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楽天モバイルがeKYC(electronic Know Your Customer)に対応した。

eKYCとは電子本人確認を意味し、楽天モバイルの場合、オンラインで新規契約する際、運転免許証の券面と顔を撮影するだけで本人確認を完了することができるという(実際は、あとで人がチェックする模様)。

先日、家族のiPhone 11で楽天モバイルの回線を使わせようと、オンラインで申し込み、eSIM発行しようとしたところ、本人確認が必要ということで、佐川急便で封書が届いた。封書にはチラシしか入っておらず、佐川急便のスタッフが手渡してくれるときに、免許証やパスポートを提示して本人確認を実施。封書が本人に渡ったところで、ようやくeSIMがダウンロードできるようになった。

楽天モバイルではeKYCの導入により、これまで2日から1週間程度かかっていた新規契約手続きを、即時に終わらせる考えだ。これにより、「深夜でも興味があったら、すぐに楽天モバイルに乗り駆られる」という環境を目指すことだろう。

自分でも楽天モバイルをeSIMで契約した時に「すぐに使い始められないのか」という点に不満を感じていたし、ここが解消されるというのは、これから契約する人にとっては大きなメリットになりそうだ。

とはいえ「楽天モバイルはeKYCだから契約しよう」という人は皆無だろう。この取り組みは、ユーザーの負担を軽くするものであり、あくまで「月額2980円で使い放題」「1年間無料」をいかに世間にアピールしていくかが重要となる。

今後、楽天モバイルがターゲットにすべきは「3キャリアでiPhone XR以降を使っているユーザー」なのは間違いない。

iPhone XR以降のiPhoneであれば、eSIMとSIMカードのデュアルSIMで利用可能だ。

うちの家族のiPhone 11は、NTTドコモのSIMカードと楽天モバイルのeSIMという組み合わせで利用している。コロナ禍で完全リモートワークとなり、移動範囲が自宅周辺だけとなった。カフェでテザリングを使って仕事をすることもあり、楽天モバイルの使い放題はありがたい。

都内なので、なんとか楽天モバイルのエリア内と言うことで、「仕事先からの電話はNTTドコモ回線で受けつつ、データは楽天モバイルの使い放題。NTTドコモのギガライトは1GB以下しか消費しない」という生活を続けている。

楽天モバイルでは「ゼロ宣言」として、新規契約料を無料とした。また、iPhoneをそのまま持って新規契約してくれたユーザーに対しては8000ポイントを還元するキャンペーンも展開している。

楽天モバイルは、いかに「3キャリアを使いつつ、楽天モバイルに興味のあるiPhoneユーザー」を取り込むかが重要だ。 

本来であれば、楽天モバイルだけがeSIMに注力していれば、楽天モバイルにとっての大きな武器となったはずだ。しかし、10月27日に総務省から発表された「アクション・プラン」によって、日本のモバイル業界全体がeSIMの導入を推していく方向性となった。

すでにKDDIはeSIM専業のMVNOを立ち上げ、来春にもサービスを開始すると発表済みだ。もちろん、NTTドコモやソフトバンク、MVNOとしてはIIJもeSIMに本腰を入れてくるだろう。

eSIMにはユーザー流出リスクも

eSIMのメリットは「簡単に乗り換えられる」という点に尽きる。

楽天モバイルのユーザーがネットワーク品質に不満を感じてしまえば、eSIMを使って簡単に他社に乗り換えてしまうことも可能になる。

楽天モバイルはゼロ宣言で、他社に先駆けてMNPの転出手数料も無料にしてしまった。もはやユーザーを縛るものは何もなく、簡単に他社に乗り換えることができてしまう。

 3キャリアのユーザーはブランドに愛着があったり、ネットワーク品質に満足していたりと、なかなか辞めない傾向が強いが、サービスを始めたばかりの楽天モバイルに対して、そこまで思い入れのあるユーザーは決して多くはないだろう。

総務省のアクション・プランによって乗り換えやすくなる環境が整備されていく中で、楽天モバイルを契約しやすくなる一方で解約して他社に移転しやすい状況にもなる。

 楽天モバイルの経営課題は1年間の無料サービスが終了した後の流出リスクをどう抑え込むかにかかっている。一度、eSIMで契約してくれたユーザーに逃げられないようにするためにさらなるネットワーク品質の向上が求められている。