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意外な開発秘話も飛び出した『Bose ポータブルスピーカーを聴き比べ』イベントレポ

DJ鮎貝健氏のお宝フォトまで

Engadget JP Staff, @engadgetjp
2018年3月23日, 午後04:30 in Bluetooth
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Bose といえばヘッドホンやスピーカーの一大ブランドとして、オーディオマニアでなくても知っている米国の老舗メーカー。ガジェット好きのあいだでは特に、サイズからは想像できない迫力ある音の小型スピーカーや、高いノイズキャンセリング能力を備えたヘッドホンで知られています。

3月11日、Boseの最新Bluetoothスピーカー SoundLink(サウンドリンク)シリーズを体験できるイベントが東京で開催。シリーズ4製品が一堂に会し存分に実力を試せたほか、DJ・ミュージシャンの鮎貝健氏による体験トーク、Boseの中の人による開発秘話まで飛び出す熱気溢れるイベントとなりました。

SoundLink Revolveの豊かな低音の秘密は
超小型スピーカー「M3」譲りだった




まずはEngadget日本版編集長、矢崎飛鳥氏の挨拶でスタート。かつてBose製スピーカーを最初にオーディオ店で聴いた時、「こんな小さいのにこんな迫力ある音が出るの?と驚いた」というファーストコンタクトにはじまり、「音量を小さくしても低音や高音の迫力が失われないところにも感動した」と、現在のBose製品にも共通する第一印象を披露。

「Bose製スピーカーはずっと憧れでしたが、最初に聴いた80年代は高価なモデルしかなく、手が届かなかった。90年代ぐらいからラインナップが拡大し、手に届くようになってきました」「個人的にも今回は感慨深いイベントです」と、一ファンとしても楽しみにしていたイベントとまとめました。


続いては、Bose 創業50周年(2014年)を記念して制作された、同社の歴史を振り返るドキュメンタリー『DREAM+REACH』の上映。これはBoseの創業者であるアマー・G・ボーズ博士と、同氏から継承される理念や製品作りの姿勢を中心に紹介する作品です。



監督はアカデミー賞を受賞したモーガン・ネヴィル氏。登場人物の熱量や次々と披露されるエピソードで、22分の上映時間を感じさせない構成の作品です。

ここでは同社を代表するスピーカー『901』の開発時などで語られた、ボーズ博士の人となりが感じられるエピソードや「私たちの存在意義は発明です」との本社スタッフの言葉、製品の中には開発スタートから発売まで7年掛かるモデルもある、という興味深いエピソードなどを立て続けに紹介。



本社の無響室や大音量テストルームなど開発施設の中も公開しつつ、「ボーズ博士の遺伝子は生き続けています」とのスタッフコメントなどで、同社の製品開発の姿勢を伺わせます。

最後に紹介されたボーズ博士の言葉は、「想像力なくして進歩なし。想像力をなくしたら元も子もありません」。Boseの伝統と革新の秘密が伝わってくる本格的なドキュメンタリーでした。



続いては、Boseのプロダクトマネージメント・デパートメント・マネージャーである大久保 淳氏が登壇。SoundLinkシリーズの特徴の一つである豊かな低音再生を実現する技術を、SoundLink Revolve+とRevolveを例に紹介しました。



これら2機種の低音再生能力は、同社が「デュアル・オポージング・パッシブラジエーター」と呼ぶ低音増強用振動板によるところが大きいのですが、これはもともと『M3』というモデルで原型が導入されたという、ファンには聞き逃せない(そして納得の)エピソードも公開されています。

「低音を出すには大きな空気を動かす必要があります。Boseにはそのための技術が多数ありますが、ある程度の容積が必要になるため、ここまで小さいと使えません。

各種の技術を検討した結果、低域増強用の振動板『パッシブラジエーター』が有望だったのですが、小さい本体で搭載すると振動が大きくなり、音の歪みを発生しやすくなるのが欠点でした。

そこでM3のために考えたのが、パッシブラジエーターを2基用意し、お互いに向かいあわせにするというアイデアでした。

実際に試作してみると、振動をキャンセルでき、歪みを低減。さらに1個あたりの面積も小さくできるという一石二鳥のアイデアでした」
と大久保氏は語ります。



2006年に発売されたM3は、64×122.5×122mm(幅×奥行き×高さ)と手のひらに乗るサイズながら、同社の上位モデルにも匹敵する迫力の低音を聴かせる、Boseの小型スピーカーの極北とも呼べる名機でしたが、Revolveシリーズはそのノウハウが活かされた製品というわけです。このエピソードには、来場していたファンの方々が驚きながらも納得の表情を浮かべていたのが印象的でした。

タッチ&トライコーナーでは
なんと本格的なテントも登場




さて、今回のイベントは「聴き比べ」と冠していることもあり、製品展示の数々も中心の一つ。メインとなるのはSoundLinkシリーズの4機種『SoundLink Revolve+』『SoundLink Revolve』、そして小型モデルの『SoundLink Color II』と『SoundLink Micro』の全てが自由に試せる、タッチ&トライコーナーです。



さらに今回は最上位モデルRevolve+を使い、専用の部屋を設けてのデモも実施。2台を使い同じ音楽を奏で、より広い範囲や複数の部屋で聴ける「パーティモード」と、同じく2台をステレオ再生用に使う「ステレオモード」の効果を、それぞれ独立した部屋で確認できる趣向です。

とくにステレオモードは遮音性の高い部屋に設置されていることから、販売店などでは試しにくい大音量での試聴も可能な構成となっていました。加えて「部屋の反響を上手に使うと、良質なコンサートホールなどのように壁の高いところからも反射音が聞こえるはずです」といったスタッフからのアドバイスも得られる、オーディオ関連ショーのような環境での体験となりました。





さらに小型モデル SoundLink Microが得意とするアウトドアでの活用例として、キャンプ用テントなども登場。本体の小ささからスピーカーの存在を感じさせず、なおかつ豊かな音楽を楽しめる雰囲気と、SNS映えする写真が撮影できることなどから、多くの方が笑顔で体験していたのが印象的です。

鮎貝健氏の1か月試用体験レポでは
同氏のお宝写真が続々!?






イベントの後半は、ラジオをはじめとするDJとして、そしてミュージシャンとしても活躍される鮎貝健氏がゲストとして登壇。1か月ほどSoundLink Revolve+を使ってみたという鮎貝氏は、再び登壇したBoseの大久保氏、そして司会である弓月ひろみ氏とトークを交えつつ、Revolve+の感想を語ります。

まず鮎貝氏は、仕事で訪れたスタジオにてモニター用として使ったエピソードを紹介。「音量を上げるとスタジオ設置のモニタースピーカーかと思うような音が出てくるのですが、小型の本体からどうしてこんな音が出てくるのかが謎です」と感嘆しきりでした。



続けて写真とともに紹介されたのは、鮎貝氏が実際の生活のなかでSoundLink Revolve+ を活用したシーンの数々。

防水仕様を活かして自宅のキッチンで料理や洗い物をしながら音楽を聴く例や、ベランダで物干し竿にRevolve+を掛けて洗濯物を干しつつ楽しんだ例、さらにパワフルなカーオーディオとして使った例を紹介。

「バッテリーでも長時間駆動ができ、音のパワーが衰えないのに驚きました」と評しています。



Boseの大久保氏は鮎貝氏の使い方を受けて、Revolve+に込められたこだわりや秘密を紹介。「小音量でも迫力のある音が出せるのは、Boseが長年培ったノウハウを盛り込み、音量に合わせて逐一イコライザーを変えているため」といった技術的な種明かしや、「360度均一に音を広げるための工夫は、実は室内だけでなく、屋外キャンプなどでの使われ方も考慮しています」といったエピソードも公開。

続けて鮎貝氏は「仕事で聴かねばならない曲が多くあるので、これまでは自分の時間には音楽を聴くより耳を休ませたい、という気持ちが強かったのですが、Revolve+は不思議なほど耳に刺さらない音で、久しぶりにプライベートで音楽を楽しめました」との体験談を紹介。小さい音量であっても音源のミックスの違いまで聴き取れるほどの音質と同時に、耳に刺さらずに聴けると感想を述べます。

これに対して大久保氏は、360度設計が影響しているのでは、と発言。「光でも、指向性が強い懐中電灯を当てられるとまぶしい。しかしランタンのように広がる光になると、優しいものとなりまぶしさが薄れる。これと似たように、全体に放射されている音の方が心地よいのでは」と分析しました。



さらに鮎貝氏からは音楽のプロとして、Boseの得意な音楽ジャンルや、年代ごとに流行り廃りのある音作りの傾向への対応はどうしているのか、といった質問がありました。

これに対して大久保氏は「Boseとしては音の聴き方はユーザーそれぞれ。流行や特定のコンテンツにあわせるのではなく、どんな人にも、音楽にもベストな音を提供できるか、といった点で開発を行なっています」と答えています。

締めくくりは鮎貝氏から、「もう一度音楽が身近になるきっかけを作ってくれました。音の楽しさを最大減に増幅してくれますので、生活のなかに居てくれると楽しくなります。プレゼントにもよいのでは」とのリコメンドでした。



続いては、来場者からの質問に大久保氏が回答するコーナーへ。

「アロマディフューザーと連携できませんか」「パーティモードは部屋の対角でなくてもいいのでしょうか?」といった使い方から、「Revolveシリーズの本体が、下から上へ細くなっているのはどういった理由?」「Boseの製品全般に関して、いわゆるハイレゾ対応はしないのか」「ホームオーディオの音は、コンサートホールの音の延長線上にあるものか?」といった、技術的に突っ込んだものも。

大久保氏の答えをいくつか抜粋すると、パーティモードは「ステレオとは違いますので、位置は選びません。隣の部屋で、という使い方もOKです」とのこと。

ハイレゾ対応に関しては、個人的な観点を含みますと述べた上で「Boseは市場に浸透した技術を反映しており、現在は対応に関して協議中。要望の声が大きければ対応します」と回答しています。

そして最後の質問には「創業当時のスピーカー『2201』や『901』は、コンサートホールの音を自宅でという理念の製品でした。これらが示すように、基本的にはイエスです。ただしホームシアターやヘッドホンでは当然ながら違ってくるところもあります」と、ファンが頷く深い回答も出ました。


最後にはシリーズを通した特徴をアピール
360度に音が広がる「そもそも」の理由も




そしてBoseのトレーニング部部長である冨田雅武氏から、SoundLinkシリーズ4モデルの違いや、そもそもなぜ360度に音が広がる構造なのか......といったコンセプトと、それを支える技術を解説。



「360度に音が広がる設計は、回りにいる人が同じいい音で楽しめるメリットを重視した」との設計思想や「SoundLinkシリーズの耐久性に関しては、テスト機材を70cmの高さから100回落として動作することを確認しています」といった開発エピソードを紹介。プレゼン資料では、RevolveシリーズとMicroの内部構造図なども披露されました。

合わせて「Revolveシリーズの音声ガイドは18カ国語まで対応」「SoundLinkシリーズに搭載されたマルチファンクションボタンとマイクにより、iPhoneではSiriが、Android機ではGoogleアシスタントが呼び出せます。これらのボイスアシスタントを使って、実は電話を掛けることもできます」といった、面白い使い方なども公開しています。



そして、モデルごとの違いやオススメに関しては「Revolve+とRevolveに関しては、実は『どっちが良いの?』とよく聴かれますが、やはり音とサイズの好みになります」「Color IIとMicroも価格が近いため質問を受けますが、Microは小ささと耐水性能の高さが魅力です。Color IIはNFCや外部音声入力などを備えているため、機能重視の方はおすすめです」といった、製品の選び方についてもアドバイスを述べています。



このように今回のイベントは、SoundLinkに興味ある方のみならず、Boseファン、ひいては「いい音で、なおかつどこでも音楽を聴きたい」という音楽ファンも楽しめる趣向。来場者の皆様も、時間が経過するに従い、タッチ&トライコーナーでの熱量が上がっていったのが印象的でした。