SpaceX、Flickr
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SpaceXは1月28日に、大型ロケットStarshipの試験用機体SN9の打ち上げ試験を実施する予定でした。これは前回12月9日に実施されたSN8と同様の試験で、高度12kmにまでロケットを上昇させたのち、再び着陸パッド場に降り立たせることを予定していました。

しかしThe Vergeが伝えたところでは、SpaceXが打ち上げ実施の直前に提出した予定変更の申請によって、連邦航空局(FAA)の打ち上げ許可審査が終わらず、打ち上げ自体が延期されることになりました。またSpaceNewsは、事情を知る関係者の話として、FAAは最終的な打ち上げの許可を出す前にロケットと飛行計画に関する追加の情報を提出するよう求め、その結果、打ち上げ試験の許可承認が間に合わず、SpaceXが打ち上げのための燃料注入作業を行っているにもかかわらず、周辺地域の航空機飛行制限(TFR)が解除される不可解な状況になったと伝えました。

いずれにせよFAAの打ち上げに関する審査が終わらなかったことが、SN9の打ち上げ延期の原因であることは間違いない模様です。SpaceXのイーロン・マスクCEOはFAAの対応に対して苛立ちを隠さず「航空機部門とは異なり、FAAの宇宙部門の規制構造はぶっ壊れている」「彼らのルールは政府機関が年に何度か打ち上げる使い捨てのロケットのためのものであり、そんな規則では、人類は決して火星に到達できないだろう」とあからさまに批判しました。

打ち上げは翌1月29日に持ち越しとなり、その日の午前もSpaceXは打ち上げの準備に取りかかりTFRも設定されていましたが、結局この日も打ち上げは延期になりました。SpaceXはSN9の打ち上げを2月1日までに実行したいとしています。

FAAも、SpaceXも、今回の打ち上げを承認するに当たって具体的に何が問題だったかはコメントしていません。FAAは29日深夜「引き続きSpaceXとともに、打ち上げに関するライセンス変更変更申請手続きの一部としてこの会社から提出された追加情報を評価します」と述べ「宇宙の商業利用における革新と成長を促進するためには迅速な行動が必要なことは認識していますが、そのためにFAAが公共の安全を守る責任を妥協することはありません。我々はSpaceXが規制されている要件を遵守するために必要な措置を講じたことが確認できれば、その変更を承認します」としました。

SpaceXが12月9日に実施したStarship SN8の高高度(12.5km)打上げ試験は、着陸こそ失敗して大爆発におわったものの、マスクCEOは打ち上げの試験としては大成功だったと述べました。しかし、この件に詳しい人物2名からの情報によると、米連邦航空局(FAA)はこの打上げがFAAが許可した打上げ条件を遵守せずに行われ、さらに着陸時に大爆発を起こしたことについて調査していると、The Vergeは伝えています。

ただ、今回の打ち上げに先立ち、宇宙事業投資に関するウェブセミナーでFAAの商業宇宙輸送担当管理者代理のウェイン・モンテイス氏は、業界が迅速さを求めることはよく理解しているとし「ロケットの準備が整って、ペイロードの積み込みも終わったら、彼らはすぐにでも打ち上げたいだろう。米国企業の成長を妨げないよう、規制当局としても準備を整えておく必要がある」としました。

そして規制上の問題があるときは打ち上げを行う企業の幹部と直接話し合う用意があるとモンテイス氏は述べました。たとえばスタッフが解決に「数週間または数か月」かかる可能性のある問題も1本の電話で解決できることもあると述べました。そして「誰もが規制は好きでないものの、それは重要だ。1つは、すべての人の安全を維持すること、もうひとつは投資家に安定した環境を提供することだ」と述べています。

ちなみに、マスクCEOは12月のStarship SN8の試験打ち上げ直前に Wall Street Journalのインタビューに応じ、イノベーションの規制で政府が果たすべき役割とは?と訪ねられ「多くの場合、政府ができる最善の対応は邪魔をしないことです」と回答しています。

Source:The Verge, SpaceNews