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達人が語るVR展望から360度写真のコツまで。迫力のVRウルトラ作品も楽しめた「富士通VRナイト」レポート

超軽量モバイルノート『LIFEBOOK UH』も人気でした

Engadget JP Staff, @engadgetjp
2017年12月8日, 午後04:20
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12月1日、Engadget編集部が富士通の協力で、FMV新製品群の発売を記念したイベント『富士通VRナイト」を開催しました。

これは同社が発売したWindows Mixed Reality(Windows MR)ヘッドセットや超軽量ノートPC『LIFEBOOK UH』シリーズ、DMM.comで配信される最新VRコンテンツを自由に楽しめるタッチ&トライに加え、VR業界の先端で活躍する方々のトークショーも聞けるという趣向です。

同日は金曜日とはいえ、タッチ&トライは午後5時、トークショーも6時からという早めの開催にも関わらず、開幕時から体験スペースが満席となるなど、非常に熱気にあふれたものとなりました。

VR伝道師GOROman氏とMIRO氏が、意外な歴史と今後を語る




メインとなるトークショーは2部構成。その第1部は、VRアプリ開発者であり、元Oculusジャパンチームの設立メンバーでもあるVRエヴァンジェリストのGOROman氏と、「携帯動画変換君」などのアプリ開発や各種VRライブイベントのシステム構築などで知られるMIRO氏による『VRスペシャルトーク』。



両氏はまず、VRの歴史を軽く解説。新しい技術に思えるVRですが、実は発想自体は意外なまでに古く、1968年にアイバン・サザランド氏が作成したヘッドマウントディスプレイシステム(HMD)『The Sword of Damocles』に遡るといいます。

またバーチャルリアリティという言葉が登場したのは、1989年。米国のVPL Researchという企業が手がけたHMDによって。「なんとこのHMDの名前は『Eye Phone』(アイフォン)です」と両氏が紹介すると、会場から驚きの声も上がりました。



1990年代になると、アミューズメント系の専用施設に置かれるデバイスが登場。1991年の『バーチャリティ2000』や、1994年にセガが横浜で稼動させた『VR-1』など、システム的には今の視点で見ても大がかりなものが多い印象です。



お次は現在のVRブームのきっかけ、ターニングポイントとなったのがOculus Riftの登場。両氏は直接のきっかけとして語られるクラウドファンディング開始前から情報をキャッチしていたのだが、それでもファンディング開始時には、「300ドル(当時の価格)でしっかりしたHMDが出せるのか?」と半信半疑であったといいます。



しかし実際の製品は、圧倒的な視野角の広さや遅延の少なさなどで大きな衝撃を与える、素晴らしい完成度。開発者向けキットの出荷後は出資者を中心に話題となり、昨今のVR用ヘッドセットの基礎を作ったモデルとなりました。



そして今回のテーマとなるWindows MRヘッドセットでは、ヘッドトラッキング(頭の動きを検出する機構)に、外部センサーの設置が必要ない『インサイド・アウトトラッキング』を採用する点が特徴です。
両氏はともに、USBとHDMI端子を接続するだけで使えるため、設置がとても手軽になった点が嬉しいとのこと。

そして話の流れは将来普及の先に考えられる「VR時代の生活」や、現在と将来のVRコンテンツの紹介へ。

実はここで重要なのが「VR時代ならではの仕事風景」が出てくる可能性。例えばExcelでさえも、VR上で実行することで、現在の姿とは大きく変わるといいます。



それを説明すべくGOROman氏は、Officeのイルカとして知られるカイルくんについて触れ、「現在のディスプレイでは、解像度が有限だったので邪魔、という意見が多いですが、VR空間であれば邪魔でない位置にいてもらえればよいのです」と、アシスタントキャラの有効性が現状とは大きく変わる点を、半分ジョークを交えて紹介。



また両氏は、実際に体験してみないとわかりにくいVRコンテンツの特徴として「画面上の物体に対する距離感が強く感じされる」という点にも触れます。「この効果によって、たとえばテレビ会議などでは、話す距離感を演出できます」と、アプリ開発者ならではとも呼べるメリットについても述べました。



そしてVRで大きく変化するコンテンツとして、やはりゲームも挙げられます。MIRO氏は「VRで体験してみると、頭ではわかっているつもりでも、物体がこちらに飛んでくる状況になると、思わず驚いてしまいます。動く物体に近づくことの恐怖感などが段違いです」と、VRならではの魅力について触れます。

また、距離感を把握する点が重要なタイプのゲームでは、HMDによる立体視により奥行きが掴みやすくなるため、むしろ一般的なディスプレイより遊びやすくなるメリットもあります、とアピールしました。



最後にまとめとして、両氏は現在到来しつつあるパーソナルVR時代の楽しみ方について紹介。

この視点から見ると、今回の富士通製Windows MR HMDとノートPCとのセットモデルはインパクトを持つもの。これまで数々のVR機器を渡り歩き、夢を見てきた両氏からしても「十分な性能のHMDがPCとワンセットとなり、家電量販店で買えるようになった」というのは、とても感慨深いものがあるそう。



「HMDが簡単に入手できるようになったことで、個人でもVRコンテンツが作れる時代になりました。これは80年代、マイコンが登場して、個人でもゲームが作れるようになった時代と近い状態。大きなフロンティアが広がっています」

「Oculus Riftからの4年で凄い進歩となっているのが現状。このペースで普及していくと、オフィスワークで使われるVRなども出てくるのでは」と、VRやMR環境がもっと身近になると結論づけました。

ちょっとした工夫で大違い VR用360度写真のノウハウをわっき氏が伝授





トークショーの第2部は、パノラマ写真家であり、本誌Engadget日本版でも360度カメラの記事を多く手がけるわっき氏と、VRアーティスト兼YouTuberのせきぐちあいみ氏による『360度カメラをWindows MRで楽しむ』。
これは個人で作れるVRコンテンツとして現状で一番手軽な360度写真を、より楽しくするテクニックを紹介するコーナーでした。



まずわっき氏は、どんな時に撮るか? として真っ先に上がる、友人などが集合した記念写真での例を紹介。「360度写真にすると、自分で見た際に『追体験』感が高まります。また綺麗な風景など、他の人に凄く見せたい、という写真を撮る際には効果が大きいです」と楽しさをアピールします。



またわっき氏は360度カメラでの記念写真のポイントとして、カメラを囲んで撮影できるため、参加者が移動しなくても全員を写せる点なども紹介。飲み会などでも、一箇所に集合せずに撮影が可能なことから、かえって普通のカメラより気軽である点などをメリットとして挙げます。



ここでわっき氏が撮りためてきた360度写真を、せきぐちさんがVR体験。同席したイベントでの写真などで「ああ、こんな時ありました」と、リアクションで追体験感を表現していました。



ここでポイントとなったのが、Windows 10+Windows MR環境での写真の取り扱いの手軽さ。Windows 10に搭載されたMR用標準アプリ『拡張現実ポータル』は、360度カメラの写真ファイルを転送するだけでヘッドセットで見られるのです。ビューアーアプリなどのインストールや、変換処理などは一切不要です。



続いては、わっき氏のノウハウによる効果的な撮影テクニックやTipsを紹介。
とくに参加者からの反応が大きかったのは、「強い光源の位置を気にしてみる」というTips。360度が撮れてしまうことで、意外な光が写真に入って露出が変わるため、屋外では木陰に入るなどで強い光源を外に出そう、というもの。

またVRで見る際にとくに重要なのが「カメラの高さを気にしてみる」こと。一般的な記念写真などでは、周囲の風景を入れるため、自撮り棒などで高さを上げての撮影が基本となります。が、VRで見る際にこれをしてしまうと、せっかくの人物が小さくなってしまい迫力が出ないそう。

これを防ぐため、人物を撮影するときには胸の上程度までに高さをとどめておくと好ましいとのこと。とくにVRで見る際は、カメラの位置が視点となるためことさら重要です、と指摘しました。





さらに360度撮影用に便利なグッズなども紹介。「記念写真などでは三脚での設置が基本となりますが、実は脚が太いと写真に入り込んでしまいます。しかし、脚の細いミニ三脚であれば避けられます」といったノウハウを交えての紹介に、感心する参加者も多数見られました。



また写真だけでなく、360度動画の撮影や編集に関しても紹介。実は360度動画の編集に対応したコンシューマー向けアプリはまだ少ないことなどから、わっき氏が推奨できるのはサイバーリンクの『PowerDirector 15』になるとのこと。

ただしテロップに関してはまだ配置が限られているため(たとえば見上げた位置に文字を置く、といった三次元的な配置ができない)、このあたりはこれからに期待したいといった注意点も語られました。

最後に両氏は、360度写真の普及という観点からも、今回の富士通製品でVR体験の敷居が下がったことは非常に大きいと期待を寄せます。「360度カメラは、もっと気楽に使っていいアイテム。日常のちょっとしたことでも、いろいろ写真を残しておけばあとできっと楽しいです」とまとめました。

懇親会では超軽量ノートPCにもアツい視線が



トークショーに続いては、Engadgetイベントではおなじみの懇親会兼タッチ&トライの時間となります。まずは挨拶として、富士通のユビキタスビジネス事業部 プロモーション統括部の近上邦彦氏から、富士通のWindows MRヘッドセットの狙いについて紹介。


登壇者からもコメントがあったように、ノートPCとのセット販売は手軽に楽しんで欲しいという狙いがある、と切り出し、また他社の製品との大きな差としては、3Dを楽しむためのソフトウェアをバンドルしている点と続けます。



とくにノートPCとのセットモデル『FMV LIFEBOOK AH-MR/B3』では、わっき氏が紹介したビデオ編集アプリのPowerDirector 15をバンドルし、買った状態ですぐに360度動画の編集にも対応します。
さらに、YouTubeの360度動画を楽しめるメディアプレーヤーアプリとして、『Power Media Player MR for FUJITSU』もバンドルしているため、360度写真のない方でも手軽に楽しめる点を紹介しました。

また、HMD対応機種に関しても、セットモデルだけではなく、2017年冬モデルとなるFMVシリーズのうち多くが対応している点を紹介。とくに13.3型軽量モバイルノート『LIFEBOOK UH』最上位モデルとなる、UH90/B3で対応している点について触れます。「重量899gのPCながらWindows MRに対応できます」と紹介した際には、来場者からも驚きの声が。



合わせて、Windows MRこそ非対応ですが、13.3型のモバイルノートPCとしては約748gと非常に軽いUH75/B3も合わせてアピール。同機をベースにしたカスタムメイド(BTO)モデル『LIFEBOOK WU2/B3』で新登場した、日本語配列、かな表記なしのキーボードが、Engadget日本版編集長矢崎からのひと押しがあった件などについても、当人を交えて裏話が語られています。



なお、懇親会の時間では、トークショーの登壇者や、富士通の担当技術者も来場者と一緒にくつろぎつつ、来場者からの質問に対する回答や、貴重な裏話などを語ってくれました。



タッチ&トライで展示されたVRコンテンツについては、円谷プロ、ポニーキャニオンが制作したウルトラシリーズVR作品『ウルトラマンゼロVR』『ウルトラファイトVR』をはじめとする人気VR作品が楽しめる趣向。


© 円谷プロ © ウルトラマンゼロVR製作委員会

この2作品はVR映像的な視点だけでなく、ウルトラシリーズの映像作品としても評価の高いものだけに、思わず驚きの表情となる来場者が続出。合わせて、Windows MRヘッドセット初体験という方々が、富士通製HMDの付け心地やコントローラーの操作感など、熱心にチェックする姿も端々で見られました。




またLIFEBOOK UHシリーズも発売されてからまだ間がないため、その軽さや、モバイルノートPCとしては珍しい有線LAN端子の内蔵機構(非常に面白い折りたたみ構造になっています)などを興味津々でチェックする方も多かったのが印象的です。

このようにゆったりとしつつも、静かな熱気のあふれるムードで懇親会は進み、およそ午後10時に閉幕。開場からは5時間という長丁場となったイベントでしたが、来場者が最後まで丹念に製品をチェックしているなど、非常に熱心な光景が印象的なイベントとなりました。

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