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今を去ること25年前より、ホームシアターブームが興りました。トールボーイスピーカー(子供の背の高さもあるようなのっぽスピーカー)を部屋の四隅に置き、テレビの前に横長のセンタースピーカー、足元にサブウーファーを置いて、次々と出るDVDを楽しんだ方もおられるでしょう。

しかしスピーカーの数だけ、スピーカーケーブルを這わせることになってしまいます。足をひっかける、ホコリがたまる、ペットがかじる...といったように、このスピーカーケーブルが日常生活においてガンとなり、いつしかスピーカーの数を減らしていった方も多いでしょう。僕もその一人です。

いい音響を求めたい。しかしストレスとなるのは嫌だ。そんな全人類の希望がBluetoothをはじめとしたワイヤレススピーカーの時代を作り上げることとなったのですが。

最強といっていいワイヤレススピーカーが登場します。それがオンキヨーの「SOUND SPHERE」です。ショップ兼ショールームのONKYO BASE両国で実機の音を聴いてきたのですが、サラウンド時の音がシャープでキレがよく、定位感バッチリですよコレ。

「SOUND SPHERE」はGREEN FUNDINGにてプロジェクトを実施中で、5.1chモデルは通常10万9800円ですが、27%OFFなどの早割価格で購入可能です。

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SOUND SPHEREの基本形態は5.1chセット

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GREENFUNDINGでクラウドファンディング中の「SOUND SPHERE」には、2.1chセット、3.1chセットもありますが、映画やドラマ、ゲームの音響をフルで楽しみたいなら、こちらの5.1chセットが基本形となります。

センタースピーカーx1、サテライトスピーカーx4、サブウーファーx1に加えてもう1つ、センタースピーカーの左横に小さな円盤のようなユニットがありますよね。

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これが「SOUND SPHERE」の根幹となるWiSAのトランスミッターです。実は「SOUND SPHERE」のスピーカー群は、このトランスミッターから放たれた信号を受信して、音を鳴らせるオーディオシステムなのです。

WiSAは最大で96kHz/24bitの音声信号を、圧縮することなく8チャンネルまで扱えるワイヤレスオーディオ。しかもレイテンシは約5.2msと極めて小さい。参考までにBluetoothのSBCコーデックは約220ms、AACは約120ms、aptXで約70ms。低遅延といわれているaptX LLでも約40msの遅れがあります。もともと高価格帯のホームシアター向けに開発されたワイヤレスシステムとはいえ、ゲーム用に使っても満足できそうな遅延の少なさはお見事ではないでしょうか。

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トランスミッターにはeARC/ARC対応HDMI端子、光入力端子、電源用のUSB端子が備わっており、テレビやAVアンプ、PCモニターのHDMI出力・スルー端子と接続することでサラウンドの音声信号を各スピーカーにワイヤレスで振り分けます。

なお非圧縮のツヤッツヤな音を伝送するには、音の上流となるテレビ側などの機器もeARCに対応している必要があります。

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組み合わさるスピーカーを見てみましょう。フロント2ch、リア2chに使うスピーカーは2WAYで、振動板にグラスファイバーを用いた7.6cm径ウーハーに、2cm径のドームツィーターが使われています。目立ちにくい細長いバスレフポートがいいですね。

サイズは高さ171x幅110x奥行き143mmでコンパクト。しかし手で持つとずっしりしています。重さは1.6kg。エンクロージャー(スピーカーボックス)に、密度が高めのMDF材を使っているようです。

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背面はアルミプレートとなっており、AC100~240Vのメガネ型電源ケーブルが接続できる端子があります。スピーカーケーブルをつなぐための端子はありません。

エンクロージャー内部にレシーバー・デコーダー・アンプの回路が入っているのでしょう。出力は30Wとのことです。

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底面にはネジ穴があります。6mm径とのことで、1/4インチのカメラネジとは互換性がない様子。

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テレビ台などがない場所では、このネジ穴を使ってマウントすることになるでしょう。過去にオンキヨーが販売していた三脚型スピーカースタンドも販売するかもしれないとのことでした。

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ダブルウーハーでツイーターを挟み込むバーチカルツイン構造のセンタースピーカー。ウーハーが増えたぶん、アンプはさらに強力な50Wのものを採用。

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16.5mm径ペーパーコーンのサブウーハーの出力は150Wです。

いずれのスピーカーも付属する電源ケーブルの長さは1.5m。設置したい場所とコンセントが離れているときは、長いメガネ端子型の電源ケーブルを用意しましょう。

Dolby Atmosハイトバーチャライザーとの併用で映画館っぽさが高まる

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「SOUND SPHERE」はスマホ/タブレットアプリで細かいセッティングが可能です。

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AVアンプにあるような自動音場調整機能などはなく、基本的にユーザー自身がマニュアルで調整しなければなりません。いったんセッティングを決めてしまえばそうそう変更することがないので、この割り切った仕様はアリだと感じますね。

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面白いのがあえて音の発生タイミングを遅らせる機能があること。せっかく低遅延なワイヤレスなのになんで? と思ったら、テレビ側の映像処理にとって映像そのものが遅れるケースがあるんだそうです。なるほど、口の動きと声をピッタリ揃えるためには、こういう機能も大事なのですね。

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フロントスピーカーとサブウーハーのみを使う2.1ch状態で聴いたところ、確固とした音の明瞭感を感じ取ることができました。これは良質なスピーカーです。YouTubeコンテンツを見る目的であれば、このセットでもいいと思えます。

3.1ch状態にすると、センタースピーカーは偉大だという思いがむくり。テレビモニターの存在がなくなったかのように、パンニングしたときの音の繋がりがよくなります。NetflixでもAmazonプライムビデオなどで、会話中心の映画やドラマ、アニメを見たい方にはベストな組み合わせかも。

肝心の5.1chにすると後ろ方向にも音が回り込み、広いサウンドステージのど真ん中に立っているような感覚が味わえます。これ! この環境でFPSやりたい! ただしど真ん中からの低音が強く感じ取れるぶん、音が前後左右にパンニングしているときに低音がやや薄まる傾向もありました。

もしかしたらセンタースピーカーもフロント/リアスピーカーと同じものにしたほうがいい? それともセンタースピーカー5本セットとかのほうがいい? と思っていたところ、Dolby Atmosハイトバーチャライザーを使うことで懸念は解消されました。低音が拡散傾向となり指向性が薄まったことで、どの位置からの音も自然な感じで聞き取れるようになったのです。

これはもう映画館だ。映画館の音響だ。

マルチに使えるワイヤレススピーカーシステム

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スピーカーケーブルを使わなくてはいいとはいえ、電源ケーブルという呪縛はつきまといます。特にリアスピーカー側は床に這わせることとなる電源ケーブルを邪魔と感じることがあるでしょう。

そう尋ねてみると、オンキヨーの方がいいました。

「電源ケーブルをつないでアプリ操作するだけでセッティングできるから、片付けしやすいというメリットがあるんです。掃除のときとかはケーブルを外せば対応できますし。また平日はリアスピーカー2本とトランスミッターをPCに接続、2chステレオスピーカーとしてPCの音を楽しむのはいかがでしょうか。そして休日はリビングに持っていって、5.1chのサラウンド環境を楽しむ、と」

なるほど、それは新しいスピーカーマネージメントのカタチとなります。「SOUND SPHERE」のクラウドファンディングがうまくいけば、トランスミッターが単体販売されるかもしれませんし、そうなればスピーカーだけを移動させるだけで自由なセッティングが可能になります。

ホームシアターを諦めてしまった方にもう一度、そしてステイホームで映画やドラマを見る時間が増えた方の初めてのサラウンドスピーカーとして、価値ある存在ですよ「SOUND SPHERE」は。

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