シャオミが11月25日に発表した「Poco M3」はエントリーレベルのスマートフォンです。しかしこのPoco M3が売れることで、シャオミは悲願の「スマホ世界シェア2位」の座を勝ち取れるかもしれません。

Poco M3のスペックは次のとおり。チップセットはSnapdragon 622、メモリは4GB、カメラは4800万画素+200万画素+200万画素、フロントカメラは800万画素。際立ったスペックではありませんが、6000mAhバッテリーは充電環境の良くない国で最も大きなアピールポイントになるでしょう。価格は149ドル(約1万5000円)ですが、ブラックフライデー価格として129ドル(約1万3000円)の割引価格で販売が始まります。

シャオミのスマートフォンにはメイン&ハイエンドの「Mi」と低価格の「Redmi」という2つのブランドがあります。2018年にはインドへ「Poco」(Pocofone)を投入しブランドイメージの一新を図りましたが、当初、狙ったハイエンド路線はうまくいかず、2020年からは一転してエントリーやミドルレンジ製品を次々と出しています。

Pocoが日本で話題にならないのは、市場で活発な動きを始めたのが今年になってからであり、低価格モデルばかりだからでしょう。しかし日本でも「Redmi Note 9S」が発売されたことからわかるように、今やシャオミの高品質で低価格なモデルは先進国でも十分通用します。

Poco M3は1万円台(100ドル台)でも4800万画素カメラと6000mAhバッテリーを搭載することから『スマートフォンにお金をかけたくない、でも毎日写真を撮ったりSNSを使うのに不自由したくない』というユーザーを狙った製品でしょう。そのメインターゲットは新興国になるでしょうが、ヨーロッパなど先進国でも発売されることから、日本でも「Redmiよりさらに安いモデル」としてPoco M3が投入される可能性も十分あります。

しかも背面デザインはカメラ部分を含む、上部側を黒い塗分けにした斬新なデザイン。他のスマートフォンとは明らかに違うデザインです。シャオミの既存製品や他社の原稿スマートフォンとも異なるイメージで、「Poco」という新しいブランドを大きくアピールできます。

さて、Poco M3の本体は樹脂製と思われるので、恐らく手に持ってみると、よく言えば価格相応のうまい仕上げ、悪く言えば安っぽいかもしれません。しかしこの背面デザインはPoco M3を持つこと、人に見せることに喜びを感じさせてくれます。同じ価格帯の他社製品より目立つことは間違いありません。

ちなみにPoco M3のオンライン発表会では、比較機種としてサムスンの「Galaxy A31」が挙げられました。Poco M3はより安くて性能は変わらないというのです。しかしGalaxy A31は4800万画素+800万画素+500万画素+500万画素カメラ、フロント2000万画素カメラでPoco M3より一つも二つも上のクラスの製品です。Poco M3のライバルとなるのはサムスンがほぼ同時期に発表した「Galaxy A12」でしょう。Galaxy A12はカメラが4つ(Poco M3の3つに加えて800万画素)、ディスプレイ解像度は落ちるものの両者のターゲットユーザーはほぼ同等に見えます。

なおPocoは他にもカメラスペックを高めた「Poco X3」、より低価格な「Poco C3」など、X、M、Cという3つの低価格ラインナップを揃えています。さらに先進国向けには5Gに対応した「F2」も展開。製品のバリエーションをこの1年で大きく増やしました。

それではシャオミはこのPocoシリーズで何を狙っているのでしょうか?恐らくスマートフォンの出荷台数でファーウェイ、アップルを抜いて2位の座を奪い取ることです。複数の調査会社のデータを見ると、シャオミは2020年第3四半期にグローバルの出荷台数でアップルを抜いて3位になりました。

ではシャオミは2位になれるのでしょうか?2021年の世界のスマートフォン市場の動きは、アメリカ政府の制裁を受けたファーウェイの動向は不透明で、現在より出荷台数を大きく減らすことが予想されます。また全体の1/4を占めるHonorを手放すことから、それだけでも出荷台数は大きく減ります。

アップルは新規購入客を延ばせず2019年に出荷数でファーウェイに抜かれました。ファーウェイが来年数を減らしても、アップルの得意とするアメリカ・日本ではファーウェイの出荷台数は多くありません。つまりファーウェイが今後急減しても、アップルの出荷台数を大きく高めるとは思えません。

一方シャオミによると、2020年第3四半期のスマートフォン出荷台数は4660万台でした。仮にこれを今後もつづけることができれば、2021年の年間出荷台数は1億8000万台から1億9000万台に達します。

ガートナーの調査では、2019年のスマートフォン出荷台数は1位サムスンが2億9619万台、2位ファーウェイは2億4062万台、3位アップルが1億9348万台、4位シャオミは1億2605万台でした。この数が2021年も同等になると仮定すると、シャオミは2021年にアップルと並ぶか抜く可能性が出てきます。ファーウェイは数を1/4減らし、制裁の影響を受けることからシャオミを下回ります。つまり結果としてシャオミが2位に上り詰める可能性は十分あるのです。

調査会社Omdiaのデータ(下記表)を見ると、今年の上半期(1月-6月)に世界で最も出荷されたスマートフォンは「iPhone 11」でした。アップル製品は他にも4機種がランクインしています。しかし他の製品を見ると、シャオミのRedmiシリーズが4機種も入っています。つまり低価格モデルは確実にボリュームを稼げる製品なのです。

Pocoシリーズを強化すれば、Redmiシリーズと同じように高い出荷台数が期待できるわけです。シャオミのシェア2位は2021年中に達成できるかもしれません。