新型コロナで通信量が増、5G SAは21年度中に開始──ソフトバンク決算会見(石野純也)

店舗業務の縮小で顧客獲得は減少傾向に

石野純也 (Junya Ishino)
石野純也 (Junya Ishino)
2020年05月13日, 午後 03:15 in SoftBank Group
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SoftBank Junya Ishino

ソフトバンクは、5月11日に決算説明会を開催。2019年度の業績とともに、新型コロナウイルスの影響を、宮内謙社長をはじめとする経営陣が語りました。

新型コロナウイルスの影響に鑑み、決算会見はオンラインで実施

緊急事態宣言での自粛が続き、飲食業や観光業、小売りなどの業種では売上が激減している一方で、ソフトバンクは比較的、ダメージが少なかったと言えるでしょう。通信事業者のため、定期的に通信料収入が入ってくるからです。

ソフトバンクショップの営業時間や業務内容を縮小しているため、「正直獲得は減少している」(宮内氏)といいますが、同時に解約も減っているため、通信料収入についての影響はプラマイゼロといったところでしょう。

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▲新型コロナウイルスの影響は、通信事業については軽微だという

CTOの宮川潤一氏によると、固定回線のトラフィックは倍増、モバイルも「数十%の割合で増加している」といい、緊急事態宣言で“巣ごもり”が続く中、通信に対する需要が増加していることが分かります。

トラフィックが増えれば、それに伴い料金プランを上位のものにアップグレードするユーザーも出てくるでしょう。宮内氏が「我々が一貫してやってきた(大容量プラン重視の)料金施策は、モバイルトラフィックとともにいい方向に向かっていくと思っている」と語ったのは、そのためです。

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▲トラフィックは2年で2倍に伸びているが、非常事態宣言でその傾向に拍車がかかった

「在宅勤務になったり、家で過ごす時間が増え、ケータイをスマホに変えたいという人も増えている」(宮内氏)というように、スマホへの移行がさらに一段進む可能性もあります。

リモートワークをこなしたり、より清潔なキャッシュレス決済を使ったり、さらには給付金を申請したりできるのも、スマホならではのメリット。実際、フィーチャーフォンからスマホに買い替えた人が契約できるスマホデビュープランは好調で、「旧プランに比べ、倍ぐらいで推移している」といいます。

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▲スマホデビュープランも堅調だという

通信レイヤーの上で提供するサービスやアプリなども、新型コロナウイルスの影響で伸びている分野。例えば、法人向けでは、テレワークや遠隔授業の需要が一気に高まったことで、「VPNアクセスやZoom、UniTalkが6倍、10倍、2倍と大きく伸びている」(宮内氏)といいます。

こうしたサービスを利用する上では大容量通信が欠かせないため、両方を提供しているソフトバンクにとっては、相乗効果もありそうです。

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▲VPNやZoom、UniTalkの申し込みが急増した

これは、傘下のヤフーも同様で、観光などの広告が減少した一方で、「Eコマースの取扱高は4月に非常に伸びている」といいます。サービス利用時間や、サブスクリプションの契約数も増加しており、それが広告の減少分を補っている状況です。

インフラである通信や、オンラインでのサービスを強みとするソフトバンクにとっては、新型コロナウイルスの影響は軽微と言えるのかもしれません。

もちろん、痛手がまったくないわけではありません。上記のように、広告出稿は減少しているほか、タクシー配車のDiDiや、ホテルチェーンのOYO Hotelsは、自粛の影響がしっかり出ています。

業界全体の平均よりも減少幅は少ないとはいえ、DiDiは3月で売上高が-6%になっています。緊急事態宣言が発出された4月は、より減少幅が大きくなっているはずです。同様に、OYO Hotelsの稼働率も、3月には51%まで低下しています。

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▲業界平均よりはいいが、いずれも新型コロナウイルスによるネガティブな影響を受けている

基地局交渉にも影響

基地局の拡大にも、ネガティブな影響があります。宮川氏によると、「基地局を建てる際に、ビルに上っていいかとオーナーに聞くと、10〜20%ぐらいがNGになる」といいます。

予定の50%増しでオーダーをかけていた結果、「5Gの基地局建設は至って順調」(宮川氏)とのことですが、緊急事態宣言が長引けば、交渉には支障をきたしそうです。増加するトラフィックにどう対処していくのかも踏まえると、「まだまだ予断は許さない」(宮川氏)と言えそうです。

また、長期的に見ると、ショップへの来店数が激減していることも、成長に向けた重しになってしまう恐れがあります。

「我々のパートナーである代理店は、スマホを教えて、ユーザーが使えるようにしてあげる役割が大きい」(宮内氏)からです。榛葉淳副社長も、「大切なのは、このあとクルーたちがビフォアコロナと同じようにユーザーをサポートできること」と続けます。

客足が戻らなければ、5Gへの移行や、フィーチャーフォンからスマホへの移行が鈍ってしまうことに繋がりかねません。とは言え、新型コロナウイルスがいつ終息するのかは不透明。榛葉氏は、ショップの運営方法にも「知恵を絞る必要がある」と語ります。

アフターコロナでサポートのあり方も変わる

店頭で対面販売、対面サポートする以外にも、「Zoomで会見を開いているように、事前にお伺いしてからネットでサポートするなど、そういうところは今回を機にブラッシュアップし、アフターコロナ、ウィズコロナの時には、財産であるショップスタッフがサポートできるようなことを考えたい」(榛葉氏)といいます。

宮内氏も、「だんだんとハイブリッドな形になっていくのかもしれない」とサポートのあり方が変わっていく可能性を示唆しました。

このままの形が続けば、トラフィック対策もさらに必要になります。ソフトバンクは2020年度末までに5Gを47都道府県すべてに展開、翌2021年度末には人口カバー率90%を達成することを目標に掲げています。

さらに、2021年度中には、5G専用のコアネットワークを使って4Gなしで完結できる「スタンドアローン(SA)方式」をスタートさせる計画を明かしました。

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▲2021年度に向け、5Gの展開を加速させていく

宮内氏によると、「通信トラフィックは2年で倍増する勢い」だといいますが、新型コロナウイルスの影響を受け、そのペースはますます上っていくはずです。こうしたトラフィックの伸びを吸収するうえでも、スロースタートと見られる5Gへの移行は、今以上に加速させる必要がありそうです。

 
 

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