▲発表から約1年半、ついに発売に向けて動き出したMother Bracelet

リラクゼーションスタジオの「Re.Ra.Ku」を展開するメディロムは、7月7日に、アクティビティトラッカーの「Mother Bracelet」の先行予約を開始しました。先行予約は、クラウドファンディングサイトのMakuake上で14時にスタート。配送は12月ごろになる予定ですが、先行予約特典として早割が提供され、30〜40%の割引が受けられます。

Mother Braceletの最大の特徴は、「充電不要」をうたっていること。コアとなる技術は米国のMatrix社が開発したもので、日本では同じ仕組みのスマートウォッチが販売されています。装着しているだけで体温と気温の差によって常時充電されるため、充電という行為そのものもが不要になるのがメリット。スマートウォッチ以上に付け外しが少なくなるアクティビティトラッカーには、うってつけの技術と言えるでしょう。

▲充電不要で利用できるのが、最大の特徴

▲体表温と外気温の温度差を利用して充電する。写真は20年のCESで撮影した試作機のもの

計測できるのは、歩数、睡眠、体表温、心拍数、消費カロリーの5つ。常時身に着けておくことができるため、充電時の歩数や消費カロリーがカウントされなかったり、睡眠前後でわざわざ充電したりといったわずらわしさから開放されます。防水にも対応しているため、シャワーを浴びているようなときにも利用できます。同社が「24時間365日体調を管理」とうたっているのは、そのため。製品化にあたっては、目標をクリアすることでエナジーと呼ばれるポイントが貯まる仕組みも用意されるようです

▲歩数、睡眠、体表温、心拍数、消費カロリーの5つを、常時計測できる

ただし、アクティビティトラッカーとして見たときの機能はシンプルそのもの。ディスプレイもなければ、スマホの通知を受け取ることもできません。メディロムによると、あえて機能をそぎ落とすことで、いわゆるデジタルデトックスを狙ったとのこと。時間や通知を気にしすぎてメンタルに不調をきたすようだと本末転倒ということで、センシング機能に特化した格好です。

▲スマホの通知や時刻表示といった機能はバッサリ省いた

筆者がこのデバイスを見たのは、20年1月に米ラスベガスで開催されたCES。当初は、昨年半ばに発売される予定でしたが、現時点で1年近い遅れが出ています。12月の出荷ということは、発表から発売までに、丸々2年を費やしている格好になり、アクティビティトラッカーとしては異例の延期と言えるでしょう。メディロムの代表取締役CEOの江口康二氏によると、その理由は2つあるといいます。

1つはコロナ禍や国際情勢。元々は「マレーシアで生産したものを香港でアセンブリーするつもりだったが、コロナ禍や政情不安があり、コミュニケーションが困難になってしまった」(江口氏)といいます。もう1つの理由が半導体不足で、「注文してから6カ月から8カ月程度、待たなければいけなくなってしまった」(同)という事情があるといいます。そこで同社は生産体制を切り替え、部品の調達や製造を日本で行うことを決断します。

▲紆余曲折を経て、製造は日本で行うことになった

パートナーになったのが、三栄電子とキヤノン電子。製造を国内で行うことで、コロナ禍で海外渡航が難しい中にあっても、「品質のところでしっかりコミュニケーションができるようになった」(同)といいます。メディロムは、普段から電子機器やガジェットの類を開発している会社ではないため、発表時には、製造や品質管理には一抹の不安がありました。中国のODMを活用すれば簡単に製品を開発できる時代にはなりましたが、品質が伴わず、不評を買っているものも少なくありません。こうした中、電子部品や製造に実績のある国内メーカーとタッグを組むのは、安心材料と言えそうです

充電不要というイノベーションが詰め込まれたMother Braceletですが、そのぶん、価格は一般的なアクティビティトラッカーよりお高め。Xiaomiなどの中国メーカーがディスプレイつきで数千円台のデバイスを出している中、Mother Braceletは4万4000円と値が張ります。冒頭で挙げたMakuakeの早割を適用すると3万800円、2台セットなら早割適用で1台あたり2万6400円になりますが、どちらも台数は限定。充電不要にどこまで価値を見出すかによって、感じ方は変わってくるかもしれません。

▲価格は4万4000円で、カラーバリエーションはホワイトとブラックの2色

もっとも、Mother Braceletは、コンシューマーへの販売はあくまでファーストステップでしかなく、将来的には法人市場への展開も視野に入れています。江口氏も、「実は本命の一丁目一番地は、社会課題の解決にある」と語ります。具体的には、医療法人や介護施設、フィットネスジムなどへの販売がそれに当たります。例えば、病院や介護施設では、取り外しが不要で検温もできるため、「体温管理のためだけに人が巡回する必要がなくなる」(同)のがメリット。付けっぱなしにできるため、管理の手間も少なくなります。

そのために、Mother BraceletはSDKも開放しており、導入先が自身で運用しているアプリケーションにデータを取り込めるようになるといいます。江口氏によると、「病院や介護施設などは全世界にある。今の問題は日本だけではない」と世界展開も視野に入れている模様。日本発のデバイスとして、どこまでグローバル展開に成功できるのかも注目しておきたいポイントです。