さらなる低価格化に舵を切るも破産で消えた1GBの「SparQ」:スイートメモリーズ File022

SyQuestの最後の花火

宮里圭介(Keisuke Miyasato)
宮里圭介(Keisuke Miyasato), @miyasa
2020年07月13日, 午前 07:00 in sweetmemories
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[名称] SparQ
[種類] HDD
[記録方法] 磁気記録
[サイズ] 3.5インチ
[容量] 1GB
[登場年] 1997年頃~

今や淘汰された懐かしの記録メディアたちに光を当てるこの連載企画では、ゆるっと集めているリムーバブルメディア・ドライブをふわっとご紹介していきます。

連載:スイートメモリーズ

「SparQ」は、リムーバブルディスクを得意としたSyQuest社最後の製品。ライバルのIomega社は低価格なZipでシェアを広げ、高速・大容量となるリムーバブルHDDのJazもそれなりとなっていましたが、SyQuest社はJaz対抗として投入した1.5GBの「SyJet」という製品で苦戦していました。

この状況から脱却するため、大容量・低価格という思い切った路線に舵を切った製品が、1GBの容量をもつSparQです。

カートリッジは大きくデザインされた「Q」の文字が印象的なデザイン。プラッターの形に合わせて作られているため、意外とコンパクトです。形状はSyJetとそっくり……というか違いが分からないほどで、ここを共通化することでコストを削減したのでしょう。ただし互換性はないようなので、ユーザーとしては混乱するだけですが。

ドライブ挿入側にはスライド式のシャッターを備え、側面にある突起部分を引くことで簡単に開くことができます。ただし、「Manually opening cartridge door may cause data loss and void warranty.」、つまり「手で開けるなよ」とメディアに明記されている通り、あくまでドライブ側で開け閉めするためのもの。

こんなに引っ張りやすいとしても、です。開けるなという注意書きをするなら、もう少し引っ張りにくくしてもいいのではないかと思いますが。

ちなみにSyJetと形状はそっくりですが、プラッター枚数は2枚から1枚に減っています。それでも容量は1.0GBとなっていますから、ライバルのJaz(2枚プラッター)と比べてもカートリッジコストを圧縮できる計算です。

注意書きを無視してシャッターを開けたところ、プラッターが1枚見えました。写真を見て気づくかと思いますが、プラッターの位置が中央ではなく下に偏っています。これ、SyJetでは2枚入れていたものを、1枚にしただけですね。中央に寄せるとか、そういった変更すらしないあたりが合理的です。

ちなみにコスト削減はドライブでも徹底されており、外付けモデルではパラレルポート接続が採用されていました。パラレルポートだと速度が犠牲になりますが、SCSIコントローラーが不要という点で、ドライブ導入のトータルコストが下げられるのが魅力です。Zipが採用して成功した手法ですね。

価格はかなり安く、ドライブは199ドルで、カートリッジは1枚39ドル。1998年6月のPC MAGAZINEに掲載されている比較広告によれば、ドライブ価格はZip(199ドル)と同じでJaz(299ドル)の約3分の2、1GBあたりの容量単価はZip(129ドル)、Jaz(124ドル)との比較で3分の1以下となっており、圧勝といっていいでしょう。

ただし、この価格では売れたとしても大きく儲かるとは思えず、実際、悪化していた業績は回復しなかったようです。1998年の11月にSyQuest社は破産。SparQはここで消えました。

連載:スイートメモリーズ


参考:

業界に痕跡を残して消えたメーカー リムーバブルディスクの元祖SyQuest, ASCII.jp
SyQuest SparQ, Museum of Obsolete Media
SyQuest SparQ drive, Wikipedia
PC MAGAZINE JULY 1998 - P140, Google books
SparQ, ウィキペディア

 
新型コロナウイルス 関連アップデート[TechCrunch]

 

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