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adamrocker x 矢野りんに訊く!
タブレット・アプリ開発の現在、そして未来――Windows 8の登場でタブレットの世界はどう変わるのか?

【後編】周辺機器も充実。ビジネスにもファミリーにも強いのがWindows 8の魅力


 

By AOL編集部

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前編に続いて、Android用日本語入力アプリとして多くのファンを持つ「Simeji」の開発者、バイドゥの足立昌彦さんと矢野りんさんに、間もなく登場する新タブレット・プラットフォーム「Windows 8」の魅力をお聞きしましょう。今回はユーザー・インタフェースなどWindows 8の主な特徴、そしてWindows 8の登場でさらに可能性が広がるアプリ開発の今後について伺います。
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どんなものにも制約がある。開発者はその中でベストを目指す

――前編ではWindows 8の印象をお伺いしましたが、もう少し具体的な特徴についてもお聞きしましょう。まず、Windows 8は開発言語として、従来の.NETとC に加えて、HTML5+JavaScriptもサポートします。

足立:私は言語オタクでC#が好きなので、.NETが使えるというのはとても魅力的です。

 HTML5については、私は懐疑派なんです。Webアプリの標準開発言語として、特にマルチプラットフォーム対応に期待を抱く方が多いようですが、これまでブラウザの互換問題でどれだけ苦労してきたのか(笑) それに加えてマルチプラットフォームの問題もあるわけで、果たして期待どおりにいくかどうか... 

――また、従来のWindowsとは大きく異なり、アプリをWindowsストア経由で配布するというスタイルをとります。

足立:その点はこれまでと大きく違いますね。実はほかのプラットフォームでは、ストア経由でのアプリ配布に関して1つの課題があります。それは「ユーザーが目的のアプリを見つけづらい」ということです。

 要はSEO対策の行き過ぎで、それぞれのアプリがいろいろなキーワードを関連語として登録しているんですね。そのため、単にキーワード検索するだけでは目的のアプリを絞り込めず、外部のアプリ紹介サイトなどを使わないと探せないという状況に陥っています。Windowsストアでは、この課題にどう対応していくのか注目したいですね。  

――タブレットでの利用を強く意識した独特なユーザー・インタフェースを備えている点も大きな特徴ですね。

矢野:デモ・アプリなどを見ると、「ユーザー・インタフェースやユーザー・エクスペリエンスをこういう指針で作りなさい」といった具合に割と強く制約されていて、ちょっとサディスティックな世界ですよね(笑) ただ、それもありなのかなって思います。

 と言うのも、建築の世界を見ると、例えばヨーロッパには、建物の様式や外観が強く規定されていて、その枠組みの中で個々の建物を作っていくことで街全体の景観が良くなっている都市があります。それと同じアプローチだと考えればいいんですよね。

足立:それぞれに制約があるのは仕方がないし、皆が同じ土俵で勝負するわけで、その中でベストなことをすればいいんですよ。ないものをねだっても仕方ないし。僕の場合は「ないこと」が発想の起点になる場合が多いです。「ないことをプラスにする」、「ないからこそこうする」っていうところから新しい発想が生まれてくるんです。  

――制約を起点に考えるわけですね。矢野さんには次回、Windows 8のユーザー・インタフェースについて、マイクロソフトのエバンジェリスト春日井良隆氏とじっくり語り合っていただく予定です。Windows 8特有の制約については、そちらで詳しく取り上げましょう。

充実した周辺機器で“コト作り”の世界がさらに広がる

――ほかのプラットフォームと比べて周辺機器が充実している点もWindows 8の特徴の1つです。

足立:それらの周辺機器も使って“コト作り”の可能性を広げられる点は楽しみですね。周辺機器をタブレットにつなげてアプリと連携させ、さらにその先にはインターネットもあるわけですから。

 何らかの周辺機器を核にして“コト作り”するというアプローチもあるでしょう。例えば、これはPC用なのですが「Sifteo Cubes」というガジェットがあります。液晶画面とプロセッサを備えたキューブ状のガジェットで、最大で6つのキューブを組み合わせることができます。それらをつなげたり、並べ替えたりして、パズルなどとして遊ぶんです。PCとは無線LANで通信し、プログラムはインターネットからダウンロードしてPC経由でキューブに送信します。面白いのは、このキューブで動かすアプリは誰でも作れるんですね。残念ながら、現状はいちいちPCを立ち上げなければ遊べないという煩わしさがあるのですが、タブレットならばこうしたガジェットでもっと手軽に遊べるようになるでしょう。

 ファミリーに強いWindows 8なら、家の中で複数人で使う場面も出てくるでしょうが、そのときにガジェットなどの周辺機器も使って複数人で遊ぶような“コト”が作れたら面白いですよね。もちろん、ビジネス用途でも、さまざまな周辺機器を活用できる点はアプリ開発者にとって大きな魅力でしょう。

Windows 8でさらに広がるタブレットの利用シーン

――お話を伺っていると、Windows 8によってタブレットの利用シーンはますます広がっていきそうですね。

足立:いろいろな利用シーンが新たに生まれてくると思います。それらを考えるうえでは、やはり「行動範囲」と「人数」が鍵になるはずです。例えば、人数について言えば、タブレットPCならば1人で使うシーンと複数人で使うシーンをシームレスにつなげられる。これは複数人用ですって限定する必要がなくなり、1人でもできるし複数人でもできるようになるわけです。

 これまでPCでは、ゲームでもオフィス業務でも、主にインターネットを介して複数人でコラボレーションしていました。それがタブレットPCならば、相手が目の前にいる状況でコラボレーションできる。これも1つの制約になるわけですが、この状況をうまく利用することで新たな可能性が開けてくるはずですよ。

これからのアプリ開発者に求められること

――タブレットの可能性がさらに広がっていく中で、これからの開発者には何が求められるようになるのでしょうか?

足立:優れたプログラムを作れること、優れたユーザー・インタフェースを作れることも大切ですが、それ以上に、まずは“コト作り”ができることが重要になるでしょう。

 また、“コト作り”が苦手だという人には、環境作りという役割もありますね。これは日本人が得意にしていることだと思いますが、開発のためのツールやSDKなど、使ってもらうための道具を作るという役割です。本当はその下のプラットフォームを作るところまでできるとよいのですが、そこはアメリカ人が得意なので(笑)

矢野:行動範囲や人数に対する発想を鍛えないといけませんね。アプリそのものだけじゃなくて、例えばタブレットをどこで充電するのかとか、持ち歩いてるときはどういう状況なのかといったことも含めて考える力がますます必要になるのでしょう。  

――ほかのプラットフォームで開発していた方がWindows 8に取り組む際に気を付けるべきことはありますか?

足立:Windows 8の世界の作法に早く馴染み、その作法の中で作ることです。iOSからAndroidにアプリを移植する際、よく「iOSっぽくしてください」とリクエストされるそうなのですが、それではAndroidユーザーにとって使いづらいアプリになってしまうかもしれません。似せる必然性などまったくないんですよ。

 そうやって無理にほかの世界の流儀を持ち込むのではなく、その環境で実現できる最適なものを作らないといけません。それには、まずそのプラットフォームの文化に馴染むことです。Windows 8の世界の作法や、Windows 8ユーザーが期待する動作に早く馴染むのです。そうした文化が醸成されるまでには少し時間がかかるかもしれませんが、「何となくこう使われてるようだ」といったことをよく見て学んで、それに従って作ることが大切です。要はWindows 8向けにゼロからちゃんと作ろうということですね。

――最後にSimeji開発者として、読者の皆さんにひと言。

矢野:まだSimejiを使ったことのない方がいらっしゃったら、ぜひ使って感想を聞かせてください!

足立:これまで、Simejiをじっくりじっくり育ててきましたが、先日Simeji 5をリリースして、ようやくスタートラインに立てたなという気持ちです。ここからさらに次のステップに進んでいきます。日本語入力アプリ(IME)という枠組みでとらえていると発想が小さくなるので、“IMEの本質”を突き詰めながら、それを崩さずに広げていきたいと思います。Simejiの“コト”をようやく広げていける段階に来たんです。これからも楽しみにしていてください!
 

――本日はありがとうございました。先にも触れましたように、次回は矢野さんとマイクロソフトの春日井良隆氏に、Windows 8の新しいユーザー・インタフェースについてじっくりと語り合っていただきます。読者の皆さんはそちらの記事も楽しみにお待ちください。

インタビュー前編はこちら  

提供
日本マイクロソフト株式会社
掲載期間
2012年9月18日〜2012年12月16日

 

 
足立昌彦(あだち まさひこ)
バイドゥ株式会社モバイルプロダクト事業部
部長。大手メーカーの研究所勤務を経て、サンフランシスコでAndroidアプリを開発。日本国内で3人のみが認定されたGoogle Developer Expert Android の一人。Android開発の第一人者であり、Adamrockerという通称名で知られている。2011年12月よりバイドゥ株式会社入社。現在、モバイルプロダクト事業部責任者として、Baidu本社の開発チームと製品開発に関わる一方、グーグルイベントなどでの講演、書籍等で開発者に向けた情報発信を積極的に行なっている。

 
矢野りん(やの りん)
バイドゥ株式会社モバイルプロダクト事業部
マネージャー。フリーランスのデザイナーとして、メーカのWebコンテンツなどデザイン経験多数。2011年12月よりバイドゥ株式会社入社。自社プロダクトのSimejiやBaiduIMEのUX/UIのデザインやプロモーション企画・デザイン担当。Android女子部を主催するなど、国内におけるAndroid普及に努めている。Simeji(シメジ)を中心とするサービスの開発に関わる一方、講演や、書籍の執筆も行っている。

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