繰り越しにも対応しています。

驚いたのが、その価格です。IIJが新料金プランの「ギガプラン」で、2GB、780円を打ち出してきましたが、nuroモバイルのバリュープラスは、それをさらに下回っていました。5GBプランも同様で、IIJでは近い容量の4GBが980円ですが、nuroモバイルでは900円で実質6GBまで使えます。8GBプランも、IIJmioの料金プランより30円ほど安く設定されています。

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▲料金は3GBプランが720円。先行して値下げを発表したIIJより低価格だ

nuroモバイルも「料金的にはかなりアグレッシブ」(MVNO事業室 神山明己室長)と自負する新料金プランですが、値下げの背景は他のMVNOと共通しています。神山氏によると、「今後予定されているMNOの帯域利用料値下げや、音声の卸価格値下げを踏まえたうえで、中長期的に回収できる料金に設定した」とのこと。

実際、3月8日に開催された有識者会議では、21年度の接続料が10Mbpsあたり26万円になる見込みが明かされました。これは、総務省のアクション・プランで目標にしていた半減を前倒ししたもの。接続料が下がれば、そのぶんMVNOが大手キャリアに支払うコストが減ったり、より帯域を増強したりしやすくなります。同時に、基本使用料や音声の卸価格も、原価に近づくことが想定されています。この価格まで下げても、十分採算性が取れるようになったというわけです。

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▲総務省が有識者会議に提出した資料。21年度の接続料は、前倒しで半減する見込みが示された

一方で、他社とは異なり、nuroモバイルは低容量プランに一本化しました。これに対しては、「潜在需要の高い低容量プランにフォーカスした」、nuroモバイルのユーザーは、全体の99%のユーザーが10GB以内に収まっていると神山氏。低容量プランに絞ることで、ユーザーのニーズを満たしつつ、帯域設計がしやすくなります。大容量プランで帯域を占有してしまうユーザーが少なくなれば、より投資も効率的にできるはず。こうした点が、他社よりさらに安い価格設定につながっているものと考えられます。

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▲nuroモバイルのユーザーの99%は、10GB以内に収まっているという

あまりの安さに驚いてしまった筆者ですが、振り返ってみると、IIJmioのギガプラン発表時にも驚いていたので、結果として、毎週驚いていることになります(笑)。接続料や卸価格の値下げは既定路線だったため、ある程度、大手キャリアと差別化を図ったプライシングになっていくだろうと予想していましたが、その値下げ幅は想定以上でした。1月に発表したmineoぐらいの水準かと思いきや、1か月でそれが覆されてしまいました。

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▲IIJmioのギガプランで打ち出された2GBプランでも安いと驚いた筆者だったが、1週間強でそれが覆されてしまった

とはいえ、まったく心配がないわけではありません。卸価格や接続料の値下げをダイレクトに最終価格に反映させたとなると、それによって購入できる帯域の量が変わらないからです。ある程度の価格は維持しつつ、そのぶんを通信品質向上にまわしても、よかったような気がしています。大手キャリアとガチンコ勝負になってしまうのを避けようとするなら値下げに回した方がいいという理屈もわかりますが、価格競争一辺倒になってしまわないかは不安なところ。低価格での消耗戦は、特に中小規模のMVNOに厳しい環境だからです。

そんな中、最後の大手MVNOと言えるNTTコミュニケーションズのOCNモバイルONEが、3月下旬に新料金プランを発表することを予告しました。新料金プランがどうなるのかは未知数ですが、筆者なりの予想では、2つの方向性が考えられると思います。1つは、上記のnuroモバイルやIIJmio、mineoに真正面からぶつかって価格で勝負する方向。この場合、いくらまで値下げできるのかが焦点になりそうです。

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▲新料金プランの発表を予告したNTTコミュニケーションズ。その方向性には要注目だ

もう1つは、料金プランを完全にリセットしてしまい、UQ mobileやワイモバイルに近い方向性を打ち出すというもの。この場合、混雑時の通信品質改善が大前提になります。MVNOでは難しいと思われるかもしれませんが、OCNモバイルONEが置かれている状況を踏まえると、これもあながちありえない話ではないと考えています。ドコモが夏ごろにNTTコミュニケーションズを子会社化しようとしているからです。

そうなれば、MNOとは独立した会社だったころよりも、帯域を増強するのが容易になります。いくら帯域を購入しても、連結された親会社視点で見ると収支はプラスマイナスゼロ。子会社としての独立性もあるため、そこまでの無茶はできませんが、いわゆる“ミルク補給”はしやすくなります。実際、ドコモも低容量の料金プランはMVNOと連携する方針を打ち出している一方で、UQ mobileやワイモバイルに匹敵するような料金プランがドコモ本体にはありません。この部分をOCNモバイルONEが担うと考えても、不思議ではないでしょう。こうした点も含め、MVNO同士の競争は、まだまだ一波乱ありそうな予感がしています。