ディスプレイサイズの大型化とともに本体もデカくなりつつある昨今のスマートフォンですが、新しい形状のディスプレイが出てくることで再びスリムな大きさになろうとしています。たとえばサムスンのGalaxy Z Fold2は折りたたんだ時の大きさは159.2 x 68 x 16.8mm。厚さはさておき横幅はiPhone 12の71.5mmより狭いのです。

2021Galaxy

スマートフォンの大きさを決めるのはディスプレイです。チップセットは小型化され、バッテリーも本体内に分割して埋め込むならどのような大きさにすること可能ですが、表示エリアを大きくすればするほど、スマートフォン本体のサイズも大型化させる必要がありました。

しかし、折りたためるディスプレイが登場し「スマートフォンとタブレット、2つの端末を1台で両立する」だけではなく、大きい画面をスリムな本体に折りたたんで収納することができるようになりました。ディスプレイの技術革新はスマートフォンの新しい使い方を生み出してくれるのです。

サムスンはディスプレイの開発・製造も行う素材メーカーでもあります。そのサムスンディスプレイのニュースサイトには未来のディスプレイとして数年後に実用化されるであろう、新しいデザインのディスプレイとそれを使った日常生活の一コマが紹介されています。

まずは折りたたみディスプレイ。現在の2つ折りから将来は3つ折りになるようです。これはスマートフォンの進化を考えれば順当な動きでしょう。Galaxy Z Fold2を使ってみると(厚みはありますが)折りたたんだときはスリムなスマートフォンとして使えます。折りたたんだときのアウトディスプレイは6.23インチ2260x816ピクセル(アスペクト比25:9)。SNSのタイムライン表示、横向きにして動画などのコンテンツ表示、さらに2つのアプリを同時に表示する用途にも十分使えます。そして開けば7.6インチ2208x1768 ピクセルのタブレットになります。

しかし、7インチクラスよりもさらに大きなタブレットがこれから好まれるようになるでしょう。5Gが当たり前になれば4K動画を大画面でストリーミングで見ることも当たり前になりますし、CPUスペックが上がれば複数のアプリを同時に使うことも当たり前になります。「スマホの画面で1つのアプリを使っていた時代があったんだ」なんて時が数年後にはやってくるでしょう。

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3つ折り式のスマートフォンであれば、閉じれば片手で持てるスリムサイズ、開けばGalaxy Z Fold2よりもさらに大きい画面が現れます。また3つに折ることで2つ折りディスプレイに必要だったアウトディスプレイが不要となり、メインディスプレイの端側1/3をアウトディスプレイとして使えます。コストや本体サイズの薄型化にも貢献しそうな構造です。

3つ折りディスプレイは「谷折り」と「山折り」両方の曲げ方向を1枚のディスプレイで実現しなくてはなりませんが、前者はサムスンが、後者はファーウェイが商用化しています。それぞれのディスプレイ技術を組み合わせれば理論上は実現できるものです。現にTCLは3つ折りディスプレイの開発を進めています。

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オランダのテック系サイトLetsGoDigitalによる3つ折り式Galaxy Z Fold 3の予想CGは本当にこのまま製品が出てきそうなイメージです。

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Source : LetsGoDigital

しかしディスプレイの進化は折りたたみだけにとどまりません。より薄く、自由に曲げることのできるディスプレイは12月にOPPOが巻き取りディスプレイのコンセプトを発表しました。ディスプレイを薄くすれば巻き取ることも可能になるのです。サムスンディスプレイもまるで紙のように自由にしわしわになるように丸められるようなディスプレイが将来、登場すると考えています。さすがにこの「くしゃくしゃディスプレイ」の登場はだいぶ先になるでしょうね。

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では将来、どのような巻き取りディスプレイを使ったスマートフォンが登場するのでしょうか。サムスンディスプレイは大胆にも細い棒の中にディスプレイを巻き取り、使うときだけディスプレイを出すという「スティック+ローラブル」なスマートフォンのコンセプトを見せてくれました。

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このデザインの製品が出てきたとしたらどのように使うのでしょうか。まずディスプレイを完全に巻き取った状態では棒状の「本体」しかありませんから、スマートフォンとして使えないように見えます。しかしサムスンのことですから、本体の一部に細長いディスプレイを搭載し、通知くらいは見えるようにしてくれるでしょうね。あるいはスマートウォッチやスマートグラスと併用することを考え、巻き取り状態のときはそちらでメッセージのやり取りや検索をする、といった使い方になるのかもしれません。

また巻き取り式のディスプレイを引き出した状態では、ディスプレイが薄いためにテーブルの上などに置いて使う必要がありそうです。もしかすると40-50ミリくらい、ちょっと引き出したときに薄いディスプレイの裏側に板状のものを当てれば、そのまま片手で持ってスマートフォンとして使えるかも知れません。棒状の本体を回すと数センチだけ背面の保護板が出てくる、といった構造も考えられます。

なおフレキシブルディスプレイを開発し、世界初の折りたたみスマートフォン「FlexPai」を発表した中国のRoyoleは、0.01ミリ厚の超薄型ディスプレイをすでに開発しています。スマートフォンとして使うためにはこの上にタッチパネルが必要となりますが、巻き取り式ディスプレイの実用化や応用展開は意外と早い時期にやってきそうです。

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これまでのスマートフォンの使い方であれば、今のスマートフォンの形状に不満が出ることはないでしょう。なぜならスマートフォンはサービスやアプリと共に進化してきたからです。しかしこれから5Gが始まることで、スマートフォンの使い方は大きく変わっていきます。その進化の一つが折りたたみディスプレイや牧人ディスプレイになることは間違いないでしょう。2021年にはより多くの折りたたみスマートフォンが登場し、2022年には巻き取り式スマートフォンも当たり前になっているかもしれません。