グーグルの自社ブランドスマートフォン「Pixel 6」「Pixel 6 Pro」を10日間ほど、試用する機会を得た。AIによるカメラ性能を売りにしているが、実際に撮影してみると、確かに楽しいと感じる機能が満載であった。

今回、グーグルは画面の大きさとカメラのスペックが異なる2モデルを発売する。Pixel 6は6.4インチで背面は2つのカメラ、Pixel 6 Proは6.7インチで望遠を含む3つのカメラを搭載する。

Pixel 6、Pixel 6 Proでは、これまでのクアルコム「Snapdragon」ではなく、グーグルの自社開発チップ「Tensor」を搭載している。実際に使ってみると、様々なシーンでAIが処理している感じてして面白いのだ。

例えばカメラ機能で「モーションモード」の「アクションパン」を選び、街中を走っているクルマや自転車などを撮影すると、一瞬、画像処理で待たされるのだが、すぐに、まるでサーキットを走るF1マシンのような「流し撮り」風な写真が表示される。

実際にサーキットで走るクルマを流し撮りするのは相当、難しいのだが、アクションパンで撮影すれば街中を走る軽トラでさえ、かっこよく見えてくる。ただ、時にAIが判断をミスるのか、上手くいかない時もある。逆にそれが楽しく、街中で何度も撮ってしまうのだ。

単に自動車だけでなく、公園を走り回る子供も俊敏な動きのある写真に仕上がる。いろいろと工夫をすると、もっと面白い写真が撮れそうな期待値が上がるのだ。

ポートレートも背景を一気にボカしつつ、被写体の顔などを明るくさせて引き立たせる処理をしている瞬間を確認できる。撮影時に、様々なところで「AIが頑張って処理して写真を仕上げている感」が伝わってきて楽しいのだ。

撮影したあともAIが頑張ってくれる。例えば「消しゴムマジック」という機能を使うと、被写体の背後にいる人物や電線などを認識し、それらを消去してしまうだけでなく、背景も違和感なく作り上げてしまうのだ。

実際に試してみると人物や電線をバッチリと認識し、本当にきれいに消し去り、まるで最初から何もなかったような写真に仕上げてしまう。想像以上に自然な編集となっており、結構、驚かされてしまった。

その昔、雑誌の編集者時代には、写真の修正などを印刷所にお願いしていたりしたが、Photoshopを使いこなせる職人のような人がかなりの時間をかけて修正作業を行っていたのが懐かしいと感じるほどであった。現代であればTensorさんが一瞬で直してくれるなんて、昔の自分に教えてあげたいくらいだ。

ちなみに、消しゴムマジックはPixel 6、Pixel 6 ProのGoogle Photoで使える機能のようで、Google Photoに保存されている過去の写真にも適用ができる。「昔、撮ったいい写真だけど背景の写っている人が邪魔」なんて写真を見つけ出して消しゴムマジックするのもいいだろう。

ちなみに、Pixel 6とPixel 6 Pro、両方であれこれ撮影してみたが、個人的にはPixel 6 Proのほうが光学4倍までのズームに対応するなど、豊富な画角で撮影できるので写真の幅が広がるので、気に入っている。ただ、こちらは本体サイズの大きさや値段との相談になるので、悩ましい選択肢だったりもする。

さらにAIが便利で素晴らしいと感じたのが「レコーダー」アプリだ。

見た目は何の変哲もないボイスレコーダーアプリだが、「文字起こし」という機能が備わっており、日本語にも対応するようになった。実際にオンライン記者会見などで使ってみたが、かなり忠実に音声をテキストにリアルタイムに変換していってくれる。もちろん、完璧ではないのだが、実用性は充分だ。

普段、取材でインタビューを行う際には、スマホのボイスレコーダーアプリを使い録音。その後、取材の何倍もの時間をかけてテキストに起こすという「苦行」を毎回しているのだが、Pixel 6やPixel 6 Proがあれば、その場でテキストが手に入るので本当にありがたい。

もちろん、これまでもクラウドにデータを上げてテキスト化してくれるサービスやアプリなどもあったが、相手の音声までもクラウドに上げるというのは、この時代、ちょっと抵抗を感じてしまっていたりした。

Pixel 6、Pixel 6 Proは、内蔵しているTensorが、デバイス上で処理をしているという点は安心だ。

ベンチマーク結果は結構イケている

今回、Tensorというグーグルが独自開発したチップということで、正直、どれくらいのポテンシャルなのかが分かりかねるという不安要素があったりする。

実際にGeekBench 5というベンチマークアプリを走らせたところ、Pixel 6でシングルコアが1036、マルチコアが2764であった。ちなみにPixel 5aがシングルコアで585、マルチコアで1636、自宅にあったサムスン電子「Galaxy Z Fold3 5G」は現状、Snapdragonで最高峰となる「888 5G」となっているが、シングルが1074、マルチが3354であった。この数字を見る限り、Tensorは結構、イケてるチップセットのような気がしている。

実際、いろいろアプリを起動して使ってみたが、反応なども快適で申し分のない操作性であった。Andrid 12となり、新しいデザインテイストで、メニューの切り替えなどがやりやすくなっているなど、使い勝手が上がった印象だ。

Tensorを搭載し「オンデバイスAI」でさらなる差別化に成功しているPixel 6とPixel 6 Pro。これまでのPixelシリーズは面白みに欠けていた感があったが、Pixel6シリーズは俄然、個性が出てきた。

今後、Androidスマートフォンのなかで、Pixelシリーズはかなり面白い存在になっていきそうだ。

Pixel 6(Amazon)

関連
5分でわかるPixel 6シリーズ新機能まとめ。Tensorでカメラと音声認識を大幅強化