ソニーの着るクーラー「REON Pocket」一般発売。人体用ペルチェ冷温デバイス ミニレビュー

冷・温=REON

Ittousai
Ittousai , @Ittousai_ej
2020年07月1日, 午後 11:42 in cooling
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一週間で6000万円以上を集めたクラウドファンディングから約1年、ソニーの「着るクーラー」ことREON Pocket が一般発売を迎えました。

REON Pocket は電気的に熱を移動させるペルチェ素子を使い、人体を冷却または加熱するデバイス。

専用インナーで背中の首元あたりに装着することにより、外からは目立たず、手を塞がないことが特徴です。風を送るのではなく冷温部を当てて体表面を直接冷やすため、ワイシャツとジャケットを着ていても使えます。

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ソニーによれば、気温30度・安静状態で実験したところ、REON Pocket を使用して5分後には接触部分の体表面温度が13度下がったとのこと。熱の移動向を反転できるペルチェ素子の特性から人体側を温めることもでき、冬場は電気カイロとしても使えます。

試作品を試したところ、春先の「日中は汗ばむ暑さだけれど夜は肌寒い」気候で意外にも活躍しました。夏は移動中や屋外で冷却モード、エアコンが効いた屋内で寒くなってきたら温熱というように、一台で切り替えて使えることは他の冷感・温感グッズにない利点です。

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Bluetooth を搭載しており、COOL / WARM の切り替えや効果の調整にはスマホアプリを用意します。スマホでは強度と継続時間をカスタマイズする「マイモード」が利用でき、温・冷の交互設定も可能。医療健康機器ではないものの、ユーザーなりの応用としては美容法などで体のどこかを温める・冷やす手段としても使えます。

スマホがなければ使えないわけではなく、電源を入れるだけのクイック起動やオートモードももちろん対応。オート時は気温・体表面温度(冷温モジュール部の温度)に加えて加速度センサを使い、ユーザーが歩行しているかどうかといった行動まで検出することで、涼しさを感じる最適な温度に自動調整します。

(行動検出には、ソニーのウェアラブル機器で使われる技術を採用しています)。

保冷剤などで実感できるように、人間の体はある程度冷たいものに触れても、少し経つと慣れて冷たさを感じなくなるため、基本のオートモードでは強弱をつけて慣れた頃にオフ、しばらくしてまたひんやり感の繰り返しで動作します。

大きなファンで一気に汗を飛ばしたり、エアコンの効いた屋内に入ったり、水を浴びるように冷えるわけではないため、主な効果はこの忘れたころに訪れる冷たさを感じること。

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本体は薄型マウスのような形状。4cm四方ほどの冷温部と、内部にヒートシンク、薄型ファン、バッテリーを搭載します。

背面下側のメッシュ部分から吸気してヒートシンクを通し、上面のスリットから排気する設計。首に熱気を感じるほどではないものの、襟元はやや余裕をもたせたほうが効果的です。

ペルチェ素子は片面を冷やし、反対側をそれ以上に熱くするため、結局はファンで排熱する構造ですが、体表面から直接熱を奪えること、皮膚よりも効率の良い金属製ヒートシンクに風を当てることで、小容量のバッテリーと小型のファンでも、扇風機として使う以上に冷やせる理屈です。

ソニー、人体用ペルチェ冷温デバイス REON POCKET発表。熱設計技術をウェアラブルに応用 (2019年の発表時)

ファン音はノートPCのイメージ。出力に応じてサーッという音が聞こえますが、最低出力ならばかなり静かな部屋か、すぐ近くで注意しないと聞こえない程度です。屋外や公共交通機関ではおそらく分かりません。

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音量そのものより、甲高い不快な音の成分が少ないこと、基本的には服の下に着けることから、周囲の人の耳に近くないことも音が耳につかない理由かもしれません。回転数によるものの、一般的な空調服(ファン付きジャケット)よりは歴然と静か。

(空調服は空調服で、上半身のシルエットが空気で膨らんだり大きなファンが丸見えであることより、とにかく汗を飛ばすことが最優先のハードコアな製品。危険な現場などで使うための実用品です。一方REONはさりげなく涼感・温感が目的なのでコンセプトから違います。念のため。)

周囲に聞こえるかどうかでいえば、そもそも目の前の人間が背中の見えない部分に薄型ファンを装着していると予想する人間はほぼいないため、気づいても気づかない、なにか別の音かと思うことはあるかもしれません。

バッテリー駆動時間は冷却の最大出力で約2.5時間、温熱で約2時間。基本的にはピンポイントで、屋外を移動する際や直後に使うイメージです。本格的に暑い長丁場をこれで解決というものではありません。

満充電に公称で約2.5時間かかり、充電・給電しつつ動作はできないため、日中使ったまま充電を忘れると帰宅時に電池が切れていることがありました。

価格は一台1万3000円+税、ほぼ必須の専用インナーはS/M/Lサイズ各1800円。

手持ちでも使えることは使え、実際に指先で冷感を楽しむのも効果的ではありますが、背中にフィットする形状で作られたウェアラブルなので、専用インナーなしでは本末転倒です。

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専用インナーはざっくりSMLの三種類。サイズ確認のうえぴったりめを選ぶことをおすすめします。インナーは接触冷感と速乾性のある機能性繊維製のため、空気の層を作らず体に密着して汗を吸うのが大事なことと、特に首元がフィットしていないと、ポケットに入ったREON Pocketが背中側にずれてしまうため。

(専用インナーのかわりに一枚で着られるTシャツなどの自作もできなくはないと思いますが、冷温モジュールが肌に触れる部分に空気層があると効果半減なこと、背面下部の吸気部分は開ける必要があること、ポケットのサイズや位置も精度が必要なことから、少なくとも一枚は現物がないと難しいはず。)

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実際にしばらく試用してみた感想を短くまとめれば、

・前提として、エアコンや扇風機のかわりではない。ましてや熱中症の危険がある状況で予防を期待するものではない

・冷たいものを押し当てた際の気持ちよさをハンズフリーで、好きなときに繰り返し感じられる「涼デバイス」。

・ひんやりする感覚で熱のストレスを軽減して快適に過ごすことが目的。その意味で実用的。電源を入れた途端に急激に冷えるのは誰もが驚くほど。

・なので、体を動かすとやや蒸す、エアコンの設定をもう少し下げたいかな程度の状況ならば、REON Pocket の冷感で気を紛らわせることも。そうした意味に限れば、パーソナルなエアコンや扇風機のかわりとも言える。

・涼しさアイテムとしては、外からほぼ見えないこと、使っていることが分からないのも優秀(静かな部屋でファンを早く回す設定では、近くにいる人にサーッという音は聞こえる)。

・酷暑をエアコンや扇風機や日除けや水分補給なしで凌ぐ目的の製品ではないが、逆にほかの手を尽くしてもまだ暑いとき、特に湿度が高くハンディファンなどが役に立たないような環境でも、局所的・一時的なひんやり感を追加できる。

・何よりも、冷温感を外部的に操作することで、自分の体の感覚をハックすることが楽しいデバイス。気温・体温と、主観的な暑さ寒さ快適さの違いに気づくなど。

しつこいようですが、これを使えば熱中症を防止できるという製品ではありません。しかし熱中症の危険はない状況だけれど、それはそれとして感覚的には暑いしんどいを軽減はできます。

エアコンの効いた屋内で休んだり水風呂に浸かるようには体温を下げられないという意味では「気休め」ではあるものの、暑いときに冷たいドリンクのボトルや保冷剤を押し当てたり、冷却スプレーで一時的な涼を得るのも無意味な気休めだから不要と考えるか、少しでもしのぎやすくするために有効と考えるか。

寒暖差の大きい春先に有用だったのは意外でしたが、本格的な酷暑での利用はまだこれから。夏の様々なシチュエーションで試してみたレビューも追ってお伝えします。

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