Xiaomi Junya Ishino

シャオミとKDDIは、日本市場向けに専用カスタマイズを加えた「Redmi Note 10 JE」を発表しました。auとUQ mobile両ブランドで販売する予定で、8月13日にauから発売されます。UQ mobileでの発売日は正式にはアナウンスされていませんが、目途としては9月ごろになるとのこと。エントリーモデル向けの端末として、auでは2万8765円と比較的買いやすい価格が設定されています。

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▲シャオミが日本市場専用モデルとして開発したRedmi Note 10 JE

Redmi Note 10 JE、シャオミとKDDIが半ば共同開発のような形で日本市場向けにカスタマイズした端末です。「Redmi Note 10 5G」というベースモデルはありますが、FeliCaや防水・防塵を加えたことで設計が大きく変わっているほか、チップセットもこのモデルにのみ「Snapdragon 480 5G」が採用されています。シャオミの東アジア担当ディレクター、スティーブン・ワン氏によると、こうした仕様はKDDI側からの知見に基づいて採用を決めていったといいます。

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▲ベースモデルにはないおサイフケータイや防水・防塵に対応

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▲Snapdragon 480 5Gも、同モデルのために特別に選定されたという

KDDIがエントリーモデルを必要としていたのは、5Gの契約者数を拡大する狙いがあるからです。同社は、20年秋以降、取り扱う全スマホを5G化していました。エントリーモデルも例外ではなく、21年になってからも、OPPOの「OPPO A54 5G」やサムスン電子の「Galaxy A32 5G」といったモデルを販売。元々はハイエンド中心だった5Gスマホを、徐々に下のレンジへと広げてきました。電気通信事業法改正以降、ハイエンドモデルの売れ行きが伸び悩む中、ミドルレンジ以下のモデルを取りそろえることは必要不可欠だからです。

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▲全機種5G対応を掲げ、エントリーモデルにまでラインナップを広げているKDDI

一方で、スペックを見ると、エントリーモデルはその価格ゆえに一長一短があります。上記の例で言えば、Redmi Note 10 JEと同価格のOPPO A54 5Gはおサイフケータイや防水・防塵といった日本仕様には非対応。Galaxy A32 5Gは、日本市場で長く端末を出し続けているサムスンなだけに、おサイフケータイと防水は完備していますがディスプレイの解像度がHD+と低く、価格が3万1190円とエントリーモデルの中ではやや高めです。

対するRedmi Note 10 JEは価格がこれら2モデルより安く、日本仕様も満たしたうえで、ディスプレイもフルHD+とミドルレンジ並み。広角カメラ非搭載などの欠点はありますが、エントリーモデルの選択肢の幅を広げる1台と言えるでしょう。

5Gに移行したユーザーは、トラフィックを多く発生させる傾向にあります。KDDIの代表取締役社長、高橋誠氏は、第1四半期の決算説明会で「5Gを使っていただいているお客様と4Gのお客様を比較すると、倍以上のトラフィックがある」と語っています。これは、通信速度が速ければ、アプリ側で動画を高画質に切り替えたり、同じ時間でブラウジングできるページ数が増えたりするためでしょう。スピードテストですらデータ使用量が多くなるため、トラフィックが増加するのはある意味必然と言えます。

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▲5Gを推進することで収益性がアップする。これはデータ利用量が大きく増えるためだ

KDDIにとって、トラフィックの増加は収益源になります。データ容量の制限を気にしたくないユーザーは無制限のプランを契約するでしょうし、UQ mobileのように容量別の料金体系になっていれば、上位のプランにアップグレードする可能性が高くなります。これだけで料金値下げでの減収をすべて補えるわけではありませんが、その影響を抑えるためには、5G契約するユーザーを増やす必要があるというわけです。

同時に、5G対応のエントリーモデルは、新規のユーザーを獲得するための武器になりえます。シャオミの報道陣向け発表会にゲストとして参加したKDDIのパーソナル事業本部 パーソナル企画統括本部 プロダクト企画部長の木下祐介氏によると、20年9月に投入した「Mi 10 Lite 5G」は「極めて多くの“新規”のお客様にお買い求めいただいた」といいます。結果は「ダントツだった」(同)といい、いち早くシャオミの端末をラインナップに取り込めたことが奏功した格好です。

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▲Mi 10 Lite 5Gは、auの5G開始時に“目玉”として発表され、9月に販売を開始した

ただし、Mi 10 Lite 5Gは、早期投入を目指していたこともあり、おサイフケータイや防水・防塵といった日本仕様には非対応でした。両機能は、「どのようなアンケートを取っても必要だという結果になる」(同)ほどニーズが高く、裏を返せばMi 10 Lite 5Gの不満点になっていたことが伺えます。Redmi Note 10 JEは、こうしたニーズをシャオミにフィードバックしながら、初期の段階からシャオミとともに企画、開発していったといいます。

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▲おサイフケータイや防水・防塵の必要性をシャオミに訴えていき、Japan Editionが実現した

2万8765円だと、端末購入補助を限界まで積めば、1万円を下回る価格設定も可能。新規契約のユーザーが初期費用を抑えられるのは、ユーザーとKDDI、双方にとってメリットと言えます。特にKDDIは、3Gの停波を22年3月末に控えているため、“巻き取り”を加速させる必要があります。通信方式を変えてもらうためには、端末の買い替えが必須。とは言え、あまりに高い端末を配るのは現実的ではありません。

価格の安いエントリーモデルを拡充することは、そんな場面でも役に立ちそうです。木下氏が、「3Gのお客様も4Gのお客様も、5Gに切り替える際にこの端末をご活用いただければ」と語っていたように、ある程度巻き取りは意識していることが伺えます。コストパフォーマンスの高さを売りにするシャオミにとって、こうした状況はある意味大きなチャンスと言えそうです。