楽天モバイル、「楽天サービスを使えば実質通信料タダ」な仕組みを導入へ。三木谷氏明かす

ユーザー700万人が分岐点

石井徹(TORU ISHII)
石井徹(TORU ISHII), @ishiit_aroka
2020年05月13日, 午後 06:10 in rakuten
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楽天は5月13日、決算会見にて楽天モバイルの展望を説明しました。その中で楽天モバイルの中で、「他の楽天サービスを利用してもらえる仕組み」の導入を検討していることを明らかにしました。

楽天モバイルでは4月から自社の携帯電話サービス(MNO)を開始しています。ただし当初の1年分は「無料キャンペーン」となっており、通信料金相当の割引をつけて、実質無料になるという内容です。

今回、この無料期間が終わる“1年後”に向けた戦略の一端が明らかにされました。楽天の三木谷社長は「楽天モバイルのユーザーが、楽天の他のサービスを実際使っていただけるような仕組みを検討している。この仕組みによって、無料期間が終わった後も、実質的にタダでモバイルを使って頂けるという状況が作り出せる」と決算会見にて言及しています。

“楽天サービスを使うことで、楽天モバイルの通信料が実質的に無料になる仕組み”という説明から、いわゆるリワード型のポイントプログラムの導入を検討しているものと推測できます。

他にも13日の決算会見の中では、楽天モバイルに関する示唆的な発言がありました。

■無料プラン「300万人枠」は年内目標

楽天の当初プラン「Rakuten UN-LIMIT」は、サービス開始当初に加入した300万人が“実質無料”となる内容ですが、この300万人という数字について、三木谷氏は「2020年末までの目標ユーザー数」であることを明らかにしました。

ユーザー数の増加については具体的な数字は公表されていないものの、当初の想定通りに収まっているとしています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により楽天モバイル店舗の時短営業などが続いていますが、オンライン申し込みの比率が増えており、80%超がオンラインでの申込となったとしています。

■21年3月末に「エリアカバー率70%」目指す

楽天は携帯電話サービスの基本的な機能を汎用的なサーバーで動作させる「完全仮想化」を強みとしており、大量にデータ通信できるユーザーが多くても安価な料金でサービスを提供できるしやすいとしています。この仕組みはユーザーが拡大にともなって、より低コスト化しやすいという側面があります。

携帯電話サービスでは、エリアの充実度が重要です。楽天では現時点では東京23区内や大阪市、神戸市など一部の都市圏を中心にエリアを広げている状況です。楽天がつながらない場所ではauのローミング通信が使えますが、ローミングエリアで利用されると、楽天からauに通信料の支払いが発生します。

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3月末までの基地局数は、当初想定の3432局を上回り、4738局を展開。設置契約を獲得した数もあわせると9000局を超えるとしています。なお、他キャリアではたとえばソフトバンクでは全国に23万局を展開しています。楽天モバイルが他社と同等の「どこでも繋がる」状況を期待するためには、文字通りケタ違いの基地局建設が必要となるでしょう。

■楽天モバイルで利益が出るのはユーザー700万人から

つまり、楽天は自社エリアを広げつつ、ユーザーを増やしていくことで(キャンペーンの割引を除外しすれば)楽天モバイルは利益を上げることができるという構造です。13日の決算会見では、その収益獲得の分岐点を「ユーザー700万人」と想定していることが三木谷氏より明らかにされました。

楽天モバイルによると、エリア展開が十分ではない現時点(2020年5月)では、大規模なユーザー獲得のためのテレビCMなどの発信は控えているとのこと。サービス開始当初(4月時点)は、ネットワークが安定して稼動することの確認を優先し、契約設備などの増強を行った上で行う方針です。

現状では、楽天モバイルがすべてのユーザーの基本料金を負担するような格好になるため、多額の赤字が発生します。2020年Q1(1〜3月期)ではモバイル部門は38.5億円の赤字となっていますが、これはコアネットワークの先行投資の支払いが多くを占めており、サービス拡大時の出費としては想定通りとしています。

■携帯キャリアのクラウド化を海外展開

楽天では、携帯電話キャリア事業を“プラットフォームビジネス”として海外展開するとも表明しています。これは、仮想化された基地局設備(というソフトウェアサービス)を海外のキャリアに販売し、収益を得るという仕組みです。三木谷氏は「日本の携帯事業者が初めてプラットフォーマーになる可能性がでてきた。AmazonのAWSと同じような存在を目指す」と自身を示します。

13日の会見では、海外展開の加速のために必要な企業の買収を進めていくことを表明。その一環として、携帯電話事業者向けのネットワーク自動化システムを展開する米Innoeye(イノアイ)社を買収したことが明らかにされました。

楽天ではサービスの外販を進めていくために、ここのネットワークの機能をパッケージにまとめる「コンテナ化」を進めています。楽天モバイルでネットワーク部門を管理するタレック・アミン氏は「今後45日以内(6月末ごろまで)に大きな発表ができるだろう」と言及しています。

 
 

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