Acronis SIT Autonomous
Acronis SIT Autonomous

AI自動運転によるモータースポーツ「Roborace」のシーズンベータ1.1ラウンド1で発生したマシンのクラッシュは、物理的にも絵面的にもなかなかの衝撃でした。しかし、このマシンが所属するSIT Acronis AutonomousチームのAIプログラミングに関わった技術者によると、原因はAIではなく、スパイク状に入った外乱ノイズにあったとのことです。

この技術者が掲示板サイトRedditに投稿したところでは、ログデータの解析からマシンに搭載されたAIはスタート時、限界まで右に切られたステアリングを戻すべく左方向の操作指示を出していたとのこと。にもかかわらずクラッシュに至ったのは、マシン自体がステアリングロック状態に陥ってしまっていたからだとしました。

サーキットでは、マシンをスタートティンググリッドにつけるため、整備やタイヤ交換などを行うピットから出てコースを1周するインスタレーションラップを行います。このときにマシンのコンピューターにスパイク状の外乱が入り、スタート位置についたときにステアリングが限界まで右に切りきってロックされた状態になってしまったとのこと。

さらに、スタートコマンドが出されてマシンが動き出した際も、AIは正常にマシンを加速するとともにステアリングを正しい方向に戻そうとしましたが、ステアリングロック状態が回復できなかったと説明しました。

チームの技術者によると、通常ならマシンの電子回路入る外乱はフィルターが除去するしくみになっているはずですが、どうやらそれが完全でなはい状況があり得るかもしれないと推測されます。

またRedditユーザーからは通常このような場合にはシステムがFailure(故障)モードになり、マシンを加速できないのではとの指摘がありましたが、技術者はたしかにコンピューターに異常値があれば、”NO-GO”と画面に表示されスタートコマンドが進行しない仕組みではあるものの、ステアリングロックの状態がパラメーター数値から外れた(NaN)値になってしまっていたことが、数値で判断するよう設計されているシステム側の見落としにつながったとしました。またこのNaN値がステアリングアクチュエーターには最大値として認識されていたことも、ステアリングのロック状態が解除できなかった理由のひとつのようです。

SIT Acronis Autonomousチームの名誉のため付け加えておくと、事故の翌日に行われた第2レースでは、主催者が用意した代替マシンによる急ごしらえながら2位に入る活躍を見せています。AIを鍛えるのとはまた別の部分になるコンピューターとマシン間のデータ受渡しと整合性、ノイズ流入の問題は、マシンの開発とともに今後は解決されていくはずです。

ちなみにRedditでは「I think Ericsson hit us.」「Maldonado.exe was activated.」といったわかる人にはわかるジョークが書き込まれる一方で、Roboraceに参加する他チームエンジニアからの情報共有への感謝や励ましの声もあり、互いに切磋琢磨しているようすが伺えます。

source:Reddit