P50HW

ファーウェイから待望の2021年フラッグシップモデル「P50」シリーズが発表されました。例年ならば4月前後に登場していたはずですが、米国政府の制裁の影響を受け今年は大きく遅れ、P50 Proの一部モデルは8月12日から発売、P50 Pro上位モデルとP50は9月発売予定となります。

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P50シリーズを発表するファーウェイコンシューマービジネスグループのリチャード・ユーCEO

スマートフォン市場での勢いに陰りが出てきているとはいえ、ファーウェイのカメラフォンに対する期待は今も高く、今回の新製品のカメラ性能がどれほどのものなのか気になる人も多いでしょう。DXOmarkではさっそく1位にランクづけされています。

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P50 Pro、P50それぞれが搭載する複数のカメラは、従来のスマートフォンのカメラの組み合わせから大きく進化しています。

P50 Proはメインが5000万画素、3.5倍望遠が6400万画素、モノクロ4000万画素、超広角が1300万画素で、超高解像度カメラを複数搭載しています。P50はメインが5000万画素、5倍望遠が1300万画素、超広角が1300万画素とP50 Proより劣るものの、全てのカメラが1000万画素を超えています。

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OPPOの「Find X3 Pro」が5000万画素カメラを2つ搭載したり、ZTEのAXON 30 Ultraが3つの6400万画素カメラを搭載するなど、すでに複数カメラの高画質化の動きは今年に入ってから始まっています。P50 Pro、P50のカメラは2022年のスマートフォンカメラのトレンドを一歩先に実現したと言えるかもしれません。

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P50シリーズはここまで高性能なカメラを搭載していますが、それぞれのカメラのセンサーサイズは公開されていません。シャープの「AQUOS R6」、ライカの「Leica Leitz Phone 1」は1インチセンサーを搭載し、大型センサーの光学性能を最大限生かした写真撮影ができることを売りにしています。

それに対してP50シリーズは「XD Fusion Pro」などファーウェイが開発したソフトウェア技術を使った画像処理により最高の撮影結果を簡単に手にすることができます。

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つまりP50シリーズは「光学系の物理限界を突破する」究極のコンピュテーショナル・フォトグラフィーを実現したスマートフォンなのです。同じライカの名前を冠したカメラを搭載しながらも、シャープ・ライカとファーウェイのカメラ設計は逆の方向を向いています。P50シリーズの新製品発表会で見せてくれた数多くの作例を見る限りカメラ性能は申し分ないことはわかりましたが、実機を早く触ってみたいものです。

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ファーウェイによるP50 Pro夜景撮影の作例

さてP50シリーズは2つのモデル展開となりました。P40シリーズやMate 40シリーズはメインモデル(無印版)に加え「Pro」「Pro+」という3モデル展開を行ってきましたが、ラインナップの整理統合ということで2つになったのでしょう。もちろんチップセットを自由に入手できないというジレンマから3モデルを出すことは難しいのでしょう。

搭載するチップセットも、ファーウェイの現在のフラッグシップ品であるKirin 9000を搭載するのはP50 Proの一部モデルだけで、P50はSnapdragon 888搭載モデルが販売されます。ファーウェイのコンピュテーショナル・フォトグラフィー技術は自社開発したチップセット、KirinのAI処理に頼るところが大きく、その性能を他社品であるSnapdragonでどこまで発揮できるかは実際に製品を比べてみなければわかりません。

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ファーウェイはチップセットの開発と合わせコンピュテーショナル・フォトグラフィー技術を進化させてきた

しかしKirinの在庫がいずれ底をつくこと、今後はクアルコムからのチップセットを継続的に受ける目途が立ったことで、ファーウェイはXD Fusion Proなどの独自技術をSnapdragonでもスムーズに動作するようにしていくのでしょう。そうなればこれからも高性能なカメラを搭載したファーウェイのスマートフォンが市場に出てくることが期待できます。

2021年はMateシリーズの登場はパスされそうですが、2022年は「P60」シリーズと「Mate 60」シリーズのデュアルフラッグシップモデル展開が再開されるかもしれません。

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KirinのみならずSnapdragonにもファーウェイの技術が対応すれば今後の新製品も期待できる

カメラ性能は申し分がないものの、懸念されるのは5Gへの対応です。他社のスマートフォンがほぼ5Gモデルだけになっているのに対し、P50シリーズは4Gしか利用できません。P50シリーズのチップセットは5Gモデムに対応しますが、アメリカの制裁により4Gの対応に留まってしまいます。

ファーウェイはこれまでもAIヘテロジニアス技術を使った複数ネットワークの同時利用で5Gスマートフォンの通信速度の高速化を図ってきました。P50シリーズではそれを4Gに応用し、「メイン4G SIMカード」「サブ4G SIMカード」「2.4GHz Wi-Fi 6」「5GHz Wi-Fi 6」を併用し最大で下り3.5GHzの通信速度を実現。またAIによる信号予測技術によりネットワークの電波が弱くなるセルエッジエリアを推測し信号強度の低下を最小限に押さえられるとのこと。5G時代に4G+Wi-Fi 6でどこまで快適なデータ通信環境を提供できるのか、これも実機で実際に試してみたいところです。

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これまで発売されてきたファーウェイのスマートフォンは進化が約束されており、どのフラッグシップモデルも高い評価を受けてきました。P50シリーズは制裁という困難な状況の中で、ファーウェイが持てる技術を現時点で製品化できるスマートフォンに搭載した製品となります。カメラのみならず本体性能や使い勝手などすべてにおいて気になるP50シリーズ、8月の実機登場が非常に楽しみです。