性能が数年前のスマホ並み? Snapdragon Wear 4100+の可能性を探る(山根博士)

省電力&高速通信&高画質カメラ対応

山根博士 (Yasuhiro Yamane)
山根博士 (Yasuhiro Yamane), @hkyamane
2020年08月29日, 午前 09:00 in Smartwatch
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SDW4100

クアルコムが7月1日に発表したスマートウォッチ向けの新しいチップセット「Snapdragon Wear 4100+プラットフォーム」は、スマートウォッチの「スマホ化」が実現できそうな機能アップが図られています。ここのところスマートウォッチは大きな話題となる新製品が出てきていませんが、今年の秋以降は面白い製品が次々とでてくるかもしれません。

世界のスマートウォッチ市場を見るとアップルのApple Watchが圧倒的な強さを維持しています。しかし今年に入ってからは中国市場の動きが活発化したことなどから、他メーカーの勢いも増しています。今年第1四半期のスマートウォッチのシェアはAppleが36.3%で1位。しかしファーウェイが14.9%、サムスンが12.4%と続き、この2社の合計がAppleを抜くまでになりました。前年同期からファーウェイは約2倍、サムスンも約1.5倍の伸びを示しています。その後にはガーミンとフィットビットが続きます(カナリス調査)。

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地域別にみると全スマートウォッチ出荷量のうち中国の占める割合が66%と全体の2/3を占め、アメリカの割合は3割を切りました。そして残りがそのほかの国となっています。アメリカはiPhoneユーザーが多いことから、Apple Watchの利用者も多くスマートウォッチの普及が進んでいます。中国は低価格なスマートウォッチが多いこともありスマートウォッチの購入者が増えているのです。近年はLTE搭載で単体利用できるスマートウォッチをファーウエイやシャオミなどが出しており、使い勝手の良さから購入者が増えています。

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ちなみに第1四半期、中国で出荷されたスマートウォッチは約940万台で、そのうちセルラー搭載モデルは約250万台と1/4に達しています。中国では通話や通信可能なスマートウォッチが当たり前のものになっているのです。

中国では子供向けのスマートウォッチもメジャーな存在になっています。スマートフォンとの連携よりも単体で使うことが考えられており、GPSによる子供の位置のトラッキング、緊急時に通報できるSOSボタン、居場所を撮影して親のスマートフォンに送ったりビデオ通話ができるカメラが搭載されており、都市部では多くの子供がスマートウォッチを腕にはめているほどです。子供用スマートウォッチは日本ではあまり知られていないImoo(BBK)が26%でシェアトップ、2位はファーウェイですがシェア9%と大きく引き離されています。

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Snapdragon Wear 4100+プラットフォームも世界一のスマートウォッチ市場となった中国市場を意識した機能向上が図られています。前モデルのSnapdragon Wear 3100と比較すると、単体利用時の性能強化として通信まわりの性能がアップ。Snapdragon Wear 4100+プラットフォームにはLTEモデムが統合され、VoLTEの通話時で29%の省電力化が図られました。通信方式はFDDに加えTDにも対応、Cat.4/3/1対応で最大150Mbpsの高速通信も可能です。またWi-Fiも802.11a/b/g/nに対応。さらにBluetoothも4.2に加え5.0にも対応しました。通信周りは数年前のスマートフォンと変わらぬ性能になっています。

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また常時表示機能も向上し、表示色が16色から6万4000色に増えると共に、文字盤の数字や日時、歩数、心拍数などの表示も可能になりました。つまり表示OFFの状態でも、時計として必要な情報をより多く表示できるのです。Apple Watch Series 5の常時表示のように、ディスプレイにタッチしなくとも時間や通知を見ることができるようになります。

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なお常時表示機能は上位モデル「Snapdragon Wear 4100+」のみに搭載。新機能を提供する省電力コプロセッサ「QCC1110」を内蔵しています。一方、下位モデルの「Snapdragon Wear 4100」は常時表示機能には対応しませんが、価格を引き下げ子供向けスマートウォッチなどへ利用されるようです。

Snapdragon Wear 4100+プラットフォームは他にもカメラの画素数が最大1600万画素までサポートされます。現在販売されている子供向けスマートウォッチのカメラは最大で800万画素程度ですから、これが一気に倍になります。カメラの高画質化は居場所の写真や動画をより高精細に撮影できることから緊急連絡時に役立つほか、顔認証への応用も期待できます。

カメラの高画質対応は、今後ビジネス向けスマートウォッチへのカメラ搭載を進めることになるかもしれません。1600万画素のカメラなら名刺読み取りなどスキャン用途にも利用できます。現在はQRコードを表示して利用するスマートウォッチを使ったペイメントも、スマートウォッチのカメラでQRコードを読み取って支払いもできるようになるでしょう。Snapdragon Wear 4100+プラットフォームはスマートウォッチのカメラ搭載を一気に広げるかもしれません。

Snapdragon Wear 4100+プラットフォームは発表と同時に中国のImooとMobvoiの採用製品がアナウンスされました。中国のスマートウォッチ市場の動きが活発だからこそ、この2社は最新モデルの最速投入を狙っているのです。

Imooの「Z6 Ultra」はウォッチ本体部分がヒンジで立ち上がり、背面カメラで写した被写体の画像認識もできる子供用スマートウォッチとは思えぬ高性能な製品です。カメラは背面に1300万画素と前面に500万画素の2つを搭載。LTEにも対応し単体通話や通信が可能。NFCを使い交通系ICカードとしても利用できます。価格は1999元(約3万400円)。

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MobvoiはWear OS by Googleを搭載したビジネス向けスマートウォッチを「TicWatch」ブランドで展開しています。TicWatchはグーグルアシスタントなど音声操作も可能なので、Snapdragon Wear 4100+プラットフォーム搭載の最新モデル「TicWatch Pro 3」はUXの向上が期待できます。TicWatch Pro 3の発売時期はまだ未定です

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スマートウォッチが登場した時、「もうスマホはいらない」とまで言う声も聞かれました。しかし小さいディスプレイサイズや1日持たないバッテリー、さらに単体通信できないことなどからスマートフォンを置き換えるものにはならず、現在もアシスタントとしての利用にとどまっています。

Snapdragon Wear 4100+プラットフォームの登場はスマートウォッチの性能を大きく高め「スマホ無しでもある程度の生活ができる」時代を実現してくれるかもしれません。ファーウェイなどこれから出てるく各社の新製品に期待したいものです。

 
 
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