12月に入り、SIMフリー版のXperia 1 IIにソフトウェアアップデートがかかりました。その内容は、5Gの対応バンドにn78、n79を追加するというもの。10月30日の発売時点では接続できなかった、ドコモの5Gが利用できるようになりました。これを受け、筆者もAndroidスマホのメイン端末をSIMフリー版のXperia 1 IIに機種変更しました。ここまでは、よくある話かもしれませんが、機種変前の端末がドコモ版のXperia 1 IIだったというのは珍しいのではないでしょうか。まさに、Xperia 1 IIの“おかわり”です(笑)。

Xperia 1 II
ドコモの5Gに対応したことを受け、満を持してXperia 1 IIのSIMフリー版を購入した

さすがに、同じ端末同士で機種変更したのは初めてのこと。カラーもドコモ版で選んだパープルがかなりのお気に入りだったため、SIMフリー版限定のフロストブラックには目もくれず、同じパープルを選択しました。アプリの配置もほぼ同じにしたため、並べるとどちらがどちらか、一瞬分からなくなってしまうほど。ただし、背面にうっすらプリントされたロゴには違いがあり、SIMフリー版には「docomo >>5G」の文字がなく、よりシンプルになっています。おサイフケータイのマークも、NFCマークになっている違いがあります。

JI Xperia 1 II
アプリの配置をそろえると、違いがほとんど分からない(笑)
JI Xperia 1 II
「docomo >>5G」の文字がなくなり、背面はスッキリした印象に

ドコモ版からSIMフリー版に変えるメリットは、次のとおり。1つ目がメモリ(RAM)やストレージ(ROM)が増量されることです。ドコモ版は、RAMが8GB、ROMが128GBだったのに対し、SIMフリー版はそれぞれ12GB、256GB。正直、元々操作は快適だったため、RAMの差分は実感するのが難しいかもしれませんが、ROMが倍増しているのは大きな違いです。秒間20枚連写を使うと、保存先が本体ストレージに自動で切り替わるため、カメラをよく使う人にとって、意外とこの差は大きいと言えるでしょう。4K動画も、本体ストレージの方が撮影が安定します。

JI Xperia 1 II
RAMは8GBから12GBに
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ROMは128GBから256GBへと倍増

2つ目はデュアルSIM。ドコモ版は当然のようにシングルSIMですが、SIMフリー版は2つのSIMで同時に待受けができます。しかも、どちらのスロットも5G対応。iPhoneやPixelのeSIMのように、デュアルSIMをオンしとたんに5Gが利用できなくなるという制約もありません。この機能が便利なのは、どちらかと言えば、海外出張時。メインのSIMカードで国際ローミングしつつ、現地SIMで通信するといったことができ、通信費を節約できます。

とはいえ、今はコロナ禍で海外出張は夢のまた夢といった状況。仕方がないので、2スロット目には余っていたワイモバイルのSIMカードを挿しておくことにしました。ネットワークに強いイメージのあるドコモですが完ぺきではなく、ごくまれに建物内で通信速度がかなり低下することがあります。このようなときに、もう1つのSIMカードに通信を切り替えられるのは安心。転ばぬ先の杖として使うには、2枚目のSIMカードスロットに別キャリアのSIMカードを挿しておいた方がいいでしょう。

デュアルSIMとも関連する話ですが、メリットの3つ目は、対応周波数。ドコモ版のXperia 1 IIは、ドコモ端末のため、対応周波数もドコモの持つものに最適化されています。これに対し、SIMフリー版は、国内4キャリアで利用される想定のため、4Gや5Gの対応バンドが広く取られています。今現在はドコモのSIMカードをメインに使っていますが、auやソフトバンクに切り替えてもしっかり使えるため、SIMロックを解除したドコモ版のXperia 1 IIより、利用シーンは広くなりそうです。

また、メリット、デメリット双方ありますが、ソフトウェアもドコモ版とは違いがありました。まず、当然ながらドコモ純正アプリがプリインストールされていません。個人的にはドコモメールやd払い(コード決済、iD)、dマガジン、Disney+といったサービスは使っていますが、これらはすべてSIMフリー端末用のものをインストールできました。+メッセージも利用可能。あの豆腐のようなキャラが表示されなくなったり、設定メニューからドコモの項目がなくなったりした違いはありますが、必要なサービスはきちんと使い続けられています。

JI Xperia 1 II
JI Xperia 1 II
必要なドコモのサービスは、SIMフリー端末用で利用できている

細かな点では、ダイヤラーが異なっています。ドコモ版はドコモ純正の電話アプリと電話帳ですが、SIMフリー版はGoogleのものになっています。ソニーモバイル製ではなく、独自色が薄いのは残念ですが、Googleの電話アプリはネット経由で自動的に電話番号を照合して、かけてきた相手を表示してくれる機能があります。主に企業の固定電話番号が対象ですが、どこからかかってきたのかが分かり、すぐに出るべきかどうかの判断ができるのは便利。逆に、転送電話や留守番電話などは、メニューから呼び出せず、電話番号を手動で入力して利用する必要があります。

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電話アプリはGoogle仕様で、ドコモ版とは異なる

さらに細かな点では、ピクトに「5G」の文字が表示される条件が異なっています。ドコモ版はキャリア端末共通の仕様として、5Gの文字を表示する条件がかなり厳しく設定されています。NSA(ノンスタンドアローン)の5Gでは、5Gで通信する前に、アンカーバンドと呼ばれるLTEに接続します。キャリア端末は、そのLTEに接続して、待機しているときにピクトが「5G」に切り替わりますが、周りにつかめる5Gの電波がなく、そのまま4Gで通信すると、すぐにピクトが「4G」なり「4G+」に変化します。

これに対し、SIMフリー版はアンカーバンドのLTEをつかむとピクトが「5G」になり、その後は4Gであろうが5Gであろうが、表示が切り替わりません。つまり、アンカーバンドさえあれば、常にアンテナマークの横が「5G」の文字になってしまいます。アンカーバンドのLTEは、5Gより周波数が低いこともあり、エリアが広めに取られています。また、5Gの電波が吹く前に、アンカーバンドの設定だけをしてしまうことも。そのため、SIMフリー版のXperia 1 IIでは、実際のエリア以上に、5Gの文字を目にする機会が多くなります。

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アンカーバンドのLTEをつかんだだけで、常時ピクトに「5G」と表示されてしまう

一応、どちらも標準化の条件は満たしているため、Xperia 1 IIに限らず、SIMフリーの5Gスマホはこのような仕様になっていることが多いようです。筆者が購入したファーウェイの「P40 lite」や、試用した「TCL 10 5G」もそうでした。周囲に5Gの電波が飛びまくっているかのように見え、通信が高速になったかのように錯覚してしまいますが、実態は4Gのため、これは少々紛らわしいと感じています。可能であれば、SIMフリースマホメーカー各社も、キャリア仕様に準拠してほしいところです。

また、微妙なところでは、通信がキャリアごとに最適化されていないためか、同じ場所で5Gにつないでも、ドコモ版より速度が出ないことがありました。例えば、以下は渋谷駅前の5Gエリアで測定した結果を6回分まとめたものですが、ドコモ版はちょいちょい1Gbpsを超えていたのに対し、SIMフリー版は900Mbps超が最高で、200Mbpsを割り込んでしまうこともあるなど、バラつきが目立ちました。ドコモ仕様が盛り込まれていないため、つかんでいる周波数が違う可能性もあります。どちらも十分高速ですが、この点は注意が必要かもしれません。

Xperia 1 IIの“おかわり”は、さすがにちょっと自分でもどうかと思いましたが、ドコモ版を売却することで、かかった費用はかなり抑えられています。SIMフリー版は、銀座のソニーストアで購入しましたが、その際に各種クーポンや、ソニー銀行の「Sony Bank WALLET」を使うことで割引が適用され、13万6400円が12万6003円にまで下がりました。

これに対し、ドコモ版はコンクリートへの落下でフレームに傷がついていたものの、約7万1000円で某中古店に売却できました。考え方によっては、差し引き約5万6000円でXperia 1 IIの仕様をアップグレードできたとも言えるでしょう。RAM、ROMの増量や、デュアルSIM、対応周波数だけで5万6000円の価値があるのかどうかは微妙なところですが、まるでベホマのごとく、傷がゼロになったのも個人的にうれしいポイント。万人におすすめできるアップグレードではありませんが、キャリアに縛られたくない人は、そんな選択肢があることも念頭に置いておくといいでしょう。