Jacob Rada / Universiti at Buffalo
Jacob Rada / Universiti at Buffalo

最近自動車を買い換えた人のなかには、カーナビ画面ではなくインパネ内に走行中の道路の制限速度が表示されて驚いた人がいるかもしれません。10年ほど前から運転支援システムを搭載する自動車には、カメラで標識の色や形をもとにそれを認識し読み取る機能が搭載されるようになりました。ただ、現実世界では明るさ、天候、障害物、損傷といった様々な要因から読み取りやすさが左右されるため、必ずしも正しく読み取れるとは限りません。

ニューヨーク州立大学バッファロー校Qiaoqiang Gan教授は、コンピューターが道路標識を読み取りやすくなる可能性があるmicroscale concave interface (MCI)と呼ばれる新しい素材を調査しました。この素材は、フィルムに小さなポリマー球をまぶした格好の薄膜で構成され、光を自動車に向けて反射するのではなく、散乱させて目をひくパターンを作り出します。そのパターンはたとえば白い光に対しては虹色の輪を、単色レーザー光や赤外線レーザーには明暗によるリングパターンを反射します。

Jacob Rada / University at Buffalo
Jacob Rada / University at Buffalo

Gan教授は、現在の自動運転システムは、通常の屋外環境下での標識認識に多くの問題を抱えているものの、このフィルムを使用して作られた標識なら、LiDARとカメライメージによる認識を併用して、読み取ったリングのパターンから標識の種類を知ることが可能になると述べました。意図したとおりに機能すれば、自動運転システムはより安全に走行できるようになるかもしれません。

研究チームは、このMCI素材は電子的なセンサーや偽造防止ツール、反射型ディスプレイなどにも応用が利くと考えています。今後の実験では、光の波長を変えたり、微小ポリマー球の素材を変えたりして、反射効果の変化ぐあいを調べるとしています。

自動運転システムを一般道で機能させようとするには、各種センサーによる周囲の状況把握はもちろんのこと、道路標識や車線など生身のドライバーが常に処理している情報を同じように認識する能力が必要になります。今回の研究はまだ最初の段階ではあるものの、標識の読み取り精度が上がれば、運転支援システムとしての機能向上に役立つかもしれません。

Source:University at Buffalo