[名称] PocketZip(Clik!)
[種類] 磁気ディスク
[記録方法] 磁気記録
[サイズ] 約46mm(実測)
[容量] 40MB
[登場年] 1999年頃~

今や淘汰された懐かしの記録メディアたちに光を当てるこの連載企画では、ゆるっと集めているリムーバブルメディア・ドライブをふわっとご紹介していきます。

連載:スイートメモリーズ

「PocketZip(Clik!)」は、Iomega社によって開発された磁気ディスク。容量は40MBと控えめですが、約50×55×1.8mmと薄くて小さいため、音楽プレーヤーやデジカメなど、小型機器をターゲットとしたメディアとして登場しました。

元は1996年に発表されていた「n*hand」で、名刺サイズの半分という小さなメディアとして1997年の登場が予定されていました。しかし、開発が難航。予定からだいぶ遅れ、米国で1998年12月、日本で1999年6月頃の登場となりました。

磁気ディスクメディアとしては非常に珍しいことに、カートリッジが丈夫な金属製となっているのが特長です。本体部分だけでなく、ディスク部分を覆うシャッターまで金属製となっているのがカッコいいですね。

小型機器をターゲットにしていただけあってサイズはかなり小さく、手で持ってみるとこんな感じに。

幅が50mmですから、MOはもちろん、MDよりもさらに小さくなっています。PC向けの対応ドライブは、パラレル接続、USB接続、PCカード Type IIなどがありました。

このうち、PCカード用のドライブはシチズン時計との共同開発。1.8mmというカートリッジ用のドライブを5mm厚のType IIで実現するあたり、さすが精密な時計を作っているだけあると感心してしまいます。

シャッターの開閉は、背面の突起をスライドすることで行ないます。ただし側面に小さなロック機構があるため、簡単には開かないようになっていました。また、そこそこ強めのバネで閉まるようになっていましたから、万が一このロックが外れてしまっても、よほどのことがない限り開きません。ホコリやゴミの侵入を防ぐ機構としては、かなりしっかりできています。

こちらが無理に開いてみたところ。この写真の右上にあるのが突起部分で、見えない方の側面にロック機構があります。ディスク面の保護は厳重なのですが、中央部分は結構な隙間があるあたりが、ちょっと残念。Zipでもここの隙間はありましたし、それほど影響がないということなのかもしれませんが。

ところで「PocketZip」だといってるのに、どこにもその名前が書かれていないことに気づいたでしょうか。これは、発売時は「Clik!」という名前で、2000年8月に変更されたためです。つまり、これ以降に製造されたカートリッジであればPocketZipとなっています。

この名前の変更は、人気の出なかったClik!再起のため、Iomega社の看板商品となるZipにちなんだものにした……と考えるのが自然ですが、実は他にも理由が考えられます。

それが、Zipの「Click of death」問題。Click of deathとは、Zipドライブの故障でメディアが認識されなくなり、リトライが続くことでドライブがカチャカチャと鳴り続けるという問題です。

とくに初期のZipドライブは故障率が高く、1998年9月には集団訴訟にまで発展。2001年3月に和解となりましたが、Clik!の名称がこの問題を連想させてしまうのを嫌った……というのも理由としてありそうです。

ただ残念なのは、PocketZipへと名前を変更しても人気が出なかったことでしょうか。そのため、とくに日本では当初のClik!の方がまだ通りがいいという……悲しいところですね。

結局、対応機器としては音楽プレーヤーにIomega社の「HipZip」とSensory Science社の「Rave:MP 2300」、デジカメにAgfa社の「ePhoto CL30 Clik!」くらいしか登場せず、衰退。100MBへと容量を増やしたモデルも計画されましたが、発売されることなく消えていきました。

連載:スイートメモリーズ


参考:

Iomega PocketZip, Iomega, Wayback Machine
IOMEGA CORPORATION ANNOUNCES NEW POCKETZIP(tm) BRAND, Iomega, Wayback Machine
Agfa ePhoto CL30 Clik!, The Digital Camera Museum
Click of death, Wikipedia
PocketZip, Wikipedia