いよいよ発売となったマイクロソフトのWindows 8.1 Update搭載タブレット、Surface Pro 3。5月20日に米国で初公開されたときから注目度は高く、Engadgetでも米国での発表記事日本での発表記事フォトレポートおよび担当者インタビュー、そして7月14日に開催された日本版体験会記事の反響も高いものとなっています。

さらに先日の Engadget Fes 2014 マイクロソフトブースでは、試用機は5分間制限にもかかわらずほぼ1時間待ちと大変な人気でした。


日本マイクロソフトが7月2日に開催した経営方針説明会でも、一般向けの予約開始から一日でSurface Pro 2 の25倍もの台数が予約されたことが明らかになるなど、店頭レベルでも注目が集まっていることがうかがえます。



価格はOffice Home and Business 2013付属で、代表的構成となるCore i5/SSD 128GB/メインメモリ4GBという構成が11万1800円(税抜)、8月発売予定のCore i3モデルで9万1800円から(同)。さらに専用キーボードであるSurface Pro 3用タイプ カバーは1万2980円(同)です。

さて、Surface Pro 3がここまで注目を集める理由はなんでしょうか? 結論をまとめると、より薄く、より軽く進化したデザインの中に、ノートPCとしての性能を備えたタブレットだからです。補足するならば、Windows 8のフル機能が動作するタブレットとしては高性能でありながら軽くて薄く、さらにディスプレイは鮮明かつ高解像度に。そしてキックスタンドの改良などで、従来機よりさまざまな局面で使いやすくなったから、と言えるでしょう。

ノートPC並の性能を保ちつつ薄く・軽く



そこを確認するために、Surface Pro 3の特徴を改めて見ていきましょう。やはり注目点は薄さと軽さです。前モデルにあたるSurface Pro 2はWindows 8タブレットとしては比較的高性能なインテルのCore iシリーズを搭載していたために、処理速度などはウルトラブック並でしたが、その分厚さは13.5mm、重量も約908gと、タブレットとしてはヘビー級でした。

対してPro 3では、CPUなど基本となるパーツはPro 2より性能を向上させつつ、厚さは9.1mmと4.4mmも薄くなり、重量も800gと100g以上の軽量化を果たしました。Windows RTが動作するSurface 2の厚さ8.9mm・重量676gに比べても、重量は120gほど増加しますが、厚みはほぼ同等となっています。

特長的な、縦横比3:2の12インチディスプレイ



次に注目すべきは液晶ディスプレイでしょう。というのも、Surface Pro 2に比べて解像度や色の表現力が上がっただけでなく、Windows機では他にない、縦横比率3:2(横長状態にした場合)というユニークな特徴があるからです。

従来機であるSurface Pro 2と比べた場合のメリットは、表示解像度が2160×1440ドットに向上した点です。従来機はフルHD(つまり1920×1080ドット)でしたから、ピクセル数でいえば1.5倍に高精細化しました。実際の画面を見比べると、12インチという物理的なサイズと相まって、Pro 2 より一回り大きく感じます。



先述した縦横比3:2という比率もポイント。これは縦長(いわゆるポートレート)状態で持った際、手書きメモなどで使いやすい、レポート用紙などと近い比率です。さらにポートレート状態では、Pro 2の16:9画面に比べて横幅に余裕が出て、ソフトウェアキーボードの面積が大きく、つまり入力しやすくなります。

加えて横長でノートPCとして使っても縦方向が長く、ウェブやWordなど縦長書類を使うアプリではスクロールの回数が減るため、作業効率が上がるというメリットもあります。この解像度の高さは、もちろんExcelなど、他のOfficeでも使い勝手と効率に効いてきます。

さらに、出荷時の色校正(カラーキャリブレーション)が実施されているため、フォトレタッチやRAW写真の現像といった色の正確さが要求される用途でも安心して使える点も見逃せません。

従来機に比べて色域(表示可能な色の範囲)も拡大したため、どぎついほどに鮮明な赤や紫といった、PCの液晶では難しい色も表示できるようになりました。この点でも、デジカメ写真と相性が良いモデルと呼べそうです。

 

多段階調整可能になったマルチポジションキックスタンド



Surfaceシリーズの特徴といえば、本体に内蔵された設置用スタンドであるキックスタンド。ユーザーの間からは、機能自体の評価は高くはあるものの、初代Proでは固定、Pro 2でも2段階だった設置角度に関しては、使い勝手の向上が要求されていたところです。



Pro 3ではそうした意見に応えるべく、多段階調整可能なマルチポジションキックスタンドとなりました。とくに一番倒した状態では150度まで開きます。これはテーブルに置くと、タッチ操作やペン入力の際に適した浅さです。



さらに専用オプションであるタイプカバーも、ヒンジ部付近とSurface Pro 3の底部を磁石で固定できる機能が追加。デスクトップ用のキーボードでスタンドを使った状態に近い、入力がしやすい角度を付けられます(写真上側がヒンジ部を固定した状態、下側が外した状態です)。

さらにタイプカバーのタッチパッドは従来製品に比べて60%大きくなり、ボタンのクリック感も加わりました。これらの改良により、マウスカーソルの移動やクリック操作などの使い勝手も大きく上がっています。

このキックスタンドとタイプカバーの角度調整により、従来機では苦手としていたヒザのうえに置いた状態でも扱いやすくなりました。マイクロソフトは、この膝上に置いた状態での操作性向上を「ラッパビリティ」(Lapability)という新語を造ってアピールしているほどです。

 

省電力モードInstantGoにも対応


バッテリー駆動時間が延長されたのもポイント。Pro 2ではマイクロソフトは公称値を出していませんでしたが、Pro 3は公称9時間となっており、実使用時ではPro 2に比べて同等か、さらに延長されています。

そして隠れたポイントが、Windows 8から採用された新省電力モードInstantGoに対応した点。公式ページにも解説がありますが、InstantGoは従来のスリープに代わる状態。対応アプリであれば省電力状態でも一定時間ごとにWi-Fiによる通信を継続します。さらにWi-Fi接続を有効にしたままとなるため、復帰が速いという特徴があります。

実使用時は復帰の速さを活かし、こまめにInstantGo状態にする設定とすることで、効率的に実質的な使用時間を延ばせます。

 

握り心地や書き味までこだわったSurfaceペン



ここまでも特徴だらけですが、さらにSurface Pro 3ではペン入力にも力が入っています。付属のSurfaceペンは、しっかりした強度と金属の触感が感じられるアルミニウム製ボディ。重量や形状も高級万年筆やボールペンに近づけ、書き心地にも配慮しています。

またペン入力には、N-Trigの技術を採用。Pro 2で採用されていたワコム製に比べて、ハードウェア仕様上の筆圧検知こそ1024段階から256段階になりましたが、Surface Pro 3では液晶表面とペン先の視差が小さく、思った箇所にポイントしやすくなるなどのメリットがあります。

またPro 3では、パームブロックと呼ばれる機能も導入されました。これは一般的にはパームリジェクションと呼ばれるものですが、「ペン入力中に画面に手の側面や手のひらが触れてもタッチ入力として検出されることを防ぐ」機能。タッチパネルとペンを併用できる機種で誤入力を防ぐために非常に重要です。Surface Pro 3では、キックスタンドを広げたキャンバスモードで使用するときに特に威力を発揮します。




そしてユニークなのが、プリインストールされたOneNoteとの連動。ペン尻側のボタンをクリックするだけでOneNoteが起動します。さらにスリープ (InstantGo)状態からでもペン尻ボタンをダブルクリックすると新規ページが表示されるなど、どのような状態からでも思いついたら即座にメモを取れる工夫がされています。

 

タブレットとしても、ノートPCとしても使いやすい欲張りなモデル    

このようにSurface Pro 3は、従来機に比べて大幅に薄型・軽量化しながらも、タブレットとして見てもノートPCとして見ても大幅に使い勝手と性能を強化した、いわば非常に欲張りなモデル。「これさえあれば、何もいらない」というPro 3のキャッチはこの欲張りさを体現したものですが、人気の秘密は、こうした欲張りさがいい意味でユーザーに響いたからと言えるでしょう。

さらに本体デザインでも、ユーザーから評価の高かった従来機を継承。いい意味で類似モデルがありそうでないだけでなく、一目でSurfaceだとわかるアイデンティティを備えています。

そして、Surface Pro 3は、今後注目されそうな12インチ以上の大画面タブレットの使いやすさを先取りする、という意味でも注目の存在です。こうした大画面タブレットは今後他メーカーからも登場が予測されていますが、Surface Pro 3を使うことで、実際の使い勝手を知ることができるわけです。

 

人気イラストレーターが語るSurface Pro 3の魅力



さて、Engadget Fes 2014では、ゲーム「エルシャダイ」のディレクター兼キャラクターデザイナーである竹安佐和記さんによる、Surface Pro 3を使ったライブドローイングが開催されました。

竹安さんは「各種のガジェットを買っていなければ、車の1台ぐらいは買えたぐらい」というほどのガジェット好きで、Surface Pro 3の試用も非常に細かいところまでチェックしています。その上でイベントでは、「イラスト用に使ってみても非常に楽しいデバイス」「薄さと軽さ、そして高解像度の画面が魅力」と評価しています。

今回はそんな竹安さんに改めて、イラスト作成機として、またガジェットとしてのSurface Pro 3の魅力をお聞きしました。

パームブロック(パームリジェクション)の動作は優秀



Engadget:Engadget Fesでのイベントでは、とくにパームブロックが印象的と紹介していました。

竹安(以下、敬称略):はい。パームブロック機能は過去に触ったタブレットで一番優秀だと感じました。私が最近購入したタブレットとしては、ソニーのVAIO Tap 11とワコムのCintiq Companionがありますが、パームブロックに関してはこれらと比べても優秀です。

操作感としては、おそらくですが他のタブレットよりもペンの認識精度が優秀な点が大きい。他の機種では手より先にペンが画面に触れてから動作するのが一般的ですが、Surface Pro 3では、手が画面に付く前にも手に握ったペンを認識している動作だと思います。

 

筆圧検知はソフト面も重要。数字だけで見るのはナンセンス



Engadget:イラストレーターの方などからは、Pro 3では筆圧検知がPro 2の1024段階から256段階に下がった点、そしてペンがワコム製からN-Trig製に変更した点が気になる、という声があります。このあたりは使ってみていかがでした?

竹安:筆圧感知は絵描きとしては重要かと思いますが、これはハードウェアより、むしろアプリの対応で使用感が変わるという点が大きいと思います。Surface Pro 3の場合、本体に付属するOneNoteは快適でした。

おそらくこのあたりは、ドライバーやソフトなどのチューニングによるところが大きく、ドライバーとアプリの開発メーカーの努力を望みたいところです。いずれにせよ、ソフトウェア面が大きいため、筆圧感知精度のスペックだけで評価するのはナンセンスだと思います。

Engadget:そのほかで気になった点はいかがでしょうか。

竹安:イラストで良い線を描くには、ペンの動きに対して延滞のないこと、つまりペンの動きに画面が追随することが重要です。Surface Pro 3の場合、画面の解像度が高いこともあり、イラスト用途であればCPUには高速なCore i7が必須だと思います。先ほど述べたVAIO Tap 11はCore i5モデルだったのですが、ことイラストを描く場合は延滞が多く、使い物になりませんでした。

最初からイラストを描くことを前提としたワコムのCintiq Companionでは、Core i7モデルしか用意していません。ドライバをはじめとするソフト面でも優秀で、非常に線が滑らかです。デカくて重いのが欠点ですが、やはりタブレットを熟知したメーカーの製品だと感じます。



Engadget:店頭などでユーザーが触れる際、入力の精度を判別するコツはありますか?

竹安:Surface Pro 3の場合、線の正確さを計るには直線をゆっくりと引くと良いと思います。わずかですが想定していないブレが出てきます。

文字などを書く場合は、紙に同じ文字を書いて比較すると分かりやすいと思います。タブレットの文字は紙に比べてサイズを大きく書かないと線が汚くなるはずなので、どれぐらい大きくすれば滑らかになるのかが一つの目安となります。

 

本体ごと回転できる軽さは大きな魅力




Engadget:Engadget Fesでのイベントでは、大きさに関しては、「画面の解像度が高いため、非常に使いやすいのだが、イラストを描く場合、本当はもう少し画面が大きな方がいい」と紹介しておられました。軽さ(重さ)や大きさに関しては、どのような感想を持たれましたか。

竹安:画面サイズ以外は理想です。というのも、正直絵描きの道具としては解像度は4Kで、大きさは15インチは欲しいところだからです。このサイズですと実寸でA4以上になり、相当紙に近くなると思うためです。

とくにいいと思ったのは軽いことです。イラストを描いていると画面上でキャンバスを回転させることがありますが、Surface Pro 3ぐらいの軽さなら、本体ごとクルクルと画面を回して絵が描ける。つまりソフトでの回転機能がいらなくなるので、その分効率が上がると思っています。

 

「ガジェットとしては100点を付けていいと思います」




Engadget:最後に、Surface Pro 3を使ってみての感想を「ガジェットとして」「作画の道具として」という2つの側面からいただければと幸いです。

竹安:ガジェットとしては、最強だと思います。何よりも「これぞWindows 8機のお手本」と呼べるPCだと思いました。

タブレットでありながらフルPCの機能で、とくにキーボードを叩いた時には、本当にこれからのベーシックになるぞ、というくらいの打ちやすさを感じました。しっかりとヒンジをくっつけてキーボードが斜めになった状態で触ると、普通のノートPC以上に入力しやすいと感じました。

また作画の道具としてですが、正直なところ足りない部分はあります。筆圧検知回りに関しては既に言ったように、ドライバーやソフトの対応で解決されると思いますので、今後のアップデートを望みたいところです。

後はやはり画面サイズの拡大を望みたいですね。今は先述したワコムのCintiq Companionを使っているのですが、これが13.3インチということもあり、もう一声欲しいところです。

ただし、これは作画の道具としてみた場合です。絵を描かない人にとっては、正直100点を付けていいモデルだと思いました。

――ありがとうございました!

 

竹安さんのエルシャダイ×Surface Pro 3コラボ漫画と壁紙をプレゼント


竹安さんがデザインを担当したゲーム「エルシャダイ」をモチーフにした漫画と、2160×1440ドット(つまりSurface Pro 3用です)の特製壁紙をプレゼントします。
 

エルシャダイ壁紙(グレー) 2160x1440
エルシャダイ壁紙(ブルー) 2160x1440
エルシャダイ壁紙(パープル) 2160x1440
エルシャダイ壁紙(ピンク) 2160x1440
エルシャダイ壁紙(サーモン) 2160x1440
エルシャダイ壁紙(イエロー) 2160x1440
エルシャダイx Surface Pro 3コラボ漫画

(Web漫画『El Shaddai ceta』はこちら)
 

Surface Pro 3関連記事 

速報:マイクロソフト Surface Pro 3 発表。12インチ2160x1440画面、Core i7で800g
https://japanese.engadget.com/2014/05/20/surface-3/

マイクロソフト Surface Pro 3 と現行Surface Pro 2比較、変更点まとめ
https://japanese.engadget.com/2014/05/20/surface-pro-3-surface-pro-2/

速報:Surface Pro 3 日本版発表。樋口社長「やばい、すごいデバイス」、7月17日発売、9万1800円〜
https://japanese.engadget.com/2014/06/02/surface-14/

写真でSurface Pro 3:手にして軽い800gは電源アダプタも軽量。個人向け製品構成と価格
https://japanese.engadget.com/2014/06/02/surface-pro-3-800g/

Surface Pro 3インタビュー:MS担当者「ラップトップを置き換える美しいタブレット」をアピール
https://japanese.engadget.com/2014/06/02/surface-pro-3-ms/

そんなSurfaceで大丈夫か? あの「エルシャダイ」がEngadget Fesでコラボ
https://japanese.engadget.com/2014/06/26/surface-engadget-fes-egfes/

Engadget Fes:Surface Pro 3で竹安佐和記さんがエルシャダイ キャラを早描き。「非常に楽しいデバイス」
https://japanese.engadget.com/2014/07/02/engadget-fes-surface-pro-3-e/

Surface Pro 3の操作感を動画で紹介。国内予約状況はi7が4割、問われる法人向け価格競争力
https://japanese.engadget.com/2014/07/14/surface-pro-3-i7-4/

 

749シェア
0
659
0
90
749シェア
0
659
0
90