PayPal Paidy

後払い市場の競争が一段と激しくなりそうです──。

PayPal(以下、ペイパル)は2021年9月8日、後払いサービスを提供するPaidy(以下、ペイディ)を3000億円(約27億ドル)で買収すると発表しました。発表によれば、日本での越境EC事業や日本の決済市場で機能やサービスを拡充し、存在感をさらに高めていくとのこと。買収は2021年第4四半期(10~12月期)に完了予定としています。

ペイパルといえば、言わずと知れたデジタル決済の大手企業。1998年に創業し、2002年にはAmazonのライバルeBayの傘下に入ったものの、2015年にふたたび独立。クレジットカードや銀行口座を登録し、加盟店あるいは個人間で決済・送金ができるのが特徴です。

米国で株取引プラットフォームへの参入を目論むペイパルは、現金決済が7割を占める日本市場に成長の余地があると踏みます。

買収理由についてペイパル側は「ペイパルがオンライン決済の分野でこれまで培ってきた専門知識、リソース、グローバル展開を組み合わせることで、私どもにとって戦略的に重要な市場である日本でのビジネス展開をさらに加速させるために強力な基盤を構築することが可能」とコメント。

国内のベンチャー、ペイディは登録の簡易さから若者を中心にユーザーを増やしてきた経緯があります。最近、大手EC事業者のアマゾンジャパンが導入したり、Apple Japan の自社サイトでも利用可能になったりと、日本でのビジネス展開を積極的に進めています。

ペイディ側は「ペイパルによる買収後もペイディは、同ブランドのもと、現在のビジネスを継続し、ユーザーと加盟店に多様なサービスを提供していく」としており、「ペイディ創業者で代表取締役会長のラッセル・カマー氏ならびに代表取締役社長 兼 CEOの杉江氏は引き続き同組織を率いていく」とコメントしています。

新たに自前のプラットフォームを構築するのは資金力や体力勝負になるとの見方があるなか、世界200以上の国と地域で4億人以上のユーザーを抱えるペイパルは、600万超のユーザーを抱えるペイディを買収することで、使い勝手の良さを武器に、ユーザー数や規模感の増大、そして市場競争に弾みをつけたい狙いもありそうです。

──スタンダードになり得るBNPL、その動きはさらに激化──

「BNPL(バイ・ナウ・ペイ・レイター)」と呼ばれる後払いをめぐっては、先日、モバイル決済の米スクエアが、豪州の後払いスタートアップ、アフターペイを約3兆1800億円(290億ドル)で買収すると発表したばかり。

新型コロナウイルス感染症の世界的な広がり、在宅ワークや巣ごもり需要が増し、ネットショッピング(EC)とともに後払いの利用が増えています。サービスによっては利息、手数料などが発生しないものもあり、後払い市場の急拡大を機に、各企業の間の競争が激化しつつあります。

一方、こうしたネット上で使える、いわゆるオンライン決済サービスでは、手軽さゆえに本人確認の甘さや保証がない点を突かれ、不正利用が発覚する事例もあります。

モバイル決済の利便性がより一層増すためには、個人の債務能力をスピーディーかつ正確に分析することが避けられません。伝統的クレジット会社の審査をしている場合ではないという事です。フィンテックの急速な進化は、会社を丸ごと買うという動きを加速させるでしょう。

IT巨人が日本の決済スタートアップを買収する事案としては、Googleが今年7月にモバイル決済サービス「pring(プリン)」を買収し、話題となりました。pringをベースとした決済サービスをGoogleが国内で本格展開するとの見方が強く、Google Pay の拡充も期待されます。

いまや戦国時代ともいえる決済市場──。今後、ペイパルとペイディがライバルとどう戦うのか、両者の動向が大いに注目されそうです。


PayPal Paidy
▲ PayPal Holdings, Inc.が2021年9月7日に発表したプレスリリース


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