right to repair
Aziz Taher / reuters

米ジョー・バイデン大統領がFTC(連邦取引委員会)に対し、メーカーが「修復する権利」を制限することを阻止するための新たな規則を起草するよう指示する予定だと伝えられています。

「修復する権利」とは、ユーザーが自ら選んだ方法で、主に製造メーカー非公認の修理業者に持ち込んで購入した製品を修理できる権利のことです。具体的には製造メーカーに純正の修理部品や回路図を独立系の修理業者の提供することを義務づけるものです。

さて米Bloombergの情報筋によると、今回の大統領令は主に農業用トラクターのメーカーが独自の修理ツールやソフトウェア、診断方法を使用して修理できないようにしていることを対象にしつつ、携帯電話メーカーや国防総省の請負業者に言及される見込みとのことです。その中でアップルやマイクロソフトといったスマーフォトンやゲーム機の修理を制限しているハイテク企業も対象とされる可能性がありそうです。

ホワイトハウスの経済顧問ブライアン・ディーズ氏は、この大統領令は、「米国の家庭の負担を引き下げ、労働者の賃金を上げるために、経済における競争を促進する」ことを目的としていると述べています。

こうした「修復する権利」を法律化する運動は、長年にわたって米国で繰り広げられてきました。2021年だけでも全米27もの州で法案が検討されたが、そのうちの半分以上は否決されたり却下されており、その裏ではアップルなどハイテク大手を代表するロビイストや業界団体が働きかけてきたとも報じられていました

今回の報道につき、「修復する権利」運動を支持している修理業者iFixitは「ハイテク大手はあまりにも長い間、地元の中小企業を犠牲にして、消費者を利用してきました。バイデン政権がFTCの規則制定権を用いて競争を回復させようとしていることは非常に心強い」と米Engadgetに語っています。

この動きに先立ち、米ニューヨーク州上院議会では「修理する権利」法案が可決され、米国で初の例となったことが話題となりました。もっとも下院での議決や州知事による承認というステップが残っており、結論は2022年まで持ち越しとされ、道のりは未だ遠いと見られています。

米公益研究グループ(PIRG)の調査では、ニューヨークだけでデジタル機器を買い替えず修理すれば、年間約24億ドル(約2600億円)、平均的な家庭では年間330ドルを節約できるとのこと。またiFixitは65万5000トンの電子廃棄物を削減できると述べていました。

米国の大統領が「修復する権利」を後押しした影響は、全米はもちろんのこと全世界にも波及していくと思われます。ハイテク大手にも守るべき企業秘密があり、また独立系修理業者の手に負えない故障もあり得るかもしれませんが、消費者の権利を守りつつ、環境保護にも貢献する動きとなるよう祈りたいところです。

Source:Bloomberg