NASA
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先週木曜日、宇宙空間に廃棄されたロケットのブースターと、旧ソ連時代の廃棄された人工衛星が、軌道上で100m以内の距離にニアミスする危機が発生しました。もし衝突していれば両者は粉々に破壊され、軌道上に漂う大量のスペースデブリの問題をさらに悪化させていたかもしれません。

スペースデブリとは、地球を取り囲むように浮遊する無数の人工物由来の廃棄物、要するに宇宙ゴミのこと。近年、地球の軌道上には非常に多くの人工的なゴミが漂っており、将来の宇宙ミッションや国際宇宙ステーションへの往来といった計画に悪影響を及ぼす可能性が危惧されています。

今回の中国の古いロケットブースターとソ連の廃棄人工衛星のニアミスは、宇宙のゴミ問題の深刻さを際立たせることとなりました。研究者らによる軌道計算では、両者の再接近距離はわずか12mと予測され、衝突する可能性は10%未満とはじき出されました。他にももっと確率の低い予測もありましたが、それでも再接近距離は70mとされ、やはり非常に接近することは間違いありませんでした。結論から言えば、幸いにも衝突することはありませんでしたが、宇宙空間における10%は非常に高い確率だったと言えるでしょう。

もし、今回のような非常に大きな人工物が衝突して破壊され、細かい金属片、たとえばボルトのようなものが高速で軌道上を飛び交う事態にでもなれば、それが宇宙ステーションやそこへ向かう宇宙船などにあたり、貫通してしまう可能性もあり得ます。もし中にいる飛行士に当たれば、命の危険にさらされることになります。また衝突によって大量の破片が同じ方向に飛散すれば、(軌道の高度の違いもあるものの)映画『ゼロ・グラビティ』のように次々と軌道上の衛星などを巻き込む衝突の連鎖を引き起こす可能性もゼロではありません。

軌道上のスペースデブリは地上から操作できるものではないため、外的要因がなければそこにとどまり続けます。そしてその数は増え続けます。実際、2009年には廃棄されたロシアの軍事衛星が、運用中の通信衛星イリジウム33に衝突し、2010年10月までに1800もの追跡可能な破片を生成しました。この1800という数字は地上から追跡ができる大きさのものに限られ、それよりも微小な追跡不能なサイズのデブリも無数に軌道上に放出されたと考えられます。また2019年にはインドが対衛星ミサイルの試験で人工衛星を破壊し、消しゴムサイズ以上の確認できるものだけでも6500個以上のデブリをまき散らしています。

現在、SpaceXのStarlink計画などが、数千もの小型通信衛星を次々と軌道に打ち上げていますが、それらの衛星も故障したり寿命が来れば廃棄されることになります。用済みになった人工衛星は廃棄前に大気圏へと再突入させるか、それができなければ”墓場軌道”などと呼ばれる通常より高い軌道へと移動する決まりにはなっています。しかし、スラスター燃料の枯渇や故障により、墓場軌道へ移動する操作ができるのは廃棄される衛星の30%ほどとされます。こうした衛星が増えてゆけば、いつか本当に衝突の連鎖によるメルトダウン的なデブリ放出が発生するかもしれません。

各国の宇宙機関はしばらく前からこのような事態を予見し、デブリを除去するための方策を検討してはいますが、実際に機能する宇宙機はまだ開発されていません。

ちなみに、Starlink衛星は、衛星の寿命が来た場合2~3か月のうちにスラスターを使って軌道を離脱し、大気圏で消滅します。もし推進システムが故障した場合は、1~5年ほどで地球に引き寄せられ、大気圏に落下するようになっているとのことです。

ひとまず今回は廃棄ロケットと衛星の衝突はありませんでしたが、いつかそのような事態が発生しないことを祈るばかりです。

source:LeoLabs(Twitter), Space.com

via:Business Insider