ソフトバンクが21年早々、料金プラン体系を刷新します。元々ソフトバンクは、ソフトバンクブランド、ワイモバイルブランド、LINEモバイルブランドのマルチブランド戦略を取っていました。中でも大きく手を入れるのが、LINEモバイルです。同社はソフトバンクとLINEの合弁会社として運営していましたが、これをソフトバンクが完全子会社化。「SoftBank on LINE」をコンセプトに、オンライン手続きに一本化したメインブランドの1つに“昇格”させます。

SoftBank Junya Ishino
▲LINEモバイルを完全子会社化してMNOに。ソフトバンクの提供するブランドの1つとして、料金プランを刷新する

ソフトバンクの榛葉淳副社長によると、これまではソフトバンクという会社の下に、ソフトバンクブランドとワイモバイルブランドがあり、事業部も2つに分かれていましたが、SoftBank on LINEが加わることで、これが3つになるイメージとのこと。料金は20GBで2980円。5分間の音声通話定額がつくほか、LINEの通信がデータ容量のカウントから除外されるゼロレーティングも実施します。

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▲料金は2980円で、データ容量は20GB。5分間の音声通話定額もつく

金額やデータ容量、さらにオンライン中心といった販路を見れば分かるとおり、SoftBank on LINEは完全にドコモのahamo対抗。後追いながら、eSIMに対応していたり、申し込みやサポートにLINEを使ったりといった点は、ahamoにないメリット。逆に、当初はSIMのみの提供とのことで、ahamoやMVNOのLINEモバイルのように端末を提供せずに、eSIMの特徴を生かしたキャリアとして展開していく可能性が高そうです。

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▲eSIMに対応していたり、申し込みやサポートにLINEを活用したりと、料金以外でahamoと差別化

LINEモバイルの会社を丸ごと吸収してahamoに対抗する経営判断には驚かされましたが、ソフトバンクやワイモバイルの料金プランでも、しっかり他社に対抗しています。金額水準やデータ容量を見ると、ソフトバンクがドコモ、ワイモバイルがUQ mobile対抗の色合いを濃くしています。以下で説明するとおり、どちらも競合他社よりちょっといいプランに仕立てられています。これは、まさに後出しジャンケン戦略と言えるでしょう。

まず、ソフトバンクの大容量プランであるメリハリプランは、データ容量を50GBから無制限に拡大したうえで、「メリハリ無制限」として料金を大きく値下げしてきました。金額は、正価で6580円。割引も、「おうち割 光セット」と最大3人までの「新みんな家族割」だけになり、料金プランの表組みがスッキリしました(笑)。以前のような期間限定割引はなく、ドコモの5Gギガホ プレミアと同様の分かりやすさです。

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▲メリハリプランはメリハリ無制限に。しかも料金は5Gギガホ プレミアより70円安い

後出しジャンケンでドコモを上回っているのは、金額と4G/5Gのプランを一本化したところ。ドコモは、ギガホ プレミアと5Gギガホ プレミアが別建てで、しかも両者には100円という微妙すぎる差額があり、無駄に複雑に見える要素が残ってしまっていましたが、ソフトバンクのメリハリ無制限はシンプルに1プランで4G、5Gのどちらも利用できます。しかも、金額がドコモの5Gギガホ プレミアより70円安いというオマケつき。新みんな家族割もそれぞれ100円ずつドコモより割引額が多くなっています。

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▲新みんな家族割は、ドコモのみんなドコモ割よりも100円ずつ割引額が多い

ドコモは「dカードお支払割」があり、これをつけるとソフトバンクと同額になりますが、“クレカ縛り”になってしまうことも事実。逆に言うと、メリハリ無制限は、dカードお支払割の170円ぶんを、正価の値下げと新みんな家族割の割引額増額で補っていると言えます。ドコモが、過去の料金プランを引きずってしまった細かな弱点を、ピンポイントで突いたと言えるかもしれません。そのぶん、当然ながらソフトバンクの方がシンプルに見えます。

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▲ドコモはdカードお支払割で170円安くなるため、割引フル適用時の価格は同じ。そのぶん、ドコモには“クレカ縛り”があるとも言える

もう1つのサブブランドであるワイモバイルは、12月下旬に提供予定だった「シンプル20」を幻のプランとして葬り去り、「シンプルS」「シンプルM」「シンプルL」の3本立てに料金体系をリニューアルしました。従来の「スマホベーシックプラン」についていた10分間の音声通話定額をオプション化することで、料金を値下げし、KDDIのUQ mobileとほぼ同じ料金を打ち出しています。さらに、UQ mobileが21年2月に提供予定の20GBプランである「スマホプランV」を先取り値下げする形で、3780円と200円安い料金を打ち出しました。

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▲ワイモバイルはシンプル20を葬り去り、松竹梅の3本立てに原点回帰。音声通話定額を外し、UQ mobileに金額で対抗した

これもある意味後出しジャンケンですが、もう1つ、UQ mobileが非対応だった5Gに対応しているのもポイント。5Gを割安に使えるという点では、ソフトバンクのメリハリ無制限にはないメリットです。すべてのブランドで5Gが利用可能になるため、ユーザーとしては、純粋に料金や容量、付随するサービスなどで選べばいいというわけで、分かりやすい料金体系だと評価できます。

ドコモやahamo、UQ mobileに対して後出しジャンケンを仕掛けたソフトバンクですが、後出しジャンケンは、スピード感が重要。ジャンケンの場合、後出しがあまりに遅いと、相手にバレて反則になってしまいます。ドコモの5Gギガホ プレミアから4日後、ahamoから2週間強での対抗策発表は、十分なインパクトがあります。しかも、ドコモだけでなく、UQ mobileにもガチンコ勝負を仕掛けてきたという全方位ぶり。シンプル化も含め、市場の“空気”を読むのが非常にうまい印象を受けました。

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