音楽ストリーミングサービスSpotifyは2021年6月29日、報道関係者向けに同社のこれまでの歩みや今後の国内戦略などに関する説明会を開きました。

スポティファイジャパンで音声コンテンツ事業を統括する西ちえこ氏

Spotifyは178の国と地域で展開され、3億5600万人が使う世界最大級をうたう音楽ストリーミングサービスで、スウェーデンで2008年、日本では2016年秋にサービスが始まりました。料金は下の通りです。

※ 2021年7月1日時点の情報。編集部調べ

2019年2月にはCEOのダニエル・エク氏が「世界ナンバーワンのオーディオプラットフォームを目指す」という新たな成長ビジョンを掲げ、とくにポッドキャストなどの音声コンテンツやサービスの拡充に注力しています。

これまでの事業について、スポティファイジャパンで音声コンテンツ事業を統括する西ちえこ氏は、「自社スタジオや制作スタジオの買収により独自コンテンツを強化。また、オバマ元アメリカ大統領夫妻が設立した制作会社 Higher Ground やDCコミックスとの独占契約が話題になった」と振り返りました。

ポッドキャストの番組数は1万(2018年1月)から260万(2021年)に増えており、日本では2019年2月よりさまざまな分野のクリエイターなどと協業し、オリジナル番組を拡充。2020年以降は音声媒体特性を生かした新たなフォーマットの開発に取り組んでいるとしています。

その具体例として西氏は、小泉今日子やロバート秋山などによる番組や、雑誌媒体ムーから派生した3つの番組、アニメ「呪術廻戦」公式ポッドキャストなどが、Spotifyで配信されていることを紹介しました。

さらに西氏は、アメリカでポッドキャストのリスナーが急増しているというマーケティング調査会社の Edison Research 社のデータを例示。それによれば「アメリカでは12才以上の5人のうち2人が1か月以内にポッドキャストを聴いている」とのことです。

西氏は今後の国内戦略についても紹介。音声コンテンツの強化とともに、ポッドキャストの収益化も強化する考えを示しました。Spotifyは海外で有料サブスクリプションやオーディオ広告のマーケットプレイスなどを発表していますが、将来は日本でもこれらを展開できるよう、パートナーとの協力関係を築きたいとしています。

日本のクリエイターの発掘と支援も強化

また、RadioTalkなど国内プラットフォームとの連携を積極的に推進することも明らかにしたうえで、RadioTalkのコンテンツをSpotifyに展開できるようにしました。西氏は「従来のポッドキャスト形式にとらわれず、音声クリエイターの支援を拡大していく」といいます。

西氏は無料でポッドキャストの録音・編集から配信までを一括で行えるツール「Anchor(アンカー)」についても改めて紹介。Spotifyを含む複数のプラットフォームへの配信も可能で、ファイルの管理もしやすいとのこと。Spotifyは今後もAnchorの新機能の追加や、Spotifyに関連する製品との連携を進めていくとしています。

また、西氏はスウェーデン、ニューヨーク、ロンドンに続く世界で4か所目のスタジオ「Spotify Studio Tokyo」を開設したことも発表。「パートナー企業や音声クリエイターによる収録や、バーチャルイベントなどでの利用を見込んでいる」といいます。

Spotify Studio Tokyo

このほか、ポッドキャストのクリエイターを育成するプログラム「Sound Up」を、2021年秋に国内で実施することも発表。Sound Up は、ポッドキャストの企画、制作、配信について教育するプログラムで、すでに世界8か国で展開されています。

Spotifyは、2021年6月29日より専用サイトで受講希望者を募り、審査を通過した10人にはノートパソコン、マイク、ヘッドホンなど、制作や編集に必要な機材を提供します。応募期間は7月25日までで、9月27日から番組企画書やトレーラーの制作を行います。2022年も受講希望者(10人)を募り、パイロット版を制作後、優秀作品をSpotifyで独占配信するとしています。

なお、 Sound Up の対象は女性のみ。この理由は、スイスの非営利財団「世界経済フォーラム」が2021年に発表したジェンダー・ギャップ指数(CGI)で120位となるなど、ジェンダー格差が社会的な課題として認識されているためです。

西氏は「女性自身の考えや価値観を発信する独創的なポッドキャスト番組を生み出すサポートを行い、国内音声コンテンツの多様化を目指すとともに、市場の活性化に取り組んでいく」と意欲的に締めくくりました。


Source:Spotify