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バンダイナムコスタジオとEngadget 電子工作部が全三回にわたってお送りする IoTガジェット製作イベント「エンターテインメントのチカラで、未来を見せる」。先日は第一回「夢」Day 0のトークセッションの様子をお伝えしましたが、参加者チームのガジェット製作は8月9日(日)に無事ゴールしました!

バンダイナムコエンターテインメントが提供するカタログIPを使って、これまでにない新しいエンターテインメントを作る。一体、どんな作品が完成したのでしょうか?

ここでは7月18日(土)、8月9日(日)に秋葉原3331で開催されたDay 1、Day 2の模様をお伝えします。

カタログIPオープン化プロジェクトとは

 

「カタログIPオープン化プロジェクト」とは、バンダイ・ナムコ統合10周年記念企画として、株式会社バンダイナムコエンターテインメントが実施している、ネットワークエンターテインメントのさらなる事業領域の拡大を目的とした取り組みです。クリエイター登録することで、カタログIP(同社保有のオリジナルIP)17タイトルを使った二次創作が、デジタルコンテンツの領域において可能となります。参加には、クリエイター登録が必要です。作品の公開は日本国内のみとなります。


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それを作ることで誰を幸せにしたいのか?

Day 0の余韻が残る中、Day 1はアイデアスケッチ&ハードウェアスケッチです。スケジュールは朝10時から。昨晩のDay 0で最初のチームミーティングが済んでいるため、メンバーが徐々に集まって、和気あいあいな雰囲気です。

最初に、バンダイナムコスタジオ未来開発部の高子佳之さんから「企画づくりについて、普段自分自身が心がけていること」として話がありました。高子さんは、まず作るモチベーションには自分が幸せになることがあるとしながらも、作ったときにそれが誰を幸せにするものか?を意識しているといいます。

このとき、「誰」の部分を20代女性とか、40代男性というようにとらえるのではなく、たとえば具体的に隣の席の◯◯さん、とイメージするそうです。その具体的な誰かを幸せにするにはどうすればいいか。さらに高子さんが留意しているのは、提供したいのは「体験」だということ。具体的に落とし込む段階で何かしらの技術を用いるわけですが、そこで提供したいのは技術を使った「体験」であって、技術を使っているということではない。そのため、音や触感など、人間の五感につながる見せ方の部分に全体の半分以上の時間をかけるそうです。

また、何か人の感情にひっかかる「フック」を意識することが重要だといいます。「当たり前の技術を当たり前に提示しても記憶には残らない。たとえば、大根とインターネットを組み合わせるというような、普通なら結びつかないような、何か違和感のあるものを組み合わせることで、「なんだろう、おもしろいな」と思わせるフックにすることができるのではないかと」。

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「自分が持っているスキルを、誰かを幸せにする体験につなげてほしい」と高子さん

続いてバンダイナムコスタジオNE戦略部の豊田淳さんからは、IP(知的財産)使用についての補足的な説明がありました。名作ゲームのIPを利用できるハッカソンはおそらく今回が初めてのケースと思われます。しかも、「作るのはゲームじゃなくてガジェット」という、さらに特殊なものです。必ずしもキャラクターを使わなければならないということではなく、効果音や背景グラフィック、世界観など、IPを広くとらえて、そこからインスパイヤされるものを作って欲しいと。「作り始めるとここはどうなのか、こういう場合はどうなのか?とさまままな疑問が出ると思いますが、こちらも初めてのケースなので、わかっていない部分が大きい。その場で考えて、その場でルールを作るということになるかもしれません」とも。

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「バンダイナムコのホームページに載せられないようなものはちょっと困るが、のびのびと発想しておもしろいものを作ってほしい」と豊田さん


続いて、今回ハードウェアスケッチに用いるkonashiの説明を講師の松村礼央さんから。「konashiはスマートフォンとネットをつなぐものとして、Bluetooth Low Energy(以下、BLE)に対応したプロトタイピングツールです。スマートフォンというデバイスはもはや日常生活に欠かせないもの、ネットとリアルな世界をつなぐハブとして機能するものとなっています。BLE通信をうまく使うことで、ハードとネットを組み合わせて新しい体験を提供することができます」。

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プレゼンでは自身の音楽ゲームマニアぶりにも触れつつ、新しいサービスの可能性についてわかりやすく解説

このあとは参加者の自己紹介タイムへ。みなさん、自身のスキルや特技、いまハマっているものなどをアピール。

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ヨーヨーの腕を披露する参加者も。想像以上にすばらしい技でした!

 

「誰に、何を?」のアイデアスケッチとハードウェアスケッチ

午後からアイデアスケッチ&ハードウェアスケッチに入ります。

アイデアスケッチは小林茂さんが講師。高子さんの話を受けて、「何か企画やアイデアを思いついてそれを人に伝えようとするとき、話をずっと聞いてくれる人ばかりではありません。一瞬でそれをわかってもらうために、既存の要素の新しい組み合わせで体験を演出することで、自分たちが作ったものを伝えることができる。それを踏まえて、アイデアスケッチに突入していきましょう」と始まりました。

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アイデアスケッチは小林茂さんが講師です

今回のハッカソンイベントの特徴として、前述したようにIPを使ったハッカソンであることともう1つ、審査員がいないハッカソンであること。審査員がいると、その審査のルールに企画を合わせてしまいがちだが、そこを敢えて外すことで自由な発想をしてほしい。アイデアを出していく段階では、正解とか正解とかないものなので、いまの段階ではどんどん考えて、それをシェアしていきましょうとのこと。

アイデアスケッチの方法は、Engadget電子工作部に参加したことのある人にはお馴染みかもしれません。マトリクスシートで「いつ、誰に」対するものなのか考え、そこからアイデア(何を)をスケッチしていきます。

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メンバー間で 「誰に/いつ」の部分(マトリクス)を共有し、アイデアスケッチは個別に進めます。描いたアイデアスケッチをメンバーでシェア。その上で、もう一度アイデアスケッチの時間を取り、アイデアを発展させていきます。このときのポイントは、技術的な部分を考えないことだそうです。技術的にどうすれば実現できるだろうと考えると、たとえば自分が担当するとちょっと大変だなとか、いや無理かもしれないなどと、どこかブレーキがかかってしまいます。アイデアスケッチの段階では何の制限もかけずに発想しましょうということなのでしょう。

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続いてkonashiを使ったハードウェアスケッチでは、スマホ経由でのLEDの点灯、センサーからの入力などを実際に体験します。このハードウェアスケッチの過程を経て、アイデアを実現する、頭の中で思い描いたアイデアを実現するイメージをはっきりしたものにしていきます。

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ハードウェアスケッチの後は中間発表に向け、プロトタイピングに入ります。

day 1のラストでは「中間発表」として、チームごとにアイデアを発表します。十何個と出ているアイデアの中から何を作るかをディスカッションし、そのアイデアを全体に発表するということになります。そのアイデアを伝えるためのプロトタイピングです。ここでは、ダンボールなど簡単に形を作れる素材を使います。もちろん、konashiやセンサーを使ってさくっと動くものを作るのでも、アプリのデモを作るのでもかまいません。発表に必要な要素をチームごとに考えて、作っていきます。

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中間発表では激しいディスカッションも......

中間発表で出たアイデアは次のとおり。

・1班(TEAM 源平道中記)

day 0で座ったテーブルで設置されたタイトルが『源平討魔伝』と『妖怪道中記』だったことから、チーム名を「TEAM 源平道中記」にしたという1班。提案はゲームの要素を備えた空気入れでした。空気入れで空気を入れた回数をスマートフォンで取得して、何かゲーム的な要素と組み合わせるというもの。空気入れで空気を入れたときの音の気持ちよさを活かしたいとのこと。

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・2班

2班は「ワルキューレの睡眠」ということで、『ワルキューレの冒険』の世界観を使ったゲームの提案です。ターゲットは主に「ゲームの世界に入りたいと思っている中二病の人たち」。せめて寝ているときくらいゲームの世界に入れないか、ということから。ヘルスケアの分野で、良質な運動と睡眠の関係に注目したものが出ているので、それをゲームに使えないかと考えました。剣にセンサーを仕込んで「剣を振る」という動作で運動量を出し、さらにワルキューレということで(要素に「宿で寝る」というのがある)、その後の良質な睡眠で経験値が上がってキャラクターと仲良くなれたり、ゲームが進む、というもの。

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・3班

3班はメンバーが8人という大所帯なこともあり、アイデアが絞りきれなかったということで、2案の提案です。

まず1つはマトリクス的には「かわいい女の子を撮りたい人」「電車の中」ということで考えたアイデア。自分の周囲に何か魅力的なもの・こと・人がいるという場合に振ると、SNSの「いいね」のように同じガジェットのユーザーに知らせることができるツール。ゲーム『ワンダーモモ』にインスパイヤされたもの。ワンダーモモは主人公の女の子が変身ヒロインに扮してショーを演じている設定のアクションゲームで、画面下には主人公を応援する観客がいたり、舞台を撮影しようとする「カメラ小僧」が現れるユニークなゲームです。

もう1つは『ドルアーガの塔』の迷路をマップにして、枡でお酒を飲むことで進んでいくことができるというもの。枡をフロアに見立てて、傾ける方角や回数など、『ドルアーガの塔』のように理不尽で分かりにくい条件をクリアしつつ飲み干すとクリアになります。

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・4班

4班はデモから。テーブルに丸い物体(『ディグダグ』のプーカァらしい)が置かれています。会場から誰かブラック企業に勤めている方に体験をお願いしたいとの希望でしたが、体験者には高子さんが出ることになりました(決して、ブラック企業勤務ではないそうです)。高子さんが思いきりプーカァを叩くと効果音が出ます。ストレスを抱えたサラリーマンがすっきりするためのものを考えたそうです。プーカァはネットにつながっており、スマホのタップなどの入力から、みんなで協力してプーカァを割るというもの。

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・5班(チーム717)

5班は寸劇から始まります。ダンボールで作ったワギャンが置いてあります(帰宅した家の中という設定らしいです)。ワギャンに向かって、朝起きる時間や明日のタスクをつぶやきます。翌朝、ワギャンがギャーギャーと起こしてくれます。ワギャンに昨日登録したタスクをつぶやくことで1日が始まる。別シーンもあり、タスクを登録しないとワギャンにギャーギャー怒られます。ワギャンの助けを借りて毎日のtodoを達成することで夢に近づく、夢をかなえるというデバイス。

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それぞれおもしろいアイデアですが、講師の先生方からはもっとこうしたら......という妥協しないコメントが出ます。たとえば、1班の空気入れに対しては「シンプルでいいと思いますが、もう一歩何かほしい感じがします。エンターテインメントの部分で。空気入れのシュコシュコした音が何かノスタルジックな記憶につながるとか、そういう部分が出てくるともっといいものになるかなと思います」というコメントが高子さんから。

4班のプーカァについては、小林さんからさらにもっとブラッシュアップするとおもしろくなるというアドバイスが。「アイデアがまだ統合されていない感じ。みなさんがおもしろいと思う要素がいろいろあると思うんですが、それを全部盛り込むのではなく、それぞれ何がおもしろいと思っているのかを聞いた上で、もう1つ上のレイヤーに持っていくにはどうすればいいかを考えてみては?」と。
また、かわいいプーカァをつぶしてしまう行為に「かわいそう」という声もありました。

3班の自分の周囲に何か魅力的なものがあったときに通知するデバイスサービスについては、松村さんから「けっこうグレーかなと思います。勝手に写真を撮ったりというのは暴力的な行為になる。当の本人は、相手が誰かわからないのに「いいね」されるのには抵抗があるのでは」というシビアな意見も。「ターゲットを幸せにするために他の人を犠牲にしていいというと、それはちょっと違うのかなと思う。世の中の人もドン引きだと思うので。女性と仲良くなりたいという深層心理があってのことだと思うんですが、目的とやっていることが違ってしまうのではないか」(高子さん)という意見も。これは誰を幸せにするものなのか、その人が幸せであるとしてもそのことで誰かが不快な思いをするかもしれない。だとすれば、それはどうなのか?という議論となり、発表者、講師、参加者のみんなが考えさせられました。

同じく3班のドルアーガのマップには「ゲームを知らない人に伝える工夫があるといい。お酒を飲むだけでなく、何かの役に立つということがあれば、ゲームの背景を知らない人にも受け入れられるのでは」とユカイ工学の青木俊介さん。

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中間発表から参加した青木さん

このあと3週間の間、チームそれぞれ、メンバーで連携しながら製作を進めることになります。講師からのコメントは、決して「こうしなさい」という命令ではありません。課題は各チームに持ち帰り、それぞれで「では、自分たちは何を作るのか?」を考え、判断し、プロトタイピングに進んでいくことになります。

さて、どうなるでしょうか? 無事に出来上がるのでしょうか。

day 2:追い込み!......そして最終発表へ

スタッフ側は、この、およそ3週間の間、チームのオンラインでのやり取りを見ているという状態。グループのやり取りを見ていると、それぞれ課題にぶつかっていたり、分担した作業の進捗が見えるところもあるし、何らやり取りが見えず不安を覚えるチームもあったり......。

という状況ですが、最終日8/9、day 2も朝10時から開始しました。夕方16時からの発表まで、もう作り込みの時間です。なんと、前日の夜から集合し、徹夜で製作を続けそのまま直接会場に来たというチームも。​

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私物の3Dプリンタやアイロンなど、必要な機材も持ち込み、黙々と作っています。

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かなり余裕そうなチーム、何かトラブルに行き当たってしまったチーム、予定どおりの進捗だがそこそこ余裕はないというチーム、さまざまです。

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そして、いよいよ最終発表です。発表はもちろん、デモを交えたものに。

・1班(TEAM 源平道中記)

空気を入れて楽しむ、ゲームをして楽しむ、ゲーム結果を見て楽しむという3つの楽しみがある空気入れコントローラ「ShUCOCON」を発表。

どういうことかというと、空気を入れると『ディグダグ』のサウンドを効果音として楽しむことができ、その動きを入力にしてミニゲームが楽しめます。ミニゲームは『パックマン』、『ゼビウス』、『スカイキッド』、『ワギャンランド』の4つ。また、ゲームの結果をサーバに蓄積し、ユーザーの位置情報と結果を見ることもできます。また、ユーザー登録時にIngressのように2陣に分かれて、入力値(空気入れの動作量)で優劣を競う要素も。当初想定していたペルソナよりも、空気を入れるという動作のおもしろさを展開させたそうです。

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(必死に空気を入れてモンスターから逃れるパックマン)

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講師の先生方も完成度の高さに驚く仕上がりです。聞いてみると、チーム内の役割分担がきちんとされていたこと、全体の進行管理、プロジェクトマネジメントがうまくできていたようです。ただ、高子さんからは、シュコシュコの効果音(IPであるサウンド)をもっと大きくして欲しいという要望がありました。ちなみに、チーム内のやり取りが伺えず、様子が不明だったのはこの1班だったのですが、実際、スタッフ側が参加していないFbグループでガンガンにコミュニケーションを取っていたとのこと。なるほど(でも、教えてください......)。

・2班
「ワルキューレの睡眠」、コンセプトは中間発表時と同じ「ゲームの世界に入りたい人」を幸せにするもの。『ワルキューレの冒険』が剣と宿屋の物語であることから、「剣を振る」と「寝る」を要素に取り入れました。剣には加速度センサーが仕込んであり、スマホ上のゲームを操作できます。音ゲーを剣ガジェットで操作するというイメージ。リアルな「睡眠」がゲーム内の体力回復&レベルアップにつながります(睡眠判定までは実装できなかったので、ゲーム内での自己申告)。ゲームにはまって寝れない人もいるので、睡眠はちゃんと取ってねという願いもあるとのこと。残念ながら、ガジェットとUnityの連携部分を実装している段階でタイムアップとなってしまいましたが、それぞれアプリ、ガジェットは出来上がっていました。

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松村さんからは「コンセプトに忠実であることはもちろん重要だが、最初から完璧じゃなくてもいいので、まず動かすものを作ることに注力してほしいと思います」というコメントがありました。アイデアスケッチはアイデアのベースであって厳密にしばられる必要はない。しばられすぎると実際に作る際の難易度が上がってしまうということでしょうか。「モノの体験を何より優先してほしい、やってみたらおもしろかったでいいと思うんです」とのこと。

また、「ワルキューレから、『寝る』と『剣を振る』という要素を取り出したことはすごくおもしろいと思うので、やっていくうちに「あ、これじゃない?」と統合されていくと思います。どういう寝るときなのかを分解してみるだけでもおもしろいのでは?」と小林さん。

高子さんからは「こうしたガジェット企画を考えるとき剣は定番ネタなので、わかりやすくキャッチーな見せ方を工夫するとよい」というコメントがありました。


・3班(aグループ)

このグループからは『ドルアーガの塔』の迷路を使った作品が2つ。1つは光枡にインスパイヤを受けたアイデア。特定の向きで枡を傾けるとゲームを進めることができるものです。クリアした面数をネットで表示します。もう1つはドルアーガすごろく。サイコロからはドルアーガのテーマ曲が流れます(現状は製作者の鼻歌)。駒はドット絵をリアルに再現しています。ドルアーガすごろくはバンダイナムコのリアルイベントなどでぜひ活用してほしいとのこと。

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「枡の難しさが伝わりにくかったものの、うまくゲームにつなげられればおもしろくなりそう」と松村さん。「コップやサイコロなど、普段出てこないものが出てくるのがおもしろい」というコメントも。確かに、すごろくは今の子どもたち(大人にも?)には新しいかもしれません。


・3班(bグループ)

このグループは、「勝手にいいねをする」というアイデアをもう一度考えてみて、かかわる人を幸せにする、誰かを応援するということにフォーカスした「netCheer!」を作りました。イベント、ライブなどで応援してもらいたい人に登録してもらい、応援したい人がイベントに参加し、ガジェットを振ることで応援ポイントが上がる、蓄積していく仕組み。

振り方のパターンによってポイントが入るとか、オタ芸のように複数人でシンクロするとポイントが大きい、などの要素もあり。これを使って、自宅でもライブビューイングのように、イベントに実際に行けなくても遠隔で擬似的なライブ体験を得ることもできます。イベント開催者側にとっては、加算されたポイントはサーバに蓄積されるので、イベントを振り返って集客や盛り上がったシーンを数値でとらえることも可能です。

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「前回の議論があって辿り着いた形なのかなと思うのですが、オタ芸でシンクロしてポイントとか、意外性がないかなという気がします。たとえば振りやモーションの正解が見えないんだけど、みんなで「次はどうする、よしこれだ!」みたいに、コミュニケーションツールのようになると意外なおもしろさが出ると思います。一口にIPを活用するといっても、あの時代だからああいうゲームになったけどあの世界観をいまに持ってくると違うかもしれないという気もしますし、もっといろいろ考えてみるとおもしろいと思います」と小林先生。

高子さんは、いまグラフ表示になっているシンクロ率の表示を、もっとシンクロ感を具体的に感じられるように見せてくれればモチベーションのアップにつながるのではないかと。また、バンダイナムコスタジオの堤康一郎さんからは夢を応援するというのはアリですねというコメントがありました。

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堤さん

・4班

「BURST THE BLACK POOKA」(仮)は、中間発表にあった、かわいらしいプーカァをつぶすのかという声を解消するために、これまでつぶされたプーカァの怨念が巨大な「BLACK POOKA」を生み出した!みんなで力を合わせてやっつけようというストーリーにしてきました。入力はハンドクリップコントローラーと踏み台昇降コントローラーです。

さらに各地のプレーヤーが遊んだ結果はTwitterに自動投稿され、結果によって遠隔地に設置された巨大なブラックプーカァに空気が送られることで、皆で協力して破裂させる要素もあります。

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いまにも割れそうなブラックプーカァ!

「全体的な流れがいいなと思いつつ、細かいところで、モチベーションを上げる工夫がもうちょっとあってもいいのかなと思います。風船が割れるというのはおもしろいんですが。ハンドクリップコントローラーも、もっとうまく動きを連動させたり(今はハンドグリップのV字型がそのままパックマンの開口部となっていて、口から手を入れる形なので)、平面じゃなく立体のパックマンにするなど、もう少しあるといいと思います」と高子さん。

小林さんからも「単純に風船をふくらませて割れるというだけでは、気がついたら誰かが割っていたとなりかねない。途中で一定期間内に集中して送らないと回復してしまったり、最終的に破裂させるには協力が必要など、条件の積み重ねを入れると、参加する側の一体感がもっと出るのではないか」と。


・5班(チーム717)

中間発表から大きな変更はなく、ワギャンガジェットです。機能は「癒やし」と「todoメモ」。癒やしは、この立体化されたワギャンのかわいらしさです。人が近くを通ると反応したり(近接センサー)、todo登録すると口を開けて返事をしてくれます。現状まだアプリ連携はできていませんが、音声でワギャンにtodoを伝えるとスマートフォンに登録してくれます。将来的には夢を共有するSNSプラットフォームを目指すそう。

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「もうワギャンかわいい、につきます。SNS的に人とつなげるというより、ワギャンとつながるほうを広げてほしい。むしろ人とつながるよりワギャンに癒やされたい」と松村さん(もともと『ワギャンランド』のファンだそうです)。

一度、持ち帰って家に置いて、実際に使ってみてほしいというのは小林さん。「人が近くを通るといっても、どこにワギャンがいれば、またどのタイミングで反応するとうれしいのか。今日はまだデモだと思いますが、可能性があるデバイスだと思うので、まだまだ詰めていってほしい」とのこと。

「ものを作るのはたいへんだなと思うのと、実物があって話しているという体験ってすごいと思います。まだまだ改良して、作り上げてほしいです」と高子さん。

青木さんからは、「ネットのサービスをリアルなデバイスと結びつけるのはちょっと工夫がいります」とコメントがありました。

そして小林さんから、「今回のカタログIPを使っていますが、法律上の仕組みが準備されてはいるものの、当時のクリエイターが心血を注いで作り上げたものなわけですが、将来的にこういう使い方をすると想定したものではなかったと思うので、それを使って新しいものを作るというのは大変だったと思います。みなさん、おつかれさまでした」という総括コメントがありました。

無事に全チームが発表を終え、最後は懇親会です。

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みなさん、すごい笑顔です

せっかくなので、それぞれの作品は前に集め、体験できるような形にしていました。けっこうな勢いで、みなさん楽しんでいます。

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それぞれが新しいエンターテインメント体験を生み出すガジェットとして考え、製作したものを、互いに体験する、とにかく楽しむというゴールに行く着くことができたイベントだったのではないでしょうか。

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踏み台昇降コントローラーを体験する編集長

© BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

大内孝子(おおうち・たかこ):フリーライター/エディター。主に技術系の書籍を中心に企画・編集に携わる。2013年よりフリーランスで活動をはじめる。IT関連の技術・トピックから、デバイス、ツールキット、デジタルファブまで幅広く執筆活動を行う。makezine.jpにてハードウェアスタートアップ関連のインタビューを、livedoorニュースにてニュースコラムを好評連載中。著書に『ハッカソンの作り方』(BNN新社)がある。  

 
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