「諸般の事情」で延期になっていたOCNモバイルONEの新料金プランが、3月25日に突如発表されました。発表会が中止になったのは「諸般」というより「諸飯」という字を当てた方がいいのかもしれませんが、それはさておき、これでようやく主要MVNOの新料金プランが出そろった格好になります。導入は4月1日からで、かなりギリギリの告知になってしまいました。

とは言え、既存のユーザーは、この発表を知らなくても、新料金プランの恩恵にあずかれます。新料金プランと言いつつも、データ容量の区切りが変わったり、データシェアなどの仕組みを追加したりしたわけではなく、従来までの料金プランを、そのまま値下げする形です。OCNモバイルONEは19年11月に現行のプランを導入しており、こちらに切り替えてさえいれば、4月1日から自動で新料金が適用されます。その意味では、マイナーチェンジと言えるかもしれません。

OCN Junya Ishino
▲OCNモバイルONEが4月1日から新料金を導入する

ただし、値下げ幅はマイナーと言えるほどインパクトがないわけではありません。他のMVNOと同様、特に音声通話対応の料金プランに関しては、比較的大胆な値下げが行われる予定です。例えば、MVNOの主力になっている3GBコースの場合、料金は1480円から980円に。値下げ額は500円で、率に直すと34%程度安くなります。6GBコースだと値下げ額はさらに大きくなり、額は780円、率は総理大臣も納得しそうな“4割値下げ”を実現しています。

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▲料金表のカッコ内が3月31日までの料金。音声通話対応プランの値下げ幅が大きい

SMS対応やデータ通信専用の料金プランも、それぞれ値下げされていますが、これらと比べても音声通話対応の料金プランの値下げ額は際立っています。これは、MVNOの料金値下げが、音声卸の基本料値下げとデータ通信の接続料値下げの2本柱で成り立っているため。それぞれのコスト圧縮が進んだ結果として、特に音声通話対応プランの値下げ幅が大きくなっているというわけです。

OCNモバイルONEの新料金は、MVNOの中でもかなり頑張った価格設定になっていることが分かります。データ容量の区切り方は異なりますが、例えば、同日に新料金プランを導入するIIJmioの「ギガプラン」は4GBが980円、8GBが1380円です。OCNモバイルONEの方が、それぞれデータ容量が1GB、2GB少なくなりますが、そのぶん、料金は80円、180円安い設定になっています。

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▲同日開始されるIIJmioのギガプランと比較しても戦える料金設定になっている

また、先行して2月に値下げプランを発表したmineoの「マイピタ」と比較すると、1GBコースは280円安く、6GBコースは180円安いうえに、データ容量も1GB多くなっています。3GBで720円、5GBで900円の「バリュープラス」を打ち出したnuroモバイルのように、さらに下をくぐるMVNOもありますが、トップシェアを争うMVNOの中では、最安水準の料金と評価できそうです。

いち早く新機能を取り入れてきた点も、評価のポイント。新料金プランの導入とはやや時期がズレますが、4月7日からは、中継電話サービスの「OCNでんわ」が、アプリ不要で利用可能になります。OCNでんわでは、3つの音声通話定額、準定額サービスを提供していますが、これらも、スマホに標準搭載された電話アプリから利用可能になります。

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▲総務省の研究会にドコモが提出した資料。OCNでんわが自動で適用されるようになるのは、この機能を活用したためだ

仕組みとしては、ドコモが開発したプレフィックス自動付与機能を利用しています。これまでの中継電話サービスは、端末側のアプリでプレフィックスの番号を付与して通話の経路を迂回していました。これに対し、4月7日以降は、ドコモの交換機側でOCNでんわのプレフィックスを付与するようになります。ユーザー側でアプリのインストールが不要になり、間違って通常の電話アプリから折り返して、通常の音声通話料が課金されてしまう心配がなくなるというわけです。

冒頭で、新料金プランが単純な値下げになっているとしましたが、そうでないところも一部あります。20GBコース、30GBコースが廃止になるからです。既存のユーザーはそのまま利用できる一方で、新規契約は不可能になります。20GBコースは4400円、30GBコースは5980円で、大手キャリアのオンライン専用プランや大容量プランと比べたときの優位性がなくなっているため、既存ユーザーも一気に減っていくことになりそうです。

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▲現行の料金プランにあった20GBコース、30GBコースは廃止になる

その意味で、OCNモバイルONEの新料金プランは、大手キャリアとの“直接対決”を避けた建付けになっていると言えるでしょう。NTTコミュニケーションズは、夏にドコモの子会社化される予定。それに伴い、将来的には、コンシューマー向け事業をNTTレゾナントに移管する計画もあります。ドコモの子会社として、一体的に運営していくとなれば、住み分けはどうしても必要になります。事実上のサブブランドと考えると、OCNモバイルONEに大容量プランを残していく必然性は薄れます。

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▲大容量はギガホ、中容量はahamo、低容量はOCNモバイルONEといった住み分けが進みそうだ

こうした観点でドコモとOCNモバイルONEの料金プランを見ていくと、上手に住み分けができていることが分かります。大容量や無制限ならドコモの「ギガホ プレミア」、中容量なら「ahamo」、それ以下ならOCNモバイルONEといった形です。ドコモにも段階制の「ギガライト」が残っているものの、こちらは、店舗でのサポートがどうしても必要な低容量ユーザー向けという形で残っていくことが考えられます。これは、KDDIがau、povo、UQ mobile、ソフトバンクがソフトバンク、ワイモバイル、LINEMOを用意しているのに近い戦術です。

ただし、2社が積極的に連携している印象は、まだ薄いかもしれません。鍵になるのが、dポイントです。ドコモは、dポイントを導入するMVNOを「エコノミー」と位置づけ、低容量プランの代わりにしていく予定でした。ところが、このスケジュールに遅れが生じているといいます。ドコモによると、「準備はしていたが、予定より遅れている」とのこと。遅れの程度は分かりませんが、「合意に至り次第発表する」(同)としています。新料金プランと同時にdポイントの導入やドコモとの連携を発表できていれば、もっとインパクトが強かっただけに、この点は残念でなりません。今後の連携強化には期待したいところです。