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SK-IIが示すスキンケア・ショッピングの新時代:CES 2019

テクノロジーの力で、“通いたくなる”スキンケアストアに

Engadget JP Staff, @engadgetjp
2019年1月24日, 午後12:00 in Beauty
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今年、CES2019にスキンケアブランドの『SK-II』が初出展しました。

SK-IIと言えば、誰もが一度は聞いたことがあるプレステージスキンケアブランド。Engadgetの読者なら、一様に同じリアクションになるのではないかと思うのですが、テクノロジーの祭典である「CES」に、ラグジュアリーなイメージのある化粧品ブランドが出展すると聞いて編集部一同、とてもびっくり。聞いてみると、「テクノロジーを使った新しいスキンケア・ショッピング体験ができる」とのこと。というわけで、会期中取材に行ってきました。

SK-II

デザイン性の高いブースは"楽しさ"の宝庫だった

「FUTURE X Smart Store by SK-II」と題されたブース。入るとまず、赤いRFIDタグが入ったリストバンドを渡されます。ここに、自分の情報が紐づけられる仕組み。

SK-II

ブースは4つのセクションに分かれており、最初に通るのは「アート・オブ・ユー」。

SKII

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カメラの前に立って表情を変えると、顔を認識して、ウォールのアートが変わるというもの。"手をかざすと色が変わる"双方向アートに近いイメージですね。「あ、動いた!」なんて言いながら試すうち、知らないうちにニコニコしている自分に気付かされました。

続いて通されるのは「スキン スキャン」のブース。誰もいないブースに入り、手につけたリストバンドをタッチ。あとは指示に従って操作するだけで、高度な画像解析によってお肌の状態を分析してくれるというもの。女性でなくても、自分の肌がどんな状態なのか、実際の数値を知りたい人は多いでしょう。ただ、対面のカウンセリングで調べてもらうには「何かを買わなければいけない」、「高いものを買わされるのではないか」というプレッシャーもあって、なかなかカウンターに近づけないわけですが....。ここでは誰の目も気にせず、ブース内に座るだけ!

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スキャンが終わったら、横に設置されたディスプレイ「スキンケア ウォール」へ。画面の前に立つだけで結果が表示されます。ここで使われているのは、顔認識技術。ディスプレイ上部のカメラが顔を判断し、「写っているのは誰なのか」を認識。画面の前に立つだけで、肌分析の結果を表示します。

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ちなみに私の結果は、実際のお肌より「6歳若い」と出ました。やったー、嬉しい! さらに、キメ・ハリ・シワなど、項目別に結果を表示してくれるのですが蓄積されたデータベースから、自分と同年齢の人達のデータと比較し、どういう位置にいるかを数値化して見せてくれます。

つまり、数値が高いほど「綺麗な肌」というわけ。実際の数値をゆっくり確認できるから、私がすべきスキンケアはコレか......! と自分で判断できるのがポイントです。日々のスキンケアに対するモチベーションも上がりますよね。

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そして、こちらは横にあった小さなディスプレイ。

ここでは、顔認識のからくりを、"見える化"していました。「笑っている人」、「ニュートラルな状態のヤングアダルト」という風に、写っているひとの表情を見分けているのがわかります。 (なお、これらの記録をとっているわけではありません)。

続いては、「リテール テーブル」です。ここでは、正面に立つ人の手の動きを認識し、その人が手にした商品の詳細をディスプレイテーブルに表示します。

SK-II
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試しに横からたくさん手を伸ばしてみましたが、正面の人しか認識しません。モーションセンサーを見てみると、フレームインした手の動きについては、全て一旦認識していることがわかります。つまり正しくは"正面の人の動きだけを選択して表示している"ということになります。これでいっぱいお客さんがいても大丈夫ですね。

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この「リテール テーブル」では、指をさすだけで、指さした先の製品の紹介が表示され、ストレスなく製品の特長がわかるんです。さらにリストバンドをタップすると、製品をオンラインで購入可能なQRコードを表示。アクセスするともうカートに商品が入っているという仕掛け。お店で買わなくてもいいんだ......! というのにびっくり。

たしかに最近の買い物方法は、店舗で試したあとで、お財布と相談したりしながらゆっくり考えることが増えている気がします。それをオフィシャルショップで、しかも検索しなくてもできるというのは、ありがたいことですね。

最後は、IoTボトルの体験。アプリと連動して光る化粧水ボトル「フェイシャル トリートメント エッセンス スマート ボトル」です。

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毎日、決められた時間にタイマーや光でお知らせしてくれるほか、スマートキャップがフタをあけた、締めた、という状態を認識し、記録します。これにより自分では忘れてしまいがちな「ケアを続けられているかどうか」、「怠っていないか」がわかるという仕組み。3日間続けるとチカチカ光って「よくケアできたね!」とほめてくれます。

最近疲れて帰ってくると、日付もよくわからず、ケアもままならなかったりするので、こうやって、自分の部屋でケアを支えてくれるアシスタント的・パートナー的なアイテムがあったらいいですよね。

ここまでがひととおりの体験です。この一連の流れがとても自分主導というか、自分のペースでスムーズにできてしまうんですよね。「買い物」に対するハードルがとても低くて心地いいですよね。

「新しいスキンケアストアの姿」について、SK-II CEOのサンディープ氏に突撃

この「FUTURE X Smart Store by SK-II」について、プロクター・アンド・ギャンブル社のSK-II グローバルCEO サンディープ・セス氏にお聞きしました。

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──今回使用しているテクノロジーの詳細について教えてください。

サンディープ氏「まず核にあるのがSK-II独自のスキンサイエンス、肌分析技術です。加えて今回の体験のベースになっているのが顔認識技術です。その他、モーションセンシングや、IoTなど様々なテクノロジーを活用しています。強調したいのは、私たちはテクノロジーの会社ではないということ。SK-IIがお見せしたかったのは、テクノロジーを、どうやって消費者の皆さんに意味のある"体験"に変えられるかということです。これら技術を使うことで新鮮かつ、プレッシャーのないスキンケア・ショッピング体験を得られるようにするのが狙いです。私たちは"フィジタル"という言葉使っていますね。これは、フィジカル(肉体的)な体験と、デジタルな体験を融合させたもののことです」


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──その、フィジタルな体験で、消費者が得られるメリットとは何でしょうか。

サンディープ氏「まずは、プレッシャーからの解放です。そして、自分のペースで買い物ができるということ。『時間をとられるのではないか』、『必ず買わなければいけないのではないか』といったプレッシャーを感じることなく、自分の欲しい情報を得られて、自分でじっくり考えられる。FUTURE X Smart Store by SK-IIの主役はお客様で、主導権はお客様にあるのです」


──となると、このままビューティカウンセラー(アドバイザー)はいなくなってしまうのか、という疑問が出てくるのですが......。

サンディープ氏「重要なのはカウンセラーがいなくなるということではなく、お客様が自分のペースで動けることです。やりたいことを自分でやれる、聞きたいときには聞けるということですね。私は、今後、ビューティカウンセラーの役割は変わっていくと思っています。カウンセラーは、質問されたことに自身の知識や体験に基づいてお答えするほか、もっとお客様に寄り添う存在になっていくでしょう」


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──具体的にいうと、どのようなことでしょうか?

サンディープ氏「今の消費者は10年前とくらべ、情報をたくさん持っていますよね。インターネットやSNSで、ほとんどの事を知っている。何が欲しいかもわかっている。そういう人に商品の説明をイチからしても意味がありません。主導権をにぎるのはコンシューマーであるべきで、それが今後の潮流になるでしょう。
こういった体験型のストアは、すでに他の業界では増えてきています。スタッフは質問に答えてくれますが、製品の特徴を押し付けることはありません。消費者がプレッシャーを感じない作りになっています。それと同じことですね」


──FUTURE X Smart Store by SK-IIというアイデアはいつ生まれたのでしょうか?

サンディープ氏「消費者を理解するというのは、常に我々にとっての最重要事項なのですが、お客様から、今のリテール体験というものが非常にプレッシャーを感じるものであることを聞いていました。そこで、約1年前からこのお客様が抱えるストレスをどうやって打破するのか、というのを話し合ってきました。そこで生まれたのが、昨年5月に初めて東京で開催したポップアップストア「Future X Smart Store by SK-II」です。その後上海、シンガポールそして、今回のCES2019と展開する中で学びを積み重ね、少しずつ意味のある体験を生み出せているのではと思っています。ただ、まだ最初のステージですので、これからも様々なものを試しながら、さらに進化させていきます。」


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機械がすべてをこなす、無人で化粧品が買える、ということではなく、SK-IIが目指すのは、"お客様自身が主導権を持てる店舗"ということ。「人」と「テクノロジー」が提供できるそれぞれの価値を選択肢として提示して、ストアを体験化するのが「FUTURE X Smart Store by SK-II」ということなのでしょう。



インタビューやブースでの体験で感じたのは、とにかく面白かったということ。それに加えて、実質的なメリットが得られる店舗という形が斬新だったということ。CESはテクノロジー系の展示会ですが、最終的にはテクノロジーを使って何をするかというのが大切でしょう。どうやってテクノロジーを消費者のストレスフリーなお買い物体験に落とし込めるか、ということに徹底的にこだわって作られたSK-IIのブースは、とても意味のある出展のように思いました。長蛇の列ができていたのも頷けます。

例えばダイエットのために体組成計に乗るように、その体組成計があるスポーツクラブに通うように、お手入れの結果を知りたいから、ささっと、スキンスキャンしに行こうかなー、という感覚が持てるのではないか、と感じました。

未来の買い物体験ができた、CES2019でのSK-IIブース。これからもSK-IIの試みに注目したいですね。

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関連キーワード: beauty, cosmetics, p&g, Procter Gamble, SK-II
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